MV写真 MV写真
SHIZUOKA PRIDE 〜未来へのチカラ〜

自転車競技ナショナルチーム
中村選手・古山選手・梅川選手

2021年4月9日

3選手写真
自転車競技ナショナルチームの
(左から)中村選手、古山選手、梅川選手

 自転車競技ナショナルチームとして伊豆に在住しながらトレーニングを重ねる中村 妃智選手、古山 稀絵選手、梅川 風子選手。中村選手は東京オリンピックでのメダル獲得を狙い、古山選手、梅川選手はパリ・オリンピックを目指す。厳しいトレーニングの合間に、SBSアナウンサー山﨑加奈が混ざって繰り広げた本音の女子トークを紹介。笑いが絶えない会話で垣間見せた素顔の3選手に注目だ。

鼎談風景
女子3選手による鼎談。終始にこやかな雰囲気で進んだ。
左は進行役の山﨑アナウンサー。

(山﨑加奈SBSアナウンサー・以下山崎)
はじめまして、本日はよろしくおねがいします!普段はどれくらい練習をしてるんですか?
(中村 妃智選手・以下中村)
今日は朝9時から、山を自転車で登って降りて、午後も練習してました。私と古山選手は中距離なので、短距離の梅川選手とは練習メニューも行動も違うんですよ。
(梅川 風子選手・以下梅川)
そうなんです。メニューは全然違うんですが、中距離も短距離も働くのと一緒でずっと練習してます!という感じです。
(山﨑)休日とかはあるんですか?
(中村)日曜日がリカバリーロードといって足を動かしながら休息に当てる日になっているのと、水曜日は休みですね。
(梅川)短距離は日曜休みです。
(山﨑)休みの日はどんなことをしているんですか?
(古山 稀絵選手・以下古山)
疲れ具合とオフ明けの練習強度とにらめっこです(笑)中村選手はめっちゃアクティブですよ!選手の中でも一番!
(中村)元気なときはロッククライミングに行ったり、夏はSAPをしたりしてます。山・川・海と自然に恵まれた伊豆ならではを満喫してます。
(梅川)私はあんまりアクティブじゃないですね(笑)。基本休んでます。料理を楽しんだり。でも海も近いのでSAPには挑戦したいですね。
(古山)海がめっちゃきれいですよね!
(山﨑)普段から体は使っているけど、やはりアスリートなのでお休みでも体を動かしたい?
(中村・古山・梅川)そんなことはないです(笑)
(古山)買い物行ったり、動画見たり、映画見に行ったりもしてますよ。最近はどの角度で写真を撮ったらインスタ映えするかとか、かわいく映るかを研究してます。
(山﨑)理想の角度見つかりました?
(古山)いや、その日のコンディションもあるので正解はないですね。
(3人)(笑)。
(山﨑)皆さん仲がいいですね。チームで練習して、チームで行動していくということも多いんですか?
(梅川)短距離はほとんど別行動で、コミュニケーションはあまり取らないですね。一緒の場所にいて、同じ生活のリズムだけど、一緒にやるということはないかなぁ。私は沖縄合宿で初めて一緒に走ってすごい楽しかったです。普段から一緒に行動している中距離の選手の仲の良さはうらやましく感じますね。

