[毎週土曜日]朝7:30~11:00
パーソナリティ 洋輔・影島亜美
番組はこちらからお聴き頂けます。
今年も去年に引き続き始まりました「未来に残したい静岡グルメ遺産」のコーナーです。
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年度は、県内13の金融機関と静岡県信用金庫協会さんの協力で、後継者を募集しているお店、親族内や第3者に経営を引き継いだお店を取材をしていきます。
今回ご紹介するのは、焼津市小川新町、焼津水産高校の目の前にある「いなか風中華 伊志川」さんです。
1978年にお店をスタートさせて、45年になるんですが、外観は昔ながらの旅館のような(感じで)、中に入るとお蕎麦屋さんみたいな雰囲気ですが、新鮮な魚介をふんだんに使った創作中華がウリのお店なんです。
今回インタビューしたのは、マスターの石川健次さん、そして女将さんの石川芳子さん。
まずはじめにお二人にお店について伺いました。
<いなか風中華 伊志川>
洋輔:(こちらは)お蕎麦屋さんとかじゃないですよね。(看板に)”いなか風中華”って書いてあったんですけど。これはどこからきているんですか。
芳子さん:焼津に特化したというか、焼津のマグロやイワシを使って地元のもので、皆さんに楽しんでいただけたらって、いろいろ考えてやってます。
洋輔:健次さんがいろいろ料理を考えて(作っているんですね)。
健次さん:昔の人は自分の家から10キロ以内、三里以内のものを食べていれば、大体、体にいい(とされていた)。今は不可能なんでなるべく国産品、地元で採れたものを使うように心がけてます。
洋輔:最近よく聞く地産地消ということですよね。その土地でとれたものを食べるっていう。
健次さん:そうですね。
洋輔:ちなみに”中華風”のこの中華っていうのは、どこからきたんですか。なぜ中華になったんですか。
健次さん:僕が最初に修業した店が中華料理屋なんですよ。それで東京にいて、自分がお店を持った時は、日本人に合った、地元の食材を使って日本人に合った料理を作ろうと思って心がけて、それで建物も全部和風にしちゃおう、中途半端に和風にしてもしょうがないから、昔の造りにしようと、昔の建具を使ったり、このテーブルも、自分で全部(表面を)焼いて磨いてやったっていう。
洋輔:このテーブルがそうなんですか。まじまじと見ちゃった。このテーブルですよね。
健次さん:それも(表面を)焼いて、米糠で磨いてっていう。
洋輔:実は僕、このお店に入っていろいろ全部見せていただいたんですけど、宴会場とか、たくさん場所(部屋)があるじゃないですか、結構広いんですよね。
照明器具とか、そういうところに陶芸みたいな感じで使われてるあれも?
洋輔:窯がここにあるんですか! 自分で(器などを)焼く用に?
健次さん:そうです。
洋輔:ちょっと待ってすごいですね。
芳子さん:食器もほとんど(マスターの手作り)。宴会もなるべくマスターの作ったもので。食器も。丼から小鉢も(マスターの手作り)。
洋輔:マスターの石川健次さん、とにかくアーティスティックで、テーブルを自分で作ってしまうという。(木を)削って焼いて、糠をぬってとか、本当にたっぷりこだわりが詰まっているのがわかったんですけど。
お店の入口に陶器とか湯呑カップがあって、天井の飾り、照明の飾りとか、照明カバーみたいなのが陶器だったりして。
洋輔:(店内を)見渡せば見渡すほど、健次さんの手作りであふれてるようなお店で。
影島アナ:温かいですね。
洋輔:温かかった。なんかちょっと面白かった。僕的には。個人的にはすごい楽しいなって思っちゃって。
地元の皆さんにも楽しんでもらえるようにという点で、健次さん、畑を自分で持っていてそこの畑で作った食材を自分で料理して、自分のお皿で出してる。自分が作ったお皿で(料理を)出してる。すごいお店だなと思ったんですけど。
続いて「いなか風中華 伊志川」さんのおすすめメニューをいただいてきました。
<いなか風中華 伊志川>
芳子さん:はい、お待たせしました!どうぞ!
