
[毎週土曜日]朝7:30~11:00 ※コーナーは10:00〜
パーソナリティ 洋輔・影島亜美

番組はこちらからお聴き頂けます。
「未来に残したい静岡グルメ遺産」のコーナーです。
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年も県内の金融機関や商工団体などからの協力で、後継者を募集しているお店、親族内や第三者に経営を引き継いだお店、そしてこれから引き継ぐ予定の店などを取材していきます。
洋輔:6回目の今日は伊豆半島の西海岸、美しい自然に囲まれた松崎町、松崎町役場のすぐそばにある「松崎桑葉ファーム直売所 くわや」さんに行ってきました。
お話を伺ったのは、「くわや」を運営している企業組合 松崎桑葉ファームの代表理事、土屋嘉克さんです。
早速、組合とお店の名前に入っている「桑葉」(ソウバ)の意味も聞いてみました。
洋輔:土屋さんこの桑葉ファームの桑葉(ソウバ)っていうのは、これは何のことですか。
土屋嘉克さん:これはですね、昭和初期、この町では養蚕が盛んで、他の地区と違って、温暖だったですね。それで一番早く、繭ができました。そこでこの街でできた繭の相場がその年の世界、また日本の単価を決める「相場」を決める。それで「松崎相場」という言葉ができました。
洋輔:ちょっと待ってください。まず、ちょっといろんなワードが出てきたんですけど、1個ずついきましょう。養蚕っていうのはお蚕さん、シルクを作るお蚕さん。お蚕さんが食べる葉っぱが桑の葉です。桑葉(ソウバ)は桑の葉のことですか。
土屋さん:そうです。桑(クワ)は「ソウ」とも読みますよね。それで松崎相場(ソウバ)に引っ掛けて「松崎桑葉(ソウバ)ファーム」という名前にしたんですね。
洋輔:なるほど。松崎桑葉(ソウバ)っていうのは市場の相場(ソウバ)とちょっとかけているということ。その桑の葉と、この松崎町は、すごい深い繋がりがあるそうですね。
土屋さん:はい。
洋輔:昭和初期というのは、養蚕、お蚕さんがすごい盛んだったんですか。このあたりは。どのぐらい(桑畑は)広かったんですか。
土屋さん:簡単に言いますとね、この向かい側に牛原山という山があるんですけど、その山一面が桑畑だったんですね。蚕さんのエサの。
洋輔:今、写真を見せていただいてるんですけども本当に山一面が桑畑。ということはこれを食べるだけの蚕さんがいたわけだし、それだけのシルクが生み出されてたってことですよね。
土屋さん:そうですね。それであとね、今、有名な富岡製糸工場。そこに研修でね、女工さんが行ったんですよね。そういうこともあって広がった部分もあります。
洋輔:そのシルクとかってどこに行ってたんですか。
土屋さん:この松崎に港がありまして、そこは商業港だったんですね。そこから船積みで横浜のシルクセンターってあるんですけど、そこから海外への輸出が行われたんですね。
洋輔:なるほど。いつぐらいまではその流れで行われてたんですか。
土屋さん:(昭和)20年前後ですかね。もう終戦の時はなくなったっていう話だったから。
洋輔:そのあと桑の葉っていうのはどうなってたんですか、この町で。
土屋さん:主産業ですね。ほとんどの家が養蚕をやったって聞きますね。その当時は。だから多少名残で山の方へ行くと、残ってると思うんですけど、1階が住まいで半2階に蚕さんを、飼っていたという家が多かったです。
<スタジオ>
洋輔:「桑葉」って影島ちゃん聞いたことあった。
影島アナ:「桑葉」、桑の葉でソウバって読むんですね。
洋輔:しかもシルクの金額、相場だよね。それにかかってこういう名前(松崎桑葉ファーム)が付けられたんだって。
松崎町って本当に幕末から昭和20年ぐらいまで養蚕業が盛んだったって知って、僕も知らなかったからびっくりして。松崎港から横浜を経由して世界にシルクが輸出されていた。
