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未来に残したい 静岡グルメ遺産

[毎週土曜日]朝7:30~11:00

パーソナリティ 洋輔・影島亜美

洋輔
未来に残したい静岡グルメ遺産 SATURDAY View→N
2023.10.14(土)放送 春埜製菓(静岡市清水区由比北田)

「東海道中膝栗毛」にも登場!
東海道由比宿の名物「たまご餅」が存続の危機に!【後継者募集中】

番組はこちらからお聴き頂けます。

今年も去年に引き続き始まりました「未来に残したい静岡グルメ遺産」のコーナーです。
静岡新聞・SBSが運営するグルメサイト「アットエスグルメ」と共同企画で、大切な静岡のお店を残すためのプロジェクトをラジオでも展開していきます。
今年度は、県内13の金融機関と静岡県信用金庫協会さんの協力で、後継者を募集しているお店、親族内や第3者に経営を引き継いだお店を取材をしていきます。

今回ご紹介するのは、静岡市清水区由比、旧東海道沿いにある和菓子店の「春埜製菓」さんです。
「春埜製菓」さんは、長年、静岡市清水区由比で和菓子店を営んでいるお店で、今回インタビューした望月 友晴さんは3代目でいらっしゃいます。 まずはじめに、望月さんにお店について、お店をやっていて感じていること、また、幼いころの思い出、そして、長い歴史愛され続けているお店の人気商品「たまご餅」について伺いました。

春埜製菓 代表取締役 望月 友晴さん
洋輔(左)、「春埜製菓」代表取締役 望月 友晴さん(右)

洋輔:お店の目の前が旧東海道で”ザ・昔ながらの和菓子屋”さんっていう感じの入り口でガラガラっと扉を開けて入っていくと、お菓子がずらっと並んでいるんですけども、お店について改めて望月さんの方から紹介していただいていいですか。

店主望月さん:うちは東海道五十三次の16番目、由比宿にあります。今3代目なんですけども、うちのおじいちゃんが1926年、大正15年、昭和元年に作った、この辺でずっと地元にお菓子を提供してきた和菓子屋です。

洋輔:本当に地元に根付いていて、それこそ近くのお寺さんとか、いろんなところに和菓子を提供してきたんですか。

店主望月さん:そうですね、お寺さんもそうですし、ここら辺の近所のおじいちゃん、おばあちゃんも多いですけれども。そういう方々に提供してきたという感じです。

洋輔:本当に歴史もあって、長年愛されている和菓子屋さんだと思うんですが、望月さん自身お店を開いていて、いかがですか。

店主望月さん:そうですね。皆さん買いに来てくださって、応援してくださっているのは、はい、感じます。

洋輔:望月さんは3代目ということなんですけれど、ちっちゃい頃からもうお菓子作りをそばで見ていたということなんですかね。

店主望月さん:そうですね、ここは家と工場が一緒になっているので。 おじいちゃん、おばあちゃんとお父さん、お母さんが大体働いていて、忙しい時になると親戚の方々も来て手伝って、それに加えて、僕ら子供たちが手伝わされるということでやっていました。

洋輔:望月さんはそういう時って箱詰めをしたりしてたんですか。

店主望月さん:そうですね。そんなきちんとしたものを作るというところは多分できなかったと思うんで、最終的な箱詰めだったり、袋詰めをやっていましたね。

洋輔:そんな「春埜製菓」さんの看板商品を教えてください。

店主望月さん:はい。「たまご餅」という商品があるんですけど、それが「東海道中膝栗毛」の弥次さん・喜多さんのくだりにでてきていて「さとう餅」という名前で出ているんですけど、それが時を経て、「たまご餅」という名前に変わってしまったんですけども。

たまご餅
白い餅の中に甘さ控えめの餡が入った「たまご餅」
洋輔:「東海道中膝栗毛」の中にも描かれている「さとう餅」が名前が変わって「たまご餅」になったんですね。

店主望月さん:その「たまご餅」を食べていただければと思います。

洋輔:早速いただきたいと思います。すごい白いね、これはどのぐらいの大きさかな。500円玉より大きいな。見た目は本当にツルツルで白いタマゴみたいな感じですけど。
早速袋を開けて、いただきます。美味しい、お茶飲みたい。普通にお茶が飲みたくなるくらい美味しい。お茶と合いそう。僕が想像する和菓子ってこういうものだよなっていう昔ながらのお饅頭のイメージで、甘さもほどよいし、なんか疲れた時にすごい食べたくなるようなお餅ですね。

