超臨界流体

 ラベンダーなどのエッセンシャルオイルの抽出や、カフェインレスコーヒーの製造に活用されている「超臨界流体」って知っていますか? 圧力と温度を上昇させることで物質が液体と気体両方の性質を有したままになる現象なんだそうです。(小) 

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 先日静岡市内で開かれた静岡大理学部主催の「サイエンスカフェ」で、同大工学部化学バイオ工学科の岡島いづみ先生がこのことをテーマに講演されました。正直ちょっと難しかった。けれども、とても興味深い話でした。

 たとえば水は、1気圧下では100度で沸騰し、水蒸気になりますが、374度(臨界温度)、218気圧(臨界圧力)まで上昇させると、液体と気体の両方の性質を持つ「流体」になります。二酸化炭素は31度以上、73気圧以上で同じく流体になります。

 ラベンダーからエッセンシャルオイルを抽出するは、まず超臨界流体の二酸化炭素の中にラベンダーの花を入れて、二酸化炭素とエッセンシャルオイルの成分を結合させます。それを室温、大気圧に戻すと、二酸化炭素が気体になって分離し、エッセンシャルオイルだけが残るという仕組みです。

 超臨界流体は、プラスチックのリサイクル、廃棄物からの燃料ガスの製造、ビールのホップエキス抽出、唐辛子のカプサイシン抽出などにも活用されているとのこと。実は前任地の浜北支局勤務時代、岡島先生の研究室にお邪魔して、お話をうかがったことがあります。講座を聞いてあらためてその汎用性の高さに驚きました。ぜひ今後の研究の進展に期待したいです。

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