「マレリグループ」供給網、国内に1731社 製造業が約6割を占める 直近の収益性「悪化」が1割超を占める

株式会社帝国データバンク
「マレリグループ」サプライチェーン調査(2025年)




帝国データバンクでは、保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、マレリグループ各社に対し、部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模について分析を行った。

SUMMARY
国内マレリグループ企業と取引のあるサプライヤー企業は全国で1731社、取引額は推計2600億4000万円、従業員総数は28万7357人に上る。今回のマレリのケースでは従業員や取引先に対する支払いは履行する予定とされるため、サプライヤーや工場等がある地域への短期的な影響は限定的とみられるものの、将来的な中小サプライヤーへの影響が懸念される。

サプライチェーン(SC)企業の定義とは:帝国データバンクが特許を取得した「個別企業間の全取引シェアを推計するモデル(NIHACHI)」を用いて、任意の頂点企業に対して売上の 1%以上を依存している企業
[注1] 「マレリグループ」とは、マレリホールディングスおよびマレリなど国内製造系グループ・関係会社8社
(ハイリマレリジャパン / ハイリマレリ岩手 / マレリ岩代 / マレリ九州 / マレリ福島 / 東京ラヂエーター製造)
[注2] 「マレリグループ」の複数社と取引関係がある企業については1社としてカウントしている

マレリグループのサプライヤー、全国に1731社

帝国データバンクが保有する企業データベースを基に、大手自動車部品メーカーのマレリを中心とした企業グループ(マレリグループ)計8社と取引のあるサプライチェーン(供給網)は、全国に1731社あることが判明した。同供給網にもたらされる取引額は推計で総額2600億4000万円、従業員総数は28万7357人に上った。




このうち、取引階層別に見ると、マレリグループのいずれか1社以上と直接取引を行う「Tier1」が480社判明し、関連する取引額は総額2297億4300万円、従業員総数は25万3989人に上った。「Tier2」では社数が最も多い1101社、「Tier3以下」では150社にとどまった。






サプライヤー1731社を業種別に見ると、最も多かったのが「製造業」で1027社・構成比59.33%と、約6割を占めた。製造業では、成形用の金型、同部品の製造や設計を手がける「金型製造」が最も多い102社だった。次いで、「自動車部品製造」(101社)、「工業用プラスチック製品製造」(87社)となり、熱交換器などマレリグループの製品に多く使用される、金属やプラスチック製品などの素材・加工メーカーが多かった。製造業に次いで多かった業種は商社などの「卸売業」(270社)となり、「電気機械器具卸売」(28社)、「鉄鋼卸売」(26社)が上位だった。「サービス業」(167社)では、生産拠点などに人材を派遣する「労働者派遣」(32社)が最も多かった。




都道府県別では、「東京都」(262社)が最も多かった。以下、日産自動車の生産拠点が集中している「神奈川県」(212社)、自動車向けのサプライヤーが多い「静岡県」(162社)、マレリの本社や同社の関連企業、製造拠点がある「埼玉県」(152社)、「群馬県」(127社)が上位となった。



足元の業況「収益悪化」、サプライチェーン企業の1割超

マレリグループの供給網を構成する企業のうち、過去2年間に帝国データバンクが調査し、直近の売り上げ動向(業況)が判明した474社を集計した結果、2025年5月時点において、マレリグループのサプライヤー全体で「減収傾向」となった企業が6.3%判明し、2年前(6.5%)から0.2pt低下した。取引階層別に見ると、Tier1では「減収傾向」が7.6%となり、2年前(5.6%)から2.0ptの大幅な上昇となった。マレリグループを含めた日産向けの生産減少が、直接取引を行うTier1のサプライヤーに影響を与えた可能性がある。






一方で、収益性を見ると、2025年5月時点のマレリグループのサプライヤー全体で13.5%の企業が「悪化している(収益悪化)」状態だった。同条件下で2年前(2023年5月時点)と比較すると、「収益悪化」の割合は3.2pt低下したものの、1割超のサプライヤー企業で収益性に課題を抱えている。取引階層別にみると、Tier1(14.0%→10.8%)、Tier2以下(19.6%→16.5%)と、いずれも低下した。

主要納入先となる日産自動車・ステランティスの先行きが焦点

車部品大手のマレリホールディングスおよびマレリなど国内外のグループ会社計76社は、6月11日(日本時間)に米デラウェア州連邦裁判所に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。ただ、負債の大半は金融債務とみられ、従業員や取引先に対する支払いは履行する予定とされること、安定した事業運営を維持できるよう支援する日産自動車の存在も背景に、マレリグループのサプライヤーや工場等がある地域への短期的な影響は限定的とみられる。


一方で、マレリグループは主要納入先となる欧州ステランティスグループや日産自動車の業績不振と生産台数引き下げにより、今後はさらなる受注減に直面する可能性もある。実際に事業継続を断念したケースも発生しており、将来的な中小サプライヤーへの影響拡大が懸念される。
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