店主望月さん:そうですね。

洋輔:これをみんな食べながら由比の海岸に行ったりとか、みたいな方が多いんですかね。

店主望月さん:そうですね。そういう方もいらっしゃいますし、由比のサクラエビを食べに来がてら買って帰るっていう、車で来る方も県外の方々も、いらっしゃいます。

洋輔:なんか本当にちょうど良い和菓子っていう感じですよね。お土産で買って帰りたい和菓子です。本当に。

たまご餅
洋輔:「たまご餅」をいただいたんですけど、本当にお餅が程よいかたさで、僕の好みのお餅の感じ。なんか、昔ながらのお饅頭ってこういうものだよねっていう歴史を感じるような感じでした。

影島アナ:私も食べたことがあるんですけれども、本当に素朴な甘さで美味しいですよね。 なんだか本当に懐かしい気持ちになるような。

洋輔:この「たまご餅」は江戸時代に作家 十返舎一九が書いた「東海道中膝栗毛」にも登場する「さとう餅」がルーツになっているということです。やっぱり歴史があるんだよね、これだけ長い歴史において食べられてきた、食べた人を飽きさせない食感とか味を持ち続けるっていうのは、本当にすごいなと思ったんですよね。
それと同時に、この歴史をここで途絶えさせてはいけないなって僕自身も感じていて、 実は望月さんなんですけど、「春埜製菓」を引き継いでくれる方や企業を今募集してるんです。 自分の代で途絶えさせてはいけないと思っているけど、様々な事情があって望月さん一人で「春埜製菓」を続けていくのが大変になってしまったんですね。
そのあたりの事情と地元の清水銀行さんにどのようなサポートをお願いしているのかを伺いました。

洋輔:長い歴史を紡いできたお菓子をもっと若い人たちにも、味わってほしいと思うし、この味や製法をここで途絶えさせるわけにはいかないと思うんですが、いかがですか。この後、継がれていく方の問題みたいのあるんですか。

店主望月さん:そうですね…。僕がこの店を引き継いだのが20年ぐらい前なんですけど、15年前くらいにちょっと僕が事業としてチャレンジしたいものがあって、そこをちょっとやらせてもらったんですけど、それでここから引っ越してしまったんですね。 それがなぜできたかというと、うちの母と姉がお店(春埜製菓)をやってくれていたので、僕は月に一、二回、大量に(お菓子を)仕込む時があるんですけど、それを手伝えば何とか回っていたんですけど、去年、母親が亡くなってしまいまして。それでこの店をどうしようかっていうところも考えたんですけど、取り急ぎ続けてはいるんですけど、姉が一人で今やってるんですが、結構一人だと何かと大変なことが多くて。
それであるならば、引き継いでくれる方がいらっしゃるんだったら、ということで、いろいろ考えて、清水銀行さんに声をかけさせていただいたりっていうのもありますね。

洋輔:実際、清水銀行さんにどのような相談をしたんですか。

店主望月さん:そうですね。お店が人手不足なので、引き継いでくれる方がいらっしゃらないかっていうのと、店と住む場所が同じところにあるのでここで住み込みで、やってくれる方とかもいらっしゃればいいかなっていう話をしたりとか。大きな会社さんでもいろんなところでお菓子を売ることができるので、いろんな方を探してくださいということで。

洋輔:なるほど、本当にそのお母様が亡くなられたことをきっかけにちょっと次のステップじゃないですけど。今ちょうど僕たちが座っている場所なんですけど、和菓子を作る場所だと思うんですが様々な機械がたくさんあるじゃないですか。
僕も見たことのない、蒸し器みたいなものとかあとオーブンも大きいのも全部あるんで、こういうのも丸ごと使ってくれるような人を探してるということなんですかね。

