鮨本
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ぐるぐる文庫 鮨本 静岡県「すし」の名店34選
静岡新聞社編 定価 840円 (本体800円) 2012年11月20日発行
ぐるぐる文庫シリーズの第8弾。駿河湾・相模湾に面し、四季を通して旬の新鮮魚介に恵まれた県内には鮨のうまい店も多い。その中から編集部が厳選した人気店・名店を収録。粋な鮨の世界と魅力に触れられる一冊。
特集ピックアップ 現在発売中のぐるぐる文庫「鮨本」よりピックアップ
鮨は魚へんに「旨い」と書く。酢を合わせた米と魚が重なり旨くなる。この極上の料理が生まれたのは、江戸時代。以来、日本人に愛され続けてきた。「旨い」には、理由がある。たまには本物の鮨が堪能できる名店で、自慢の一貫を味わってほしい。
つばさ寿司本店
三島市広小路町  店舗情報へ
店主が釣った
白身魚を食べ比べ
 伊豆箱根鉄道三島広小路駅から徒歩1分。わざわざ三島で新幹線を途中下車して足を運ぶ客も少なくない創業75年の名店がここだ。「普通の人は聞いたこともないような名前の魚を出すよ」とは店主・丸子淳平さん。知人の影響で始めた趣味の釣りが、現在の「つばさ寿司」を語る上では欠かせない。
  日曜の営業終了後、土肥を出港して約6時間。釣人の間では有名な無人島・銭洲周辺で1週間分の白身魚を釣る。カンパチやシマアジ、時期によってはマグロまで、毎週10種類ほどの釣果が店に並び、沼津や網代で揚がる魚介を含めるとネタの数は約40種類にも上る。
  「釣りたて白身づくし」は店主の釣った白身魚が存分に味わえるいち押しメニュー。「お鮨ってね、味が一つ一つ違うから贅沢なんですよ」と話す店主の言葉に大きく頷きたくなるほど、食感や味わいの違いが楽しめる。
  野菜が摂りづらい鮨屋だからこそ作る、トマトやアスパラなどを使ったメニューも評判が良く、中でも「ホタテとアスパラのウニソース炒め」はファンの多い絶品だ。かしこまり過ぎていては味わいも半減してしまう。気さくで快活な店主の釣り話でも聞きに、気軽に足を運んでみてほしい。

【お薦め】
●ホタテとアスパラのウニソース炒め
●クエの唐揚げ
●釣りたて白身づくしにぎり
【予算】
昼2100円、夜8400円(平均)
3代目店主の丸子淳平さん
手前左からノドグロ(通年)、キンメダイ(通年)、芽ネギ巻(通年)。奥左からメイチダイ(通年)、オナガダイ(通年)、クロムツ(通年)。それぞれの旬は5~7月
青海苔入り玉子焼き、桜エビ入り玉子焼き。素材の香りが楽しめる

すし處 氣市(きいち)
静岡市葵区川辺町  店舗情報へ
酒と肴と、にぎり鮨で
完結する贅沢時間
 繁華街からほんの少し外れた場所にある、隠れ家とでもいえそうな鮨店。カウンターと小上がりだけのこぢんまりとした佇まいは、落ち着いて鮨と酒を楽しむのにちょうどいい。
  店主・田辺栄一さんは、東京の名店「寿し屋の市勘」で修業を積んだ。この道27年の江戸前の技に、独自のアイデアをプラスした、ひと手間加えた鮨で、客をもてなす。赤身の柵漬けは昔からの江戸前鮨の技で、切り身の漬けとは違う身のしまった感が、クセになる。白身の「昆布〆」は利尻昆布に挟んで1日、その香りと旨味にファンが多い。真ダイの昆布醤油漬けは、柚子で食べるにぎりはもちろんのこと、軽く炙って酒のアテとしても美味。鮮度のいいネタを生かすためにするひと手間が「おいしい」を作りだすのだ。
  さて、ここでは鮨の前にまずは一献。煮アワビ、イワシの風干し、ヒラメの昆布〆、タコのやわらか煮などをアテに、人気の「立山」をキュッといくのもいい。「おまかせ」で肴8品と、にぎり10貫で8000円からというのもお薦めだ。
  ランチタイムはにぎりが800円からあり、カウンターで1貫ずつ握ってもらえるので、贅沢気分も味わえる。「ばらちらし」1500円も人気だ。

【お薦め】
●おかませコース予算に応じて
●ヒラメの柚子塩にぎり1貫315円
●煮ハマグリにぎり1貫840円
【予算】
昼800~3000円、夜6000~15000円
〆鯖(さば)バッテラ風
浅目の酢締めで、バッテラ風に白板昆布をのせているのが特徴。1貫420円(通年)
ネタは地物ばかりでなく、全国から。常時40~50種揃う。シャリが小ぶりなので、いろいろな種類が楽しめる
「マダイの昆布醤油漬けの炙り」と、「イワシの風干しの炙り」(おまかせコースより)
小肌(こはだ) 夏のシンコ、秋冬のコハダ、コノシロと、出世魚ならではの違いが楽しめる。1貫315円(通年)

たか鮨
浜松市南区高塚町  店舗情報へ
センスの良さと江戸前の技、
凛とした佇まいに感激
 オープンしてわずか1年足らず。基本に忠実な江戸前の技と独自のセンスで話題を呼ぶ注目店だ。大将は、三重県の老舗「東京 大寿司」で14年間修業を積んだ鮨職人。「心と技で最高のおもてなし」をモットーに、鮨文化の継承を目指す。
  地元をはじめ、東京・築地、名古屋・柳橋などの市場から仕入れた厳選素材を仕込み、そこに「たか鮨らしさ」をプラス。ゲストの好みや雰囲気、瞬間的なひらめきなどを合わせて、至高の一貫を握っていく。その味わいは深く、新しく、素材とシャリの繊細なマッチングの後に、ふんわり弾ける"ひと手間の花火"といった印象だ。
  大将はこう語る。「地元の食材や季節の食材をいかにおいしく、鮮度良く提供できるか、こだわっています。鮮魚の目利き、鮨や割烹の基本技術、素材ひとつひとつに合わせた最適な味付けや調理法など、その時々で変化させることで、伝統とオリジナリティーが融合した、本当の"旬の味覚"に行き着くのです」。
  若き大将が創造する、温故知新の鮨スタイル。モダンな空間と凛とした空気に寄り添いながら、極上の「うまい!」に出合ってみてほしい。※店内は全席禁煙。

【お薦め】
●にぎり鮨「葵」3150円
●にぎり鮨「楓」2100円
●女性限定ランチコース2625円
【予算】
昼1890円~、夜2100円~
仕入れは、地元はもちろん、東京・築地、名古屋・柳橋など全国の市場から
鮨屋らしからぬモダンでスタイリッシュな空間は、女性客やカップルに人気。座敷やテーブル個室もある
左上から「本マグロ大トロ」1貫1260円~、「白身」1貫420円~、「本マグロ赤身」1貫420円~、「生サンマ」1貫420円~(秋~冬)、「炙りハモ」1貫525円(秋~冬)、「三月大根の味噌漬け」1貫210円(春~夏)、「アナゴ」1貫630円(夏)。左下から「玉子焼き」、「富山白エビ」1貫420円(春~秋)、「松茸」時価(秋~冬)
すり身は使わず卵とだしのみで洗練された甘みを演出。1貫210円。

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