静岡新聞SPORTS

MTB 高速レース、迫力間近に 伊豆、自然生かしコース設計

(2019/9/30 13:30)
東京五輪マウンテンバイクコース
東京五輪マウンテンバイクコース

 2020年東京五輪自転車競技マウンテンバイク(MTB)の会場として改修された日本サイクルスポーツセンター内の伊豆MTBコース。周囲の豊かな自然環境を最大限に生かしながら、日本の伝統文化や伊豆の景観を意識したデザインも取り入れて設計された。急坂や岩場、林道などさまざまな難所が連続し、世界トップレベルの技術を持った選手たちによる激しいレースが期待できそうだ。コース整備に込めた思いを大会組織委員会MTBマネジャーのポール・デービス氏(51)=英国出身=、競技の魅力を1998年バンコク・アジア大会で金メダルを獲得した元MTB選手の宇田川聡仁氏(40)=伊東市出身、ブリヂストンサイクルブランド推進部市場開発課勤務=にそれぞれ聞いた。
 >動画 伊豆MTBコース特集

 ■複雑さ、駆け引き面白く
 大会組織委員会MTBマネジャー ポール・デービス氏
 自然が美しく、とてもいい場所。これが伊豆MTBコースの会場を最初に見た時の印象だ。全体のスペースは小さいので、コースが収まるだろうかという心配もあったが、完成してみると非常に良くできている。コンパクトな分、複雑に入り組んだレイアウトで、切迫した激しいレース展開が楽しめるだろう。
 過去の五輪と比べての一番の特徴は、木や土地の風景といった自然環境を生かしている点。ロンドンとリオデジャネイロのコースは人工的で、MTBの環境としてあまりふさわしくなかった。ここから東京五輪本番までに野生の植物や花をさらに植えたり、芝生を美しい緑色に成長させたりして、より自然に見えるようにしていく。
 選手にとっては、とても難しいコースになっている。技術や駆け引きが要求される八つのポイントがあり、それぞれ地元や日本にちなんだ名前が付いている。例えば「浄蓮の滝」。岩が縦に並んで滝のように見える。選手たちが滑るように下ってくることになる。
 木や岩をすり抜けて進む「枯山水」や二本の大きな丸太を置いた「箸」なども見どころ。芝生で伊豆半島をかたどった場所もある。各国の記者がレースの模様を伝える時、こういった名前とその背景も世界に向けて発信してくれると思う。
 コースは大会後のレガシー(遺産)としても、大きな可能性を持つ。五輪コースの特徴を残しつつ、一部を改造して家族連れが楽しんだり、大会を開催したりするような使い方が考えられる。多くの人に愛され、“聖地”として活用されることを期待している。

 ■コースの注目ポイント
 【1】天城越え 起伏と岩、競り合い魅力
 周回の前半で選手たちを待ち構える難所。急な登り坂を駆け上がり、岩が点在するS字カーブを一気に下る。特徴的なその起伏などから、伊豆半島を代表する峠にちなんだ名が与えられた。2列に並んで競い合う高速のレース展開が予想され、高い技術が求められる。観戦エリアがすぐ横に設けられ、熱戦を間近で楽しめる。
 【2】散り桜 富士山背負いジャンプ
 今回のコース屈指の見どころで、選手たちが1.5メートルの落差を桜のように舞い下りる。天気が良ければ遠くに富士山を望めるポイントでもあり、選手が入り口の切り立つ崖から飛び出すと、まるで富士山を越えている写真や映像が撮れるよう、工夫を凝らした。日本での五輪開催を印象付ける美しいカットが生まれるかもしれない。
 【3】伊豆半島 海岸線をデザイン
 周回の後半に広がるエリア。青々とした芝生が伊豆半島をかたどって植えられている。選手は東海岸から最南端の石廊崎を経由し、西海岸へ走り抜けるような方向に進む。比較的平たんで、最終周回ではメダルを懸けたデッドヒートという可能性もありそうだ。入り口と出口に架かる朱色の橋も日本らしい風景の演出に一役買っている。

 ■序盤から一気に加速
 伊東市出身の元MTB選手 宇田川聡仁氏
 近年のMTBのクロスカントリーはスピードが重視され、自分が現役だった20年前と比べてタイムが大幅に縮まっている。東京五輪も、序盤から一気に加速する展開になる可能性が高い。伊豆MTBコースは高低差があまりない印象だが、それゆえに登りでもスピードを落とせず、選手にとっては厳しいレースになるだろう。
 スタート地点を飛び出した選手たちは開始早々、先頭集団に入るための位置取り争いにしのぎを削る。自転車1台通るのがせいいっぱいの「シングルトラック」に入るまで、せめぎ合いが続く。
 技術を楽しめるポイントの一つは、連なる岩を駆け抜ける「ロックセクション」。岩を滑るように登り、下り、時には飛び越える。登り坂を駆け上がるシーンも見どころ。鍛え上げた脚力で一気に登っていく。瞬発力とパワーが試され、選手は息つく暇もない。
 観客はコースの両脇に張られるロープの外側で戦いを見守る。山道でも、格闘する姿を間近に見ることができる。その近さは息づかいを感じるほど。コースを周回するため、ポイントを移動して観戦することも可能だ。選手たちが何度も通ることで、時間の経過とともに変わっていく路面コンディションにも注目してほしい。
 東京五輪では県東部にMTB、トラック、ロードと3競技の“舞台”が整う。自分のふるさとで自転車競技が行われることは非常にうれしい。MTBは老若男女楽しめるスポーツ。競技として走るのも良いが、まずは乗って楽しんで、魅力に触れてもらえれば。五輪がその機会になることを期待している。



オリンピックフォト 写真で振り返る五輪

静岡新聞記事や掲載写真を中心に、1964年東京大会から2016年リオデジャネイロ大会までの五輪を回顧する特集です。

静岡新聞に掲載されなかった未公開写真や、当時の紙面も収録。

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