




創作活動に励む全国のクリエーターと消費者をオンライン取引で直接結ぶマーケットプレイス「Creema」などのサービスを提供する株式会社クリーマ(東京都渋谷区)は、日本の伝統産業や地域産品の販路拡大に取り組む企業だ。同社が掲げるSDGsは大きく分けて三つ。インターネット上だけでなくリアルの現場でも製作者たちの活動をさまざまな形で支援する企業のSDGsを県立静岡城北高校(静岡市葵区)の生徒たちがリポートする。
<企画・制作/静岡新聞社地域ビジネス推進局>
クリエーターの
創作活動を応援
今回のリポーターは県立静岡城北高校2年生の狩野綾花さんと袴田侑愛さんの2人。彼女たちは総合探求の授業でSDGsについて学んでいる。狩野さんはSDGsの「ジェンダー平等を実現しよう」、袴田さんは「つくる責任つかう責任」に興味を持つ。 クリーマのSDGsについて説明するのは丸林耕太郎社長だ。「クリーマはクリエーターの創作活動を支援するさまざまなサービスを展開しています。本当にいいものが埋もれてしまうことのない、フェアで新しい巨大経済圏を作ることを企業の役割として掲げています」と話す。マーケットプレイス「Creema」は2010年にサービスを開始。現在では約25万人の作家たちが1500万点以上のオリジナル作品を出品し、月間2500万人が利用するハンドメイドマーケットの売上高としては日本最大級のサイトに成長したという。

生徒たちは同サイトについて「アクセサリーや服から伝統工芸品までいろんなものがあって面白い」「自分が求める『ぴったりな』商品が見つけられる」と印象を口にした。

クリーマの取り組みをオンラインで取材
地方創生と
地域課題の解決
クリーマが取り組むSDGsについて丸林社長は、「自社のサイトやイベントなどのプラットフォームを生かして、ものづくりを通じた地方創生や地域課題の解決を行っています」と紹介した。日本各地には伝統工芸の産業が根付いていて、百貨店や自社の店舗、工房を中心に販売されていたが、ライフスタイルや価値観の変化に加え、コロナの影響などもあって壊滅的な打撃を受けた。「いい物がこのまま廃れていくのはあまりにもったいないと考え、地方自治体と連携して『Creema』での販売を全国の伝統工芸士たちに提案しました。伝統工芸や地域産品の販路拡大、デジタルトランスフォーメーションを通じて課題解決を目指しています」と紹介した。
「伝統工芸品の魅力とはなんですか」と袴田
さんが質問すると、丸林社長は「長い歴史で培
われ、引き継がれてきた高い技術があり、多く
の人の情熱が詰まっていることに価値があると
思います」と答えた。


地域課題の解決にプラットフォームを活用
端材を使って
商品開発
二つ目は端材を生まれ変わらせるアップサイクル企画を挙げた。これまで捨てるしかなかった生産工程で生じた端材などを、クリエーターの技術や創造力で新たな価値を持たせる取り組みを行っている。「端材は本当に価値がないものなのか見つめなおし、その素材の特性を生かした素敵なものを作るというストーリーに魅力を感じました」と丸林社長は話す。日本の三大織物産地として知られる県西部地方名産の「遠州織物」では、製織工程で生じる「布耳(繊維くず)」を用いたアップサイクル作品を開発。「作品を作るには『可愛い』や『面白い』といった前向きな感情がエネルギーになります。クリエーターだけでなく消費者にもそう感じてもらうことが重要で、それが持続可能な商品サイクルにつながります」と丸林社長は強調する。
狩野さんが「アップサイクル作品を作るクリエーターが一番苦労されていることは何ですか」と疑問を投げかけると、丸林社長は「クリエーターの皆さんは創作そのものや新しいことへのチャレンジを楽しみながら取り組んでいます。SDGsの企画は幸せな空気で進みますよ」と笑顔で返した。


遠州織物の端材から生まれた商品
地域の魅力を伝えて
街を活性化
三つ目は、インターネット上だけではなく、地域密着型のクラフトイベントで街の魅力を体感し、発信する取り組みだ。丸林社長は「さまざまな課題が各地にある中で、クリーマが地方自治体と連携してイベントを開催しています。クリエーターとともに現地に乗り込み、クラフト市を中心にその街を巡る企画で、その地域の魅力を伝えています」と紹介した。
袴田さんの「イベントは大きな街だけやるのですか」という問いかけに対して、丸林社長は、「そんなことはありません。かばん作りで知られる兵庫県豊岡市で開いたイベントには、地元のみならず県外からも大勢集まりました。日本はどんな街にも何かしらの『ものづくり文化』が根付いています。イベントを行うことで、周辺地域からもたくさんの人が訪れ、街全体が活気づきます」と語る。

クラフトイベントで地方を活性化
最後に狩野さんから丸林社長に「この事業を続けてきて、どんな成果を実感していますか」という質問が投げかけられると、「クリエーターとして月2万円程度しか収入がなかったジュエリーデザイナーの女性が、Creemaに出品するようになり自立され、さらには旦那さんも仕事を辞めて、彼女の仕事をサポートされている。そんなお話をこれまでにもたくさん聞いてきました。自分の好きなことで生きていけるお手伝いができていることがうれしいですね」と締めくくった。
リポートを終えて
狩野さん
端材を使って作品を作るという発想が素敵。男性でも女性でも自分の好みに合ったものを人の目を気にせず買えることがネット販売のいいところで、ジェンダー平等にもつながっていくんじゃないかと思いました。
袴田さん
丸林社長はSDGsを強く意識しているわけではないのに、自分の目標を達成することで社会貢献にもつなげていることに感銘を受けました。これから先、いろいろなことに目を向け、自分にもできることを見つけたいです。

メモを取りながら熱心に取材