[毎週土曜日]朝7:30~11:00 ※コーナーは10:00〜
パーソナリティ 洋輔・影島亜美
番組はこちらからお聴き頂けます。
「未来に残したい静岡グルメ遺産」このコーナーは
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年度は県内の金融機関や商工会議所の協力で後継者を募集しているお店、親族内や第三者に経営を引き継いだお店、そしてこれから引き継ぐ予定のお店などを取材していきます。
4回目の今日は静岡市葵区北番町にある精肉店「Saito Viande(サイトウ・ビアンデ)」さんに行ってきた様子をお届けします。
店内に入ると目の前に、キレイなお肉がズラーっと並んでいて、色も赤と黒で、素敵なお店だったんですね。
まずは代表の齊藤卓久さんに、お店についてお話をうかがいました。
洋輔:このお店、いつからスタートしてるんですか。
齊藤卓久さん:リニューアルオープンしたのが8月29日です。
洋輔:今年(2024)の8月29日ってことは、もう本当にリニューアルほやほやってことですね。すごいキレイなお店で、でもなんかちょっとお肉屋さんぽくないなって僕は印象を受けたんですけど、何かそういう狙いがあるんですか。
卓久さん:そうですね。ちょっと僕ら自身が思う精肉店とかお客様がもつ精肉店というイメージをちょっと外したかったっていうのはありますね。
洋輔:イメージをちょっと覆したかったんですね。ちなみにこのお店、どのぐらい長くされてるんだそうですね。
卓久さん:今年で73年ほどになります。
洋輔:73年!すごい歴史のある精肉店だと思うんですけどその歴史も教えてください。
卓久さん:最初は祖父と父が自転車で(肉を)配達するようなところから始まってるんですよ。その後、昭和42年の区画整理の時に店舗を構えまして。それは葵町という場所でやってたんですけど、そこから今年の8月まで、ちょっと形態を変えながらずっと営業してました。
<スタジオ>
洋輔:こちらの「Saito Viande(サイトウ・ビアンデ)」さん、いろんな取材とかを受けていて、メディアとかにも出ているお店なんですけど。
先代から引き継いで30年ほどになる卓久さんにお話をうかがっていて、8月にリニューアルオープンするまでは「斎藤精肉店」という名前で営業してたんですって。調べると同じ名前の精肉店が結構あったので名前を変えたいなってずっと思ってたそうなんですよ、卓久さんが。
この「Viande(ビアンデ)」っていうのはフランス語なんですね。フランス語で肉という意味の「Viande(ビアンデ)」がいいんじゃないかというアドバイスをもらって「Saito Viande(サイトウ・ビアンデ)」に変えたということです。
牛肉も豚肉もこだわりのある育て方をしている農家さんを指定して買っているそうでそのお話もしっかりうかがったんですけど。自分たちが使っているお肉への思いがすごい溢れていて、長時間お肉の話をいろいろ聞きすぎてここにギュッとまとめられないくらい。本当に肉に対する愛情がすごい伝わってくるお店だったんですけど、そのお肉をそのまま販売したり、少し加工したりして販売されているんですね。中でも人気のメニューがローストビーフ。そしてローストビーフの中でも僕が気になったのが「思わず笑顔になるローストビーフ」というメニューがあったんですよ。
<Saito Viande>
洋輔:さあ、ローストビーフが出てきたんですが、すごいですね。こちらはどういった商品ですか。
洋輔:すごいな、このローストビーフ。厚さが、ローストビーフですかっていうぐらい、もう1センチぐらいありますよね。
卓久さん:そうです、1センチから8ミリくらいの間を狙って切ってます。
洋輔:すごいまたね、脂身もすごいいい感じで入っていて、ちょっといいですか。早速かぶりついていただきます。やわらかい。甘い。
卓久さん:ドレッシングは手作りなんですけど、ちょっとビネガーを利かした味になってるんで、甘さはもう本当に正しくお肉の味です。
洋輔:ドレッシングの酸味が先にきているかと思いきや、お肉の脂の甘さがふわっと広がってって、さらにその甘さがすっと引いてくれるんですね。
卓久さん:そうなんです。その辺がサラッとしてる感じが、うちが今推してる牛肉の特徴になります。
洋輔:これは美味しいわ。贅沢。本当にこの厚さでローストビーフをいただいていいのかと思うぐらい。
<スタジオ>
洋輔:「ディナーローストビーフ」をいただいたんですけど、厚さがすごかった。
僕がもう本当に「思わず笑顔になるローストビーフ」っていう名前がすごい好きで食べたいなと思ったら、なんと、今日スタッフが買ってきてくれましたよ。
影島ちゃん、目の前にあります。
影島アナ:うれしい! ローストビーフがうすいやわらかいピンク色で脂がのってて、もう見ただけで笑顔になります。
洋輔:影島ちゃん、この番組始まって以来、一番笑顔になってるけど大丈夫。
影島アナ:いいですか、いただいても。いただきます。美味しい。お肉がやわらかい。とけますね。
洋輔:そうなの。やわらかくて食べやすい。あとドレッシングとの相性もいいでしょう。
影島アナ:このドレッシングは?