芳子さん:いろいろと持ってきました。マスターの手作りの器と、中華風のお刺身になります。
洋輔:すごい、いっぱいきました。ひとつずつ説明してもらっていいですか。
芳子さん:まずこちらの方が金箔が入ってますね。金粉のある中華風のお刺身です。そばにピーナツを砕いたもの、シソの葉、ワンタンの皮を揚げたものです。これ(お刺身)に混ぜてしまうんですけど、よろしいですか。
洋輔:はい。
芳子さん:まずコショウをかけまして、(次に)ピーナツの油です。ピーナッツ油を生姜とネギで香りづけしてます。ネギ油ですね。そしてお醤油が入ります。
これを混ぜちゃうんですけど下にかいわれ大根、白ネギ、いろいろな香味野菜がひいてあります。金粉を混ぜちゃうと、どっかにいっちゃうんで、先に目立つところ(金粉)をおとりします。貴重な金粉をとりまして、まぜてしまいます。
洋輔:これでサラダ風になるんですね。
芳子さん:そうです。そうですね。まぜてから(料理を)もってきちゃうと、(これ)何って感じになっちゃうんで。
洋輔:目の前でまぜるのが「伊志川風」なんですね。
芳子さん:(まぜた後に)ここでお客様に「美味しいって言ってね」って(笑い)。はい、お待たせいたしました、どうぞ。
洋輔:いただきます。金粉がついてるところを大胆に…。うん、うん、さっぱり!やっぱお魚美味しいですね。さすが焼津。
芳子さん:ありがとうございます。
洋輔:マグロが美味しいし、女将さんが作ってくれたタレが絶妙に絡み合って、さっぱりして美味しい。
芳子さん:よかったです。嬉しいです。
<スタジオ>
洋輔:”中華風刺身”って、僕聞いたことがないっていうか、あんまり知らなかったんですけど。
影島アナ:”中華風刺身”、私も初めてでした。
洋輔:サラダのようにお刺身と野菜を混ぜて食べるんですけど本当に美味しかったの。
さっぱりしているから、他にもいろんな料理が食べれるなと思ったら、女将さんが背黒いわしを揚げたものとかを出してくれたりとか、そこにパセリがたっぷりかかってて。
あとは摘果ミカンを使ったさっぱりとしたソースとか、そこにニンニクマヨでアクセントをつけたマグロのカルパッチョとか、さまざまな料理をいただいたんですけど。もう録音で流せないぐらいたくさん食べました。
本当、どれも美味しくて、結構お酒もすすむけど口の中がずっと爽やかなまんまって感じで。
影島アナ:摘果ミカン、いいですね。
洋輔:摘果ミカンも美味しかった。あとは、先程、音でも聞こえたかなと思うんすけどカタカタって。手作りの器と一緒に(料理が)運ばれてきたんですけど、器も本当にかわいいものもたくさんあって。近くに行ったらぜひ「伊志川」さんに寄って欲しいと思うくらい、僕のおすすめの場所です。
「伊志川」さんの料理、この先もたくさんの人に食べてほしいんですが、お二人とも高齢になり、誰かお店を引き継ぐ人がいたら、ということで、静清信用金庫の方に相談されたそうなんですね。ということで、「いなか風中華 伊志川」さんを担当されている静清信用金庫の後藤さんにお二人からどのような相談を受けたのか。そして最後に健次さん・芳子さんに、どんな方に引き継いでほしいのかなどを伺いました。
<いなか風中華 伊志川>
洋輔:「伊志川」さんはどんな感じで質問にこられたんですか。
洋輔:本当にこの味と食器とこの雰囲気を全て継いでくれるような若くて元気な人がいいって感じなんですかね。
後藤さん:そうですね、そこは健次さんもおっしゃってたんですけど、若くて元気で、やる気のある方を、見つけてこれたら最高だなと思っております。
洋輔:今、後藤さんに話を伺いましたが、健次さんの要望としてどういう方がいいみたいなのってあるんですか。
健次さん:とにかく元気で、やる気があって、それこそもう独身じゃちょっと無理だと思うから。
芳子さん:そんなこともないですけどね。
洋輔:そこ(二人で)すり合わせしてください。
芳子さん:あなたも私があったからでしょ。
健次さん:だから、夫婦二人ともやる気がある人じゃないとちょっと。
洋輔:周りがサポートしてくれるような環境がある人がいいってことですね。
健次さん:そうですね。
芳子さん:うまいですね。そういうことですよ。
洋輔:料理経験っていうのはあった方がいいんですか。
健次さん:それはあった方がいいですね。基礎がないとちょっと大変だと思います。何でもそうですけどね。普通のサラリーマンがポンと入ってもちょっと無理だと思います。
芳子さん:でも、でもね。コンセプトを変えれば、例えばお弁当屋さんであり、何かうまい具合に今の若い人たちはいろんなアイデアがあるから、そういうのもふまえて静信信用金庫さんとか皆さんに広く、こういう場で広げていったら何かいいアイディアが(生まれるのでは)。
洋輔:また何か新しい人が入って、今までの形とはちょっと変わってしまうとは思うんですけど。いい人が見つかるといいなと僕も思いますし、まだ食べたことがない方にも、この中華風刺身をぜひ食べてほしいと思います。これからも頑張って作りながら、楽しく探していただければなと思います。応援しています。
健次さん:ありがとうございます。よろしくお願いします。
芳子さん:ありがとうございます。
<スタジオ>
洋輔:マスターと女将さんのやり取りがすごい良かったでしょ。いい人が本当に見つかるといいなって僕も素直な感想です。「伊志川」さん、本当にこだわりがたくさんあるんですが、そのこだわりを活かしたままもよし、新しい形に変えてもよし、と。とにかく元気な方に継いでもらえたらということでしたね。
未来に残したい静岡グルメ遺産、今回は、焼津市小川新町、「いなか風中華 伊志川」さんをご紹介しました。
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■静岡県事業承継引き継ぎ支援センター 電話 054-275-1881
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