大人の〝遊園地〟熱海秘宝館が大改修 多様性重視で14日新装開業

 「大人のためのテーマパーク」といわれる熱海秘宝館(熱海市)が、1980年の開館以来初となる大改修を終え、14日に新装開業する。昭和の男性目線から脱却し、現代の多様性を重視した展示を新たに取り入れた。全国唯一となった秘宝館として、性の歴史と文化を来訪客に伝える。大改修を経て新装開業する「熱海秘宝館」。撮影スポットを新たに設けた=熱海市
 視覚に力点を置いた昭和の展示を一部見直し、嗅覚や聴覚も生かして想像力を高める構成とした。「ネオ秘宝館」と題した新設コーナーでは、女性に人気の精油の香りが漂う中、官能小説の独特な言語表現を学んだり、江戸時代の浮世絵師菱川師宣が春画として世に広めた「四十八手」のピクトグラム(絵文字)を鑑賞したりできる。同性愛雑誌の表紙絵も並べた。大改修を経て新装開業する「熱海秘宝館」。撮影スポットを新たに設けた=熱海市
 秘宝館は80年代、主に温泉観光地で隆盛を極め、全国に少なくとも19施設が存在した。価値観や旅行形態の変化などに伴い2000年代に閉館が相次ぎ、現存するのは熱海だけという。新装した館内にはこうした歴史を記したパネル展示を新たに設け、著書に「秘宝館という文化装置」がある妙木忍東北大大学院准教授の寄稿文も掲示した。
 熱海秘宝館の締めくくりを飾る撮影スポットは、祭りの櫓(やぐら)やちょうちんを配置し、軽快な音楽を流すなど明るい雰囲気を演出した。同館プロデューサーの渡辺美聡さんは「貴重な文化施設を後世に伝えるためにも、昭和と令和の展示を共存させた。性は忌避されがちだが、普遍的なテーマ。年齢、性別を問わず楽しめる施設にしたい」と話す。

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