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未来に残したい 静岡グルメ遺産

[毎週土曜日]朝7:30~11:00 ※コーナーは10:00〜

パーソナリティ 洋輔・影島亜美

洋輔
未来に残したい静岡グルメ遺産 SATURDAY View→N
2024.11.16(土)放送 富士物産株式会社(駿東郡長泉町東野)

相乗効果が見込める企業をグループの傘下に。
新分野に挑み、さらなる躍進に繋がったというM&A成功の秘訣とは

番組はこちらからお聴き頂けます。

「未来に残したい静岡グルメ遺産」のコーナーです。
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年度は県内の金融機関や商工会議所の協力で後継者を募集しているお店、親族内や第三者に経営を引き継いだお店、そしてこれから引き継ぐ予定のお店などを取材していきます。

第7回目は、駿東郡長泉町東野にあります富士物産株式会社 第2工場に取材に行ってきた様子をお届けしたいと思います。
お話は、富士物産株式会社 代表取締役会長 兼 株式会社東平商会 代表取締役の山本雅弘さんに伺ってきました。富士物産は創業40年ちょっとで、冷凍とろろ芋や和惣菜を扱っている会社なんですね。東平商会は、食品の卸売りをはじめ、土木工事、工事の請負や産業資材の製造販売、最近では農業も始めたという本当にいろんな事業を多角経営している会社なんです。
この二つの会社がどういう関係なのか、まず山本さんに伺いました。

富士物産
左から富士物産株式会社 代表取締役会長 兼 株式会社東平商会 代表取締役の山本雅弘さん、洋輔
<富士物産>

洋輔:山本さんは株式会社東平商会の代表取締役でもあられるということなんですけども、富士物産と東平商会はどういう関係になるんですか。

山本雅弘さん:ご縁がありまして、2年半前に東平商会が富士物産をM&Aさせていただきまして、100%の資本を入れさせていただいたという経緯がございます。

洋輔:M&Aってよく聞く単語ではあるんですけど具体的にどういったものなんですか。

山本さん:富士物産さんの株を100%うちが買い取って事業を引き継いだという形になります。富士物産の名前を残したまま東平商会が資本を入れたという形になります。

洋輔:傘下に入ったみたいな形でグループになったってことですね。東平商会が富士物産をM&Aするっていうことは、もともと食品製造に興味があったんですか。

山本さん:食品の卸売りというのはどうしてもその中間流通でなかなか競争の激しい業界でありまして、何かその特徴を出していきたいというのがあるんですね。東平商会として力を入れているのは、三島コロッケに代表されるような地元の食材を使ったご当地グルメ、ご当地商品みたいなことに力を入れてるんですけれども、ただ全部委託製造で得意な工場にお願いして作ってもらってるんですね。6次農業なんかも始めて、6次産業とか言ってるんですけれども、1次の農業と、それから3次の販売はあるんだけれども、その2次の製造については、あまりタッチしてこなかったんですよ。どうしてもそこの付加価値をうちも欲しいなっていうのがありまして。そういう中で富士物産の話があってそれで今回、業務提携をさせていただいたと。

洋輔:あいていたピースがはまったみたいな形になったっていうことですね。

山本さん:そういうことですね。

洋輔:二つの会社の関係性がわかってきたんですけど、今回はこの富士物産株式会社で作っているものをいただけるということなんですけど、主にどんなものを製造されてるんですか。

富士物産
山本さん:今日は実際に試食もしていただくんですけれども、もともと作ってきました冷凍のとろろ芋、それからあとは和惣菜ですね。いろんなネバネバ系の和え物ですとか例えばオクラとか、そういうから山芋和えたものとかですね、そういうものを食べていただくのと、それから新しくこの第2工場で作り始めました介護食をぜひちょっと召し上がっていただきたいんですけれども。あまり介護食って普通は食べる機会がないと思うんですが。

洋輔:そうですね。でももう興味津々なんで、ぜひいただきたいです。

山本さん:たくさんご用意してますので。

洋輔:早速いただきたいと思います。

山本さん:よろしくお願いします。

<スタジオ>

洋輔:会社同士のやり取りでM&Aが行われたのが2年前ということなんですけども、続いては、富士物産の商品をいただいた様子をお届けしていきたいんですが、その前に、先ほど介護食というワードが出てきましたよね。介護食といっても2種類あって、ムース状にしたものを成形して形にして、歯茎とか舌を使って潰しながら食べられるソフト食というものがあるのと、そしてポタージュやスープ状になっているミキサー食、これらを今回の取材でうかがった富士物産の第2工場で作り始めたということなんですよ。
まずは富士物産の定番商品である冷凍とろろ芋、そして介護食のサバの味噌煮、この二つをいただきました。