そして富岡製糸場ってよく聞くでしょう。そことも深い繋がりがあったりとか。松崎町が持つ養蚕産業と蚕の餌となる桑の葉に関する歴史もいろいろ聞いて、なるほどな、ちょっと歴史の勉強になりました僕。そして土屋さんが代表理事を務めている企業組合松崎桑葉ファームなんですが、その養蚕業ってのはもう終わっちゃったんだけど、その時に作っていた桑の葉を何とかできないかってそれを継承して、その葉っぱを何とかできないかって考えて創設されたそうで、平成26年、2014年にファームを創設したそうです。
ここ数年、健康ブームで注目されている、その桑の葉を無農薬で栽培して、収穫した桑の葉っぱを粉末にして製品化に日々努めているそうで、今現代ではどのようにして桑の葉っぱを上手に活用しているのかを聞いてみました。
洋輔:現代ではその桑の葉っていうのは、今どういうポジションというか、どういうふうに使われ方をしてるんですか。
土屋さん:今、品種改良をされて、蚕さんの餌ではなくて、お茶用の桑。名前は「きぬゆたか」っていう種類なんですよ。東京農大の先生が品種改良して作った桑なんです。色合いと栄養分、成分がいいということで、品種改良された葉っぱですね。
洋輔:実際に「きぬゆたか」という桑の葉を見せていただいてるんですけど、緑緑してすごい立派な葉っぱで、すごい強そうっていう表現が合ってるかどうかわかんないですけど。
これは基本的に人の体のことを思って改良されたんですか。
土屋さん:先ほど言った成分がいいという部分でね。
洋輔:なるほど。こちらの桑の葉を使った様々なメニューをこの「くわや」さんでいただくことができるんですか。
土屋さん:桑の葉を丸ごとパウダーにした商品なんですけど、それをジェラートに練り込んで売ってますね。あともう一つ、うどん、食べてね、喉越しがいい。
この桑の葉って青汁と違ってクセがないんですよ。だから簡単に言えばね、他の商品でい
いますと、私は個人的ですけど、天ぷらに、塩と(桑の葉を)混ぜて、ふりかけて食べたりとか。あとパスタなんかにもかけてもいい。ヨーグルトに粉(桑の葉)をかけて混ぜて食べるとかね。
洋輔:この「くわや」さんのおすすめの商品をちょっといただいてもいいですか。
土屋さん:食べてみてください。ジェラートをね。ぜひ。
洋輔:あとお茶も飲みたいです。早速、ジェラートとお茶をいただきたいと思います。
<スタジオ>
洋輔:すんごいリクエストしてましたね、僕ね。お茶とジェラートをこの後にいただくんですけども、松崎桑葉ファーム直売所の「クワヤ」さんで扱っている商品をいろいろ教えてもらって、今回は食べなかったんですけど、うどんとかもあったりとか、そういういろんな製品化されていて。
影島アナ:緑色のうどんですか。
洋輔:緑色だった。なんかね、鮮やかな緑って感じの茶そばみたいな感じ。
影島アナ:気になります。食べてみたい。
洋輔:そう、いろいろあったけど、まずは桑の葉のお茶のホットとアイス、そして、桑の葉のジェラートもいただきました。
<松崎桑葉ファーム直売所 くわや>
土屋さん:そうですね。多少はすると思うんですけど。またお茶とは違うと思うんです。
洋輔:緑茶っぽい香りがするけど、実際に飲むと違うと。
土屋さん:ちょっと甘みがあるんじゃないかなと思うんですけども。
洋輔:いただきます。あっ、美味しい。本当だ、甘みがあって、でもちょっと緑、緑、強いところもあるんですけど、すごく思ってたより飲みやすいです。全然、苦味がないですね。まろやか。うわー美味しい。これ今ホットでこの味で、アイスになると一体どうなるのかという。
アイス桑葉ティーをいただきたいと思います。これは夏場にいい。爽やかさがあって、飲みやすいです。びっくりした。
洋輔:僕がすごく楽しみにしてた桑の葉のジェラート。いただきたいと思います。上にのっかってるのは何ですか。
洋輔:桑ジャム。まずは桑ジャムからちょっといただきましょうか。甘みがあって、美味しい。こんなに甘いんですね、桑の味って甘いんですね一。ジャムにするために多分お砂糖と混ぜてはいると思うんですけど、ベリー感がすごい残っててすごく美味しいですね。ジェラートもいただきます。うわー、ちょっと抹茶ジェラートぽいんですけど、まろやかさがプラスされる分、深みが出ますね、これ。うわー美味しい。びっくりした。ジェラートはここで作られてるんですか。