中村選手
休日はロッククライミングやSAPなどで伊豆の自然を満喫すると話す中村選手

 (山﨑)中距離、短距離と違う種目だと思いますが、お互いをどう見てますか?
(梅川)中距離はシビアな世界ですよね。
(古山)いや、短距離の方がシビアじゃないですか?増量期・減量期とか…。
(梅川)確かにそれはありますけど私はそこまで苦痛ではないですね。増量期は普通盛りを大盛りにしたりで調整します。個人差がありますが、食べすぎて増量期なのに減量しなきゃという選手もいたりします。
(中村)中距離は増量、減量というよりはずっと一定をキープしていくという感覚ですね。少し太ってきたら「よし、ベストコンディションに戻していこうか」ということを1年通して繰り返す形。
(古山)短期間で調整する短距離の選手はすごいなぁと思いますね。
(梅川)いやいや(笑)中距離の選手を見ていて、あんなに長く走れない!長く練習できない!とすごいなぁと見てます。
(古山)長く走ってるんですけど、本気出している時間は実は短いんですよ。
(中村)1時間半の練習でも全力で走っているのは30分くらいでしょうか。1分全力、1分休みを繰り返すのを40本やったときはしんどかったです…。
(古山)地獄でしたね…。
(梅川)精神的に厳しい練習ですね…。
(山﨑)心が折れそうですね…
(中村)実際心が折れたことありますよ。それも度々…。1セット目が調子よくても2セット目で崩れてしまう。足に力が入らない。こういうときモチベーションを保って気持ちを入れていくことが重要ですね。そんなときはチームメートが支えになってくれる良さはあります。
(梅川)それでもあれだけ長く走ってもハァハァしないですよね?中距離の厳しさも短距離の厳しさも分かってはいますが、長い距離を一定の力で走っていくのは体の作りが多分違うんだろうなぁと思ってます。
(古山)息切れしょっちゅうしてますよ(笑)
(中村)私も自分ができないだけに短距離の選手には憧れがありますね。持っている能力が違うんだろうなぁと。才能があったなら短距離をやりたかったという思いはありますが、中距離の方が自分には合っていた。競技を続けていくうちにその魅力に取りつかれましたね。
(古山)私も憧れてます。短距離選手ほど一気に力を出し切る才能がなくて。例えば陸上競技で100㍍の選手がマラソンを走れるかといえば走れない。マラソン選手が100㍍を走れますかといえば走れない。同じ競技ではあるけど持っているものが違う。自転車競技も一緒でお互いに尊敬し合っていますね。
(山﨑)なるほど。分かりやすい例えありがとうございます!


(山﨑)それぞれの競技の魅力はなんですか?
(中村)2人で走るマディソンは中距離独自の種目。4人で構成するチームパシュート(団体追い抜き)は、チームでコンマ0.1秒を刻んでいく。どちらもチームワークが必須で独特の世界感がありますね。古山選手とは大学、所属が一緒なので何度か大会も一緒に出ています。
(古山)長い距離を走るのでレースの中にドラマがあるのは魅力の一つですね。リードしてても後半で抜かれたり、逆に後半で勝つこともあったりします。
(山﨑)お互いの印象は?
(中村)先輩後輩の関係ではありますが、(後輩である)古山選手を頼りにしてます!笑
(古山)中村選手がいなければジュニアからエリートへと成長することはできなかった思ってます。色々と助けてもらっています。
(山﨑)チームでは中村さんがムードメーカーですか?
(中村)いや、古山選手です!
(古山)盛り上げることは取り柄として生きてきましたから!(笑)
(中村)練習中に声を出して盛り上げてくれたり、心が折れそうなときも励まされたりしています。こういうインタビューも一緒にいれば全部喋ってくれるので。
(古山)(笑)。練習も後半になるとしんどくなってくるので、よし、頑張るぞ!ということで「いくぞ!!」とか積極的に声を出すようにしてます。距離が長いので我慢勝負の一面も。励まし合わないと乗り越えられない時もありますので。
(中村)朝起きたときに「よっしゃー!」といって起きるのだけはちょっと…。朝からこのテンションかよって心のなかで突っ込んでます((古山)元気なときに限りますよ。
(梅川)実際に試合のときにも声を出したりします?マディソンで選手を押し出すときに「いけぇー!」とか。
(中村)「いけぇー」という気持ちで押しますが、そこまでの余裕はないですね。押し出す時、投げた時に力が入るので声は出ますが。
(古山)中村選手は飛ばすのが上手なんですよ。すごい楽に最初の1、2歩でグッといける。「ありがとうございます!!」と心で叫んで走り出します。
(山﨑)絆が生まれる瞬間ですかね?
(中村)そうですね。その時もそうだし、失敗なく終わった時とか、走り終えることができてホッとした時もチームワークを感じるときですね。
(梅川)やっぱうらやましいですね。短距離にもチームスプリントがあるのですが、私はそこまで経験はないので。厳しいことを乗り越えつつチームワークができて楽しいというのは最高ですね。