洋輔:これはねオリジナルの手作りのドレッシングでローストビーフドレッシングって書いてあって、これもね、またお肉に合うのよ。
洋輔:ちょっと僕もいただきます。「ディナーローストビーフ」と「思わず笑顔になるローストビーフ」、両方いただいてるんですけど「ディナーローストビーフ」は本当に食べごたえがあって、この「思わず笑顔になるローストビーフ」は食べやすいし、やわらかい。ドレッシングをかけないで食べたんすけど、もうお肉の味が美味しい。お肉の味が、ばあっと口の中に広がって、幸せ。笑顔になりました。
取材中にちょっと聞こえてたと思うんですけど、「思わず笑顔になるローストビーフ」もそうだったし、その他にもメンチカツも売り切れになっていて大人気のお店なんですよ。
ここからは事業承継についてお話をうかがってきました。
<Saito Viande>
洋輔:今3代目であるお父様の卓久さんから、息子さんの大地さんへ、親族内承継をする予定だとうかがっていて、ここからは、その息子さんの大地さんにも一緒にお話をうかがいたいと思います。よろしくお願いします。
洋輔:事業承継をしようかなって思ったのはいつぐらいなんですか。
卓久さん:彼(大地さん)から、継ぎたい、興味があるって話をもらったんですけど、それも一つのきっかけなんですけど、ただ今、まだ全然考えてないってのは正直なところで。
洋輔:なるほど、今後(事業承継)していくけど、まだふわっとしてるよっていうね。
卓久さん:せっかく新しいステージを僕と妻で作ったんで、今、承継するのはどうなのっていう。
洋輔:卓久さん、これからちょっとやりたいことがいっぱいあるんですね。
卓久さん:やっと新しいステージを作ったとこなんで、これは僕と妻が一生懸命、築き上げてきたものを今形にしました、これを今、またさらに発展させようっていうふうな感じのところなんで、承継したいなら、僕らの背中見とけよっていうぐらいの。
洋輔:大地さんは、継いでみたいと思ったきっかけはなにかあったんですか。
大地さん高校の進路を決める時にいろいろ大学に行くとか、地元の企業に入るとかいろいろみさしてもらったんですけど、やっぱ実家で働いてる中で父親と母親のお客さんに対する接し方とかお客さんが喜んでる顔が一番印象的で、この仕事やっぱ、やってみたいなって思って継ぎたかったっていうのは僕の気持ちですね。
洋輔:いい息子さんじゃないですか。
卓久さん:涙が出ちゃいますね。
洋輔:本当にすごい、いい話。
<スタジオ>
洋輔:新店舗のオープン準備を始めた3ヶ月ほど前から大地さんと一緒に働いてるみたいなんですけど、先日は商工会の方に一度、事業承継の相談をしたそうなんですが、まだまだ事業承継はこれからなので、今のところは、実務的なところを一緒に大地さんとやっているそうなんですよね。続いてちょっと僕の心に残ったお話があったのでこちらをどうぞ。
<Saito Viande>
洋輔:今日お2人から見て多分ラジオを聞いている方も、事業承継とか何か継いだ方がいいのかなって悩んでる方もいらっしゃると思うんですよ。何か一言アドバイスをするとしたら何かあります。
卓久さん:まず継いでもらいたいと思うこっち側の気持ちとしては、魅力的な仕事にしていかなきゃいけないなと思ってて、(店の前を)すごい小学生とか中学生が通るんですよ。その子たちが肉屋をやりたいよね、って思ってもらえるような店作りをしたいよね、っていう話をしてたんです。まずそこからかなっていうのは正直あって。いろんな人がそこを見てやりたいって思ってもらえる商売をしていないのに、いきなり誰かに承継してくれっていうのはやっぱおかしな話かなっていう。