土屋さん:ジェラートはね、うちの方でパウダーを提供してイデボクさんの方で作っていただいてます。
洋輔:イデボクのジェラートが、抹茶ならぬ、桑の葉ジェラートになっている。これは美味しいわ。とまらない。ちょっと桑の葉、見直しました。
土屋さん:ありがとうございます。
洋輔:いやーすごい美味しいですね。
土屋さん:この味もね。うちの方とイデボクさんとでやり取りして出来上がった商品ですね。
<スタジオ>
洋輔:桑の葉ジャムもねすごく美味しかったし、ほどよい酸味もあるんだけどその中でも甘みが結構強めで。桑の葉のジェラート、「イデボク」ですよ。「イデボク」に(桑の葉)パウダーを提供して作ってるんだけど、抹茶とねちょっと違うんだよ。少し違うんですよね。抹茶よりも優しい感じになるから。見た目はね、緑だから抹茶とちょっと似てるかなと思うけど、なんかね、新しい感覚だった。
影島アナ:気になります。
洋輔:お茶も、桑の葉茶もホットもアイスもどちらも美味しくて。僕はね。焼酎のお茶割りとかにしたらすごい美味しいんじゃないかなって、甘みも少しあるからさ。
影島アナ:いいかも。松崎割。
洋輔:桑葉割、みたいな感じになるのかな。この桑の葉のパウダーがどんなパワーを秘めているのかも聞いてみました。
洋輔:健康面って今、結構重視されるじゃないですか。そういった面でも(桑の葉は)注目されてるんですかね。
土屋さん:そうですね、桑の葉パウダーはノンカフェインなので、年配の方でも飲んで眠れないとかそういう部分はないんです。
<スタジオ>
洋輔:そうなの。ノンカフェインなので眠れなくなっちゃうとかそういう心配もないし、健康面でもね、優しいパワーをいろいろ秘めてるんだよっていろいろ教わって。例えば血糖値が気になっている方とか、カルシウム・ミネラル・食物繊維が不足している方とかにおすすめしたいっておっしゃってたんで。なんか結構、いろんなことを期待できそう。
影島アナ:時間を問わずに飲めるのが嬉しいですね。ノンカフェインで。
洋輔:土屋さん、いろいろその辺りを詳しく話してくれるから、実際にクワヤさんに行ってその効能とかいろいろ聞いて欲しいですよね。
今回お話を伺った土屋さんは松崎町の歴史がたくさん詰まった桑の葉の産業とそれを支えている松崎桑葉ファームの後継者を今現在探してるんですって。その辺りの今の現状も聞いてみました。
<松崎桑葉ファーム直売所 くわや>
洋輔:今後、土屋さんが力を入れていきたいことって何かあるんですか。
土屋さん:私も年ですんでね。後継者を育てたいんだけど、なかなか見つからない。ですから今、県の方にお願いして後継者育成というのをお願いしたいんですけど、高齢者でも働ける仕事というので、始めたことなんですね。あと、耕作放棄地対策。だから、ぜひともね、私ができなくなっても、この事業は続けていただきたいなと思ってます。
あと高齢の方がね。家で一人の方、多いじゃないですか。その方が仕事をしながら、(みんなと)お話して(仕事を)やる、あの顔を見たらね、元気でます。皆さんニコニコ笑って話しながら仕事してますよ。そういう姿って、本当に皆さん、見ていただくといいかなとは思うんです。
土屋さん:それが一番ですね。
洋輔:実際にどこかに相談しに行ったりとかしました。
土屋さん:県の後継者育成、あと地元の商工会さん、あと銀行関係とかね、お話し合いしてます。
洋輔:どういうアドバイスとかもらってますか。
土屋さん:その辺から紹介されたりとか、多少あったんですけど、やっぱりね、経営面だよね。私どもこの仕事が利益が出てるっていう部分がないから、どうしてもその部分で働きたいって人は手をひいちゃうよね。だから、なんていうかな地道でもぼちぼちやってくれるような方、田舎暮らしが好き、農業が好き、そういう感じの方でないと難しいかなって部分はありますね。
洋輔:なるほど、でも実際に若い人に入ってきて欲しくてそういう人たちに向けての動きは、今はされてるってことですよね。