古山選手
ムードメーカーとしてチームを引っ張る古山選手。ガールズトークも盛り上げる。

(山﨑)梅川選手はスピードスケートからケイリン、そして自転車競技と競技を変えてきましたが、そのきっかけは何だったんですか?
(梅川)スピードスケートを引退する時に、せっかくここまでトレーニングして鍛えてきたものを捨てるのはもったいないなと感じたことです。ケイリンに進んでいた仲間もいて、引退前からガールズケイリンに行こうという思いがありました。
ガールズケイリンはまだできてから日が浅いですが、不思議とやっていける自信はありました。どこまで自分ができるのかの挑戦もしたかった。ある程度結果を残せてきたので、次は自転車競技へと自然とステップアップしていきましたね。また、自転車競技の短距離のトレーニングがガールズケイリンにも有効なので、練習しながら両方の種目で早くなる近道だと思っています。能力が向上しているのも実感しています。
(山﨑)「風子」という名前も風のように早くという思いが込められているんですか?
(梅川)そうらしいんですけど、両親に聞いたらはぐらかされました。「山がついて嵐じゃなくてよかったわね」なんて(笑)。

(山﨑)競技人生の中で一番うれしかったことはなんですか?
(中村)ワールドカップのメダルですかね。
(古山)私は高校生で出場したジュニア世界選手権のチームパシュートですね。0.03秒差で3位に。3番目を走ったのですが、最後は写真判定での勝利。コンマ01秒の世界で戦っているんだということを実感するとともに、表彰台に上がれたことが本当にうれしかったですね。
(梅川)私はレース経験は少ないのでまだ言い切れないですね。チームスプリントをやっていきたいという思いがあるので、そこで上位に入っていくことを目標にしていきたいですね。

(山﨑)伊豆はいかがですか?
(中村)好きですね。もう2年くらいいるので行きつけのお店があります。自然に囲まれていることと人が温かい。その中で人とつながっていくことがうれしいです。
(古山)中村選手はアクティブなんで行くとこ行くとこ知り合いだらけですよ。「きさとちゃーん」ってよく呼ばれてます。
(中村)おかげさまで(笑)。飲食店ではオリジナルメニューを出してくれるとこもあって、「なんでも作るよ」と言ってくれてます。こういう系でとか、こんな気分です、と言うだけで作ってくれるのはありがたい限りです。
(古山)その日の気分で出してくれるんすね。
(梅川)面白すぎる!中村選手ってそんなに面白い人だったんだ(笑)。

(山﨑)オリンピックに懸ける想いを聞かせてください。
(中村)伊豆の皆さんに応援してもらっているので、お世話になった人たちが元気になったり、地域が盛り上がったりする力になりたいです。もちろんメダルを狙っていきたいです。
(山﨑)延期ということはどう乗り越えてきましたか?
(中村)正直頭が真っ白になりましたね。それでももう1年たつのか、というのを実感してます。延期が決まってからは精神的に不安定になり、6月くらいまではつらかったですね。7月からは「あと1年だ!」と気持ちを入れ替えて準備していこうと動き出しました。それでもポジティブでいられるようになったのは21年になってからですかね。今は、開催されると信じて行動するだけです。確実に行われると信じて練習に臨んでます。
(山﨑)古山選手、梅川選手はいかがですか?
(古山)私はパリ・オリンピックに照準を合わせています。時間がすぎるのはあっという間で、パリまではあと3年しかない。一日一日を集中して迎えたいと思っています。
(梅川)すぐ次のパリ・オリンピックがやってくるというのは私も同じように感じています。世界で戦う機会が少なくなってきていて、経験不足への不安はありますが、自転車競技に挑戦したからには地元の人には喜んでもらえる結果を目指していきたい。メダル獲得に挑戦していきます。

梅川選手
短距離種目でパリ・オリンピック出場を目指すと意気込む梅川選手

(山﨑)自転車競技の選手はぱっと見ても足の筋肉がすごいなぁと思うのですが、得したこととかありますか?
(梅川)特はないですね。損しかない(笑)。
(古山)得したこと…。太ももが大きくなりすぎてズボンが入らないということはありますけど…。
(梅川)あるある(笑)。
(古山)「タイツですか?」って言われたり。ウエストに合わせると入らないし、太ももに合わせるとウエストがゆるゆると、悩みポイントですね。
あっ、でも銭湯に行った時におばちゃんとかに「何かスポーツやってるでしょ?」と会話のきっかけになることはいいことですね!

