・リニア着工の判断に注目が集まる中、ちょうど良いタイミングで問題の経緯や課題、論点の整理がされていた。
・昭和の「水返せ運動」も記者の熱心な取材と記録映像で当時の様子がよく理解できた。
・アナウンサーのナレーションも淡々としていてよかった。
・リニアについて、より人々に考えてもらう影響力のある番組で、将来においても重要な記録となる番組だった。
・最近多い劇場型の報道番組やワイドショーとは明らかに違う、硬派な報道番組として価値の高い番組だ。
・問題の解決ではなく、問題の存在そのものを整理して示すことに成功しており、その意味で大変価値のある番組だった。
・水利権をめぐる問題は古くからの典型的な問題。さらに治水は政治の基本。この問題は掘り出すとかなり広がってしまうので、問題提起におさえたのは正解だ。
・地域エゴの代弁が地方マスコミの役割であり、もっと静岡寄りの内容にしてもよかったくらいだ。
・水の描写が多いことは仕方ないが、やや紀行番組に見えてしまい、もっとハードに問題の所在を表現できなかったか。
・今になって国が動き出したが、その遅れの理由について説明が足りなかったのではないか。
・JR側が個別取材に応じず、やむを得ない面もあるが、JR側の見解や主張が少なく、公平性に欠けた印象だ。
・大川水系の重要性には異論はないが、本当にトンネル工事で水が減るのかどうか、別の考え方についても触れておくべきだった。
・リニアの是非ついての結論を出す番組ではないが、ホットなテーマであるがゆえに、視聴者はどちらの言い分が正しいのか、結論を求めてしまうのではないか。
・知事のエキセントリックな発言が際立ち、県の論理的な意見がかき消された印象だ。副知事の発言のほうが論理的で伝わりやすかったのではないか。
・コロナ禍後の社会の在り方が議論される中、東京~名古屋間を40分で走る意味は何なのか。莫大な経済効果があるというが、南アルプスの環境を守ることも莫大な経済効果があるのではないか。
・再放送や全国放送を実施し、リニアと人々の暮らしの問題について、より多くの視聴者に論点を伝える必要がある。
・南アルプスの環境や市民生活に与える深刻な影響、また静岡県の姿勢や国・他県の知事の反応などを示し、コロナ禍に翻弄される私たちの未来の社会のありようを考えさせる秀逸な番組であった。
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