洋輔:大地さんも継ぐ側からして何かアドバイスというか、気にしていた方がいいかなって思うことはありますか。
大地さん:そうですね。いろんな視点をもっていた方がいいかなと思う。これだけやりたいっていうのも、もちろん気持ちとしては大事だと思うんですけど、あれもこれも気になるなっていうのをいろいろみていくなかで、選んだ先が自分の答えになるかなって思うので。
自分の気持ちを大切に、あとはそれを父親とか母親とか周辺の方にいろいろ相談しながら自分の気持ちを確かめていけばいいのかなとは思います。
<スタジオ>
洋輔:卓久さんも「継いでもらうには憧れられていたい」と「憧れられるような職業でありたい」っていう、なんかすごい素敵な言葉だなと思ったのと、継いでもらう側も継ぐ側もお互いに委ねすぎずに、お互いがお店っていうものを通して自信を持つことで、より良い承継が目指せるんじゃないかと思って。なんかとっても印象的なお話だったんですけどね。
最後にこれからの目標もうかがいました。
<Saito Viande>
洋輔:まず大地さんから聞いてみますか。
大地さん:目標はですね、まずは今来てもらっているお客さんに「美味しい」っていう言葉をもっと言ってもらいたいですね。ここに来てもらって、やっぱここに入ってもらうまでがまず一番の壁で、それを超えてもらってさらに美味しいお肉を食べたいっていう。
また食べたいっていうその気持ちをもっとこう広げて、いろんな人に知ってもらいたい。
知ってもらうのが今の目標です。
卓久さん:目標ですか。今思ってることはミシュランにのりたいなと思う。本当にのりたいわけじゃないんですよ。正直言うと。ただ、どういう目標を持って仕事をした方がいいのかなと思った時に、やっぱそこを目指して努力をしないと、どんどん成長しないと思うんです。
そういった時に、単純に静岡で一番とか、日本で一番いうよりも、いろんな飲食の方がそこ(ミシュラン)をとるためにすごい努力をするわけじゃないですか。本当に店を綺麗にするのは当たり前だし、クリーンにするとかもそうですし、立ち振る舞いであったりとか、商品の管理であったりとか、提供の仕方であったりとか、そういうのを本当に一段でも二段でも、どんどんあげていく時に、何を目標にした方がいいのかなっていった時に、多分今、ミシュランって言っちゃった方がわかりやすいのかなって思って。
洋輔:本当に大きな目標としてわかりやすいと思います。僕も。
最後にご家族みんなで「Saito Viande(サイトウ・ビアンデ)来てねー!」みたいな写真を撮りたいです。
齊藤さんご家族:ありがとうございました。
<スタジオ>
洋輔:そうなんです、最後、僕のわがままで卓久さん、そして大地さん、それと奥様のクニコさんと、あと長女のエミさんに入っていただいて写真を撮りました。
影島アナ:にぎやかで和気あいあいとしてました。
洋輔:なんか家族4人で店を継いでいる姿がとっても素敵で、中で流れてる写真とかも家族写真みたいなのも結構あったりとかして、なんかとってもキレイでおしゃれなお店なんですけど、「町の精肉店」っていう感覚があって、守っていきたいなっていうのをすごく感じたんですよね。番組でこれからも応援していきましょう。
<事業承継に関するご相談>
事業の引き継ぎや後継者のマッチングなど、事業承継に関するご相談がありましたらご連絡をお願いいたします。
■静岡県事業承継引き継ぎ支援センター 電話 054-275-1881