(山﨑)話は変わりますが、新型コロナの影響もないものとして自由になにをやってもいいよ!と言われたら何をしますか?
(中村)海外旅行に行きたい!海外に行く機会も多いのですが、自転車を当然持っていくので、私服のみで美味しいものをカロリーを気にせず食べる旅行を。海で遊んで、寝て、食べたいもの作ってもらって(笑)。
(古山)温泉に行くのが好きなので、中距離のメンバーと温泉巡りしたいですね。伊豆は温泉地なので、近くの温泉にはよく行ってますよ。炭酸泉にずっと入ってマッサージの代わりにずっと入って喋ってます。
(梅川)国内旅行したいですね!海外はあまり….。言葉が通じない世界は嫌なので(笑)。何も気にせずにそういう時間を過ごしたいですね。私もやっぱ温泉は好きですね。伊豆に来てからさらに温泉が好きになりました。箱根にいい温泉あるんですよ!
(古山)いいですね。行きましょうか。行かなきゃですね。
(中村)行こうか!

(山﨑)伊豆ベロドロームで練習を続けていますが、どんな場所ですか?
(中村)バンクの傾斜がきついのが大きな特徴ですね。海外から来て初めて走る選手は恐怖心が出てくると思います。慣れるときれいに走れる会場です。湿度管理によってバンクがきれいに整えられている。管理や運営をしてくれる皆さまに感謝です。
(古山)確かに海外の会場ではヒビが入っていたり、波打ってたりとあるので、余計にこの会場の良さが分かります。
(中村)リオ・オリンピックの時から代表選考などに参加していましたが、練習する環境というのは大きく変わりましたね。当時はこうして伊豆で合宿してトレーニングしているとかは考えられなかったです。
(古山)サポートしてくれる組織ができて、競技力向上が円滑に進んできた。競技をやる上でなんの文句もない。この力がなければ強くなっていけなかったと思います。
(梅川)新しい人材がもっと多く入ってくるといいなと思いますね。競技人口は増えていくとうれしい。ロードは人気が高まっているけどトラックはまだまだ。ケイリンファンだけでなく、新規の自転車ファンが増えていくといいなと思います。そのためにもオリンピックでアピールしていきたいですね。

(山﨑)皆さんスポーツギフティングサービス「Unlim」に登録されていますが、期待すること、自分たちの活動への想いを聞かせてください。
(中村)サイトを見てくれて自転車競技に興味を持ってくれるきっかけになればうれしいですね。そこから動画を見たり、ライブ配信見たりと、少しでも触れてもらう。そして会場にきてくれることにつながってほしいです。
(梅川)会場でバンクの傾斜をぜひ見てほしいですね。種目によっては狭いバンクでかなりの人数が密集するレースもあります。戦術を駆使して一瞬のさばきで結果が変わってくる。せっかく静岡、伊豆でオリンピックが開催されるので目の前で体感してほしいですね。
(古山)走っている時の応援は聞こえています。「がんばれ!いけるぞ!」という声が背中を押してくれます。
(中村)オリンピックの中でも最高時速の競技だと思います。男子で70キロくらい。このスピードを間近で感じられます。応援してくれる皆さんと会場でハイタッチしたり写真撮ったりしたいですね!
(山﨑)ファンからのギフティング、どんな形で使いたいですか?
(中村)機材、食事と出費がかさむことが多いのが正直なところです。自分の競技力向上のために使いたいと思っています。引退後は、子供のトラック競技に触れてもらうために貸出サービスとか、体験する機会をつくっていきたいです。
(古山)私はまだ大学院生で稼ぎを得ながら競技を続けるということが難しい。自分の活動資金を集めることが大きな課題になっています。大学の学費もあるので、有効に使わせていただきたいと思います。
(梅川)ケイリンがあるので、稼ぐ場はあるのですが、開催される回数が減ってしまいました。トレーニングを続けていくための活動資金にしていきたいです。将来的には、他の競技、スポーツをやってきた選手に「自転車競技という第2のステージがあるよ」と伝えていきたいと思います。
(山﨑)中村選手、古川選手、梅川選手、本日はありがとうございました!

中村選手・古山選手・梅川選手を
Unlimで応援しよう

中村選手・古山選手・梅川選手の取り組みへのギフティング(寄付による支援)は下記の「Unlim」より実施可能です。ご支援宜しくお願いします!