<富士物産>

洋輔:まずはこのとろろからいってもいいですか。

山本さん:こちらの出汁入りオクラとろろをぜひ召し上がっていただきたいんですけど。

富士物産
富士物産の定番商品、出汁入りオクラとろろほか
洋輔:いただきます。うん、美味しい。オクラの食感がシャキシャキしてて、出汁の味もとってもほどよくって、食べやすいです。

富士物産
山本さん:20年来同じ味なんですけれども、弊社独自の出汁を使っております。

洋輔:味がすごくいいですね。これが富士物産でずっと作られていた定番商品なんですね。

山本さん:介護食というのもなかなか普段食べる機会がないと思うんですけれども、今日はちょっと召し上がっていただきたいと思います。代表的なこのサバの味噌煮をぜひ。

洋輔:サバの味噌煮は、サバの味噌煮の形をしてるんですよ。ハンバーグだったらハンバーグの形をしてる。見た目はちょっとカマボコに近いのかな。すり身に近いなっていう感じがしますけど。いただきます。食べやすい。しっかり味付けしてあって食感はもう確かに柔らかいソフトな感じがあるんですけど、味の満足感、食べた満足感とかサバの味噌煮の満足感がありますよね。

山本さん:そうです。そういうふうに作ってあります。常食そのものの味を再現しております。

富士物産
介護食と冷凍とろろを使った和惣菜
<スタジオ>

洋輔:とろろとサバの味噌煮をいただいたんですけど、このとろ冷凍とろろだったんすけど冷凍とは思えないほど、もうすごく美味しくて。自分で個人的に買おうと思うぐらい本当に美味しかったのと、あと介護食のソフト食のサバの味噌煮をいただいたんですけど、なんかね新食感というのかな、今までにないけど、味はサバの味噌煮の味が口の中に広がってくっていうちょっと不思議な体験。満足感をしっかり感じながら。歯がいらないっていう感じ。
この後ミキサー食のトウモロコシの洋風煮というのをいただきました。そちらもトウモロコシの優しい甘さがあって、スープよりちょっととろみがある感じで、食べごたえがあって満足感がある感じになっていて、今までこの富士物産が培ってきた技術を介護食の製造に生かせるということがわかって、そこで介護食に力を入れていると山本さんは、おっしゃってましたよ。 続いて東平商会が富士物産をM&Aしたきっかけ、そして支援機関の静銀経営コンサルティングに具体的にどんなことを支援してもらったのかを伺いました。

<富士物産>

山本さん:富士物産の創業社長であり先代社長が亡くなられて、後継者がいらっしゃらない状況になってたんですね。静銀経営コンサルティング株式会社様から、お話をいただきまして、それでうちの会社で事業承継してくれませんかというお話がありました。半年ぐらいかけていろいろ内容について調べさせていただいて、食品卸のうちがやってる事業とか、または農業なんかもちょっとやってるんですけれどもそういう他の事業との相乗効果があるんじゃないかということを考えて承継することを決めました。

富士物産
富士物産株式会社 代表取締役会長 兼 株式会社東平商会 代表取締役の山本雅弘さん
洋輔:事業承継をする中で、支援機関に相談したことって何かありますか。

山本さん:初めてのM&Aでしたので、もうそれはもう全面的に静銀経営コンサルティングさんにお世話になったんですけれども、買取価格の条件交渉をはじめとして、いろんな企業の評価書ですとか、それから企業の概要書なんかを作っていただいて内容についていろいろ見させていただいたりとか、役員の方々と面談をさせていただいたりとか、または皆さんがいらっしゃらない時に工場見学をさせていただいてたりとかしてですね、この富士物産をM&Aしていいかどうかっていうのを場所を設定していただいて検討させていただいたということになります。

<スタジオ>

洋輔:山本さんはこのM&Aで東平商会の社員の中から富士物産の経営に携わる人材を送ったそうなんですけども東平商会は食品製造の経験はなく、新しい分野への挑戦ということで、軌道にのるまで社員への負担がかかっていて苦労したとおっしゃってました。ただ東平商会にとっては、今まで会社を支えてきた人材がここで抜けて動いたことで、中堅社員がすごく成長してくれたそうなんですよ。不安なこともあったけど結果的には、人材の成長に繋がる良い影響を及ぼしてくれたというふうにおっしゃってましたね。だからやっぱ動くことによって会社の中も下にいた人が上にいこうっていう、頑張ろうっていう気持ちになったっていう変化があった。そして企業評価書というワードも出てきたんですけど、これは富士物産の企業の財務状況とか、あと名前はわからないにしても、どういう人が会社に在籍していらっしゃるのかというのを資料化したもので、これをもとに東平商会はおよそ半年間検討を重ねてM&Aに至ったということなんですよね。
時間をかけてしっかりと調べながら今に至って、こういうソフト食、介護食っていうのが新しく生まれてきたっていう。
最後にM&Aをしてよかったこと、そしてM&Aを検討している方、ラジオをお聴きの皆さんへのメッセージも聞いてみました。