土屋さん:ある程度してますけどね。難しい部分がありますね。こう言っちゃなんですけどね、今ね、後継者としては、畑とか加工場の方は、ある程度若い人がやってるんですよ。田舎人ってのはさ。外へ向けての発信力とか営業力っていうのはなかなか薄い。ちょっと優れないっていうかね。こっちの言葉で「ひっこみおじゃん」って言葉があるんだけど方言だね。そういうことが多いんですよ。だからどっちかっていうとね、都会から来た方はそういう方面は達者だから、そういう方が営業とか経営面はやった方がいいかなっていう、気持ちを持ってます。
洋輔:なるほど。どういう方に来て欲しいとかいうリクエストはあります。
土屋さん:先ほど言った外に向けての発信力のある方だね、地道に商いでやっていただける方だね。今の時代って、ほら駄目だとすぐ次っていう感じ、あるじゃないですか。長い目で見てもらって、何とか継続してやってくれる方かな。
私もこの仕事ボランティアですよ、本当に。もう13年、嫌だなと思いながらも、あきらめないで一生懸命、潰しちゃいけない。何とかしようと思ってやってますから。私のような気持ちを持ってくださる方がいいかなとは思いますね。
洋輔:どうですかこの松崎町っていうのは。外から来たいっていう人に対してオープンなところですか。
土屋さん:そうですね、地域おこしの方とか、そのままここに移住して住みついている方もいるし、リモートで働いている方も2、3名の方が、ここへ来て仕事をしてる方もいますしね。その部分では住みやすいと思います。私も見てて、いい街だなと思ってますからね。自分自身も。
洋輔:本当にこういう桑の葉の動きとかも継いでほしいですよね。
土屋さん:町並みが古風で昔風ですから、散策してもね、飽きないし。いいんじゃないですか。
洋輔:土屋さんがね、本当にいろいろある意味、ボランティアとして守ってきたものだし、どうしてもこの地域的にね、「ひっこみおじゃん」て言ってましたけど、そういう方が多いんですって。だからそこを何とか乗り越えて新しい風、そしてこの桑の葉とか桑の葉パウダーっていう素材はあるから、それを外に発信してくれる。誰かそういう人が継いでくれるとすごく嬉しいなって言ってて。なおかつ、高齢の方々が笑顔になれるような町おこしをどんどんしていって、そういう人たちをどんどん生み出してくれるような、笑顔にしてくれるような人が来てくれたらいいなってことを言ったのがね、すごい印象に残ってて。
(桑の葉は)素材としてはすごくいいんじゃないかなって僕もお話聞いてて。これを誰かが発信することができたらすごく町おこしの一つになるんだろうなっていうのをすごく感じましたね。
最後に土屋さんのこれからの目標も聞いてみました。
<松崎桑葉ファーム直売所 くわや>
洋輔:土屋さんの個人的にも全然いいんですけど、今後の目標みたいのってありますか。
土屋さん:私はただここが潰れないで継続してやっていただけたらいいかなって部分ですね。せっかく始めた事業ですんでね。本当に皆さん、仕事をしながらニコニコ、お話をしながらやってる姿っていうのは、自分がもっと年取ってもやっていける仕事かなって部分はありますね。
洋輔:本当に年配の方が笑顔で溢れているような場所にしたいってことですね、松崎町がね。
土屋さん:使う方はもっとやってくんねかなって気持ちはあるけど、それは憩いの場としてね、思ってる部分もあるんで。
洋輔:「サタデービューン」でも応援してくんで頑張ってください。
土屋さん:ぜひよろしくお願いします。
洋輔:今日はありがとうございました。
洋輔:そうなんですよ。松崎桑葉ファームの取り組みを通じて、土屋さんたちはもちろん、松崎町という町全体がハッピーで笑顔で活気にあふれた街になってくれれば嬉しいな、ということでしたけども。もうねなんかすごいパワフルだったんで、多分元気の秘訣はもしかしたら桑の葉にあるんじゃないかと僕は睨んでますけども。このコーナーを聞いて、松崎桑葉ファームの取り組みについて興味を持っていただいたり、何かもっと知りたいなって思った方がいらっしゃれば、コンタクトもしてほしいなと思うんでぜひ連絡してみてください。
6回目の今日は、松崎町にある企業組合「松崎桑葉ファーム」さんを紹介しました。
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