店主望月さん:そうですね。「たまご餅」に限らず、いろんなお菓子を一通り作ることに対応できるんじゃないかなと思います。

洋輔:せっかくだから道具を使わないともったいないですもんね。

店主望月さん:そうですね、使っていただけたらありがたいですね。

たまご餅
洋輔: 話をしていた場所が和菓子を作る場所、(お菓子を)練ったりとか混ぜたりするような、工場だったんですけど、機械がいろいろあって、蒸す機械は蒸し器をたくさん載せられるようになってたりして、これ、使い方がわかっててお菓子作りができる人だったら、目がキラキラするんだろうなっていう感じだったんです。
本当に現役で使っている様々な調理器具がびっしり並んでいるところだったんです。

望月さんはご自身の事業をするために引っ越しをされていて、一時期はお母様とお姉様、二人でお店を切り盛りしてたんですが、お母様が亡くなってしまってお姉さま一人だとちょっと大変だということで、この際この歴史あるお菓子をどなたかに引き継いでもらいたいという思いがある、というお話を伺ったんですが、インタビューにもありましたけど、お菓子を作るのに必要な場所も道具も揃っている。
「たまご餅」のような和菓子だけでなく、お店にある調理器具を使えば、ある程度の洋菓子を作るのにも対応できるということです。

お菓子作りを本格的にやりたい人、そしてやる気のある方、さらに大量生産にも対応しているので、お菓子作りを展開したい企業の方でも、歴史を紡いでくれる方を募集しているということです。
望月さんにお店を継ぐにあたっての要望と、今後の目標を伺いました。

洋輔:ちなみに望月さんはどういう方に継いでほしいとか、要望みたいのはありますか。

店主望月さん:やる気のある方であったら住み込みとか自分の好きなお菓子作ってもらって、自分で売るところまでやっていってもらえたらいいかなっていう気がします。 あとは大きな会社さんだったら、どんなところでも(お菓子を)売ることができると思うので。そういうやり方もあるんじゃないかなと思いましたね。

洋輔:なるほど。ちなみに今販売している「たまご餅」とか「桜えび最中」は、続けてほしいと思っていますか。

店主望月さん:そうですね。できれば続けてほしいです。「さとう餅」(たまご餅)っていうのが「東海道中膝栗毛」に(記載が)あったってことは400年ぐらい前の書物だと思うのでそこからなくなるというのは、ちょっともったいないかなと。

洋輔:興味ある方がいたらぜひ(引き継いでほしい)。では、最後の質問になるんですが、望月さんの今後の目標を教えてください。

店主望月さん:お菓子(たまご餅など)に関しては、作るところにしても、販売するところにしてもコツの部分が結構あるので、それを伝えていかなければいけないと思うので、それを伝えきるっていうのが目標です。

洋輔:なるほどちゃんと一緒に「たまご餅」を作るところも一緒にやって継承して、そこまでが今、望月さんの目標ってことなんですね。

店主望月さん:そうですね、はい。

洋輔:本当にこの「たまご餅」を大切にしてくれる方だったら、ちゃんと望月さんが教えて、作り方とかも継承していくよ、と話してくれてたんで。 ぜひ本当にやってみたいという方、住居スペースもあるということなので、この場所に住みながらお菓子を作って売ってみたいという方は、ぜひ問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
(事業を)承継したりとか引き継ぎとかをする時にいろんな補助金みたいなシステムがあるらしいんですよ。僕もそんなに詳しくないんですけど。望月さんはそういうのも全然使ってもらって構わないですよとも言ってたんで、なんかそういうところも望月さんたちとみんなで話し合いながら、進めていけるんじゃないかなって思いましたね。
今回は静岡市清水区由比、旧東海道沿いにあります和菓子店の「春埜製菓」さんをご紹介しました。

<事業承継に関するご相談>
事業の引き継ぎや後継者のマッチングなど、事業承継に関するご相談がありましたらご連絡をお願いいたします。
■静岡県事業承継引き継ぎ支援センター 電話 054-275-1881
■清水銀行ソリューション営業部 電話 054-366-9992

DATA

■春埜製菓

住所:静岡県静岡市清水区由比北田92
TEL:054-375-2310

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