<富士物産>

山本さん:M&Aというと、よく時間を買うっていうんですけれども、その短期間で、元々その富士物産が持っていた年商10億円くらいある売上を東平商会のグループとして獲得することができたというのは、本当に何かマジックみたいな感じでできちゃうんですよね。もちろんM&Aに対する費用も発生しますけれどもそれを補うぐらいのその業績がグループに入るというのはすごく今の時代には必要な手法なのかなというふうに思います。
その数字だけじゃなくて、いろんな経験を持っている富士物産の元々の従業員がグループの仲間に加わったということも、ものすごく大きな財産になっていますし、また従業員だけではなくて、富士物産のお得意先様とか、あと仕入れ先様ですよね。いろんな多くの事業者との繋がりというのができてきますので、それはすごく大きな財産になってるんじゃないかなと思います。

洋輔:ゼロからまた組み立てていくんではなくて、もうあるものを譲り受けながらさらに広げていくっていうことですよね。

山本さん:ゼロから立ち上げたらものすごく時間かかると思うんですけれどもね。はい。

洋輔:M&Aを検討している方とか、M&Aをしてもらえないかなっていうふうに悩んでる方もいらっしゃると思うんですけど、そういう方に何か一言メッセージありますか。

山本さん:僕らはまだM&Aの全部を知ってるわけじゃないと思うんですよね。たまたま今回のこのパターンとか、あともう1個、M&Aというか事業承継をしたのがあるんですけれども、たまたまいい相手先に恵まれて、うまくいっているんですが、なかなかM&Aってのは難しい面もあると思うんですよね。それは何かというと、相性の良い先ならばですね、ぜひおすすめしたいんですけれども、ただ先ほど申し上げたような会社の概要書とか評価書とか、財務書表には現れないことも結構あるんですよね。いざ乗り込んでみないとわかんないことがあって、それは一番大事なのは、多分人だと思うんですよね。
その従業員の方であったりとか、周りの取引先なんかがそうだと思うんですけれども、やっぱりその事業とやっぱりその人で成り立っているので、人が動かしてるものだから、そこについてはどこまで事前に調べられるかはちょっと難しいところもあるんですけれども、よくそこは見て決めた方がいいかなというふうに思います。

洋輔:紙の上だけじゃなくてちゃんと足を運んでみないとわからないことがたくさんあるってことですよね。
最後にラジオをお聴きの皆さんに何か伝えたいことがあったらお願いします。

山本さん:富士物産って、まだまだ知名度の低い会社かなと思ってるんですけど、富士山の麓に位置していまして、美味しいとろろ芋や和惣菜、それからこれからは介護食をですね、本当に真面目に作っている会社なので、この機会に富士物産のことをぜひ知っていただけると幸いです。

洋輔:今日は本当にありがとうございました。

山本さん:ありがとうございました。

富士物産
左から富士物産株式会社 代表取締役社長の屋代 操さん、洋輔、富士物産株式会社 代表取締役会長 兼 株式会社東平商会 代表取締役の山本雅弘さん
<スタジオ>

洋輔:本当にこの人が大事だっていうね。紙の上だけではなくてちゃんと足を運んでみたりとか、人間の繋がりで。事業承継ってあるものを繋いでいくっていう大変さもあるけど、その中にすごく大切なものが詰まってるんだよっていうのを今回感じたんですよね。やっぱ承継していく、繋いでいくってのは大事なことなんだなっていうのを改めて僕も感じました。
未来に残したい静岡グルメ遺産、今年7回目は駿東郡長泉町東野にあります富士物産株式会社をご紹介しました。

<事業承継に関するご相談>
事業の引き継ぎや後継者のマッチングなど、事業承継に関するご相談がありましたらご連絡をお願いいたします。
■静岡県事業承継引き継ぎ支援センター 電話 054-275-1881

DATA

■富士物産株式会社

住所:静岡県駿東郡長泉町東野29-12
TEL:055-987-1150

富士物産株式会社 HP