静岡新聞SPORTS

開幕前1年 見えた収穫と課題 東京五輪自転車ロードテスト大会

(2019/7/25 12:52)
ゴール前で競り合う選手=21日、小山町の富士スピードウェイ
ゴール前で競り合う選手=21日、小山町の富士スピードウェイ

 東京五輪の開幕まで7月24日であと1年。静岡県がコースに含まれる自転車競技のロードレースは21日、武蔵野の森公園(東京都府中市など)から富士スピードウェイ(SW、小山町)までの189キロ区間でテスト大会が開かれた。多くの観客が沿道から選手に声援を送る中、ボランティアたちが本番さながらに配置された。観客の誘導やおもてなしなど本番に向けた課題を洗い出すとともに、さらなる機運盛り上げをどう図るべきか、現場から探った。

 ■「沿道の魅力」アピールを
 テスト大会では、1年後の本番に向けた課題も見えてきた。コース沿道の須走商店街周辺や、観戦エリアが開設された冨士霊園入り口では、観客数が関係者の当初の予想よりも下回り、機運醸成の必要性を再認識させられた。
 家族で訪れた神奈川県大井町の会社員男性(36)は「ロードレースの魅力はチケットを購入できなくても、沿道で誰もが選手を間近に応援できること。関係者はその魅力をもっとアピールする必要があるのでは」と注文。冨士霊園入り口でコースサポーターを務めた御殿場市の男性(80)も、「世界規模のイベントなので、もっとたくさんの人で盛り上げてほしい。行政がバスで住民を観戦エリアまで運ぶなどの工夫も検討してほしい」と提案した。
 地元のサイクルチームに所属する神奈川県松田町の会社員男性(50)は「上り坂で観戦できる場所があれば」と期待。御殿場市の自営業男性(35)は「自転車文化の醸成など、レガシー(遺産)づくりもまだまだ。五輪を一過性の盛り上がりで終わらせてはいけない」と、“五輪後”を見据えた。
 交通規制でも改善点が浮き彫りになった。冨士霊園入り口では、関係車両がコースを通過する直前、一部観客が道路を横断しようとして、危うく事故になりそうになった場面も。競技ボランティアの50代男性は「本番では絶対にあってはいけないこと。運営に携わるボランティアやコースサポーターはもっと訓練を重ねる必要がある」と厳しい目を向けた。

 ■盛り上げ 疾走選手に太鼓のおもてなし
 交通規制が始まり、沿道に観衆たちが集まり始めた午後2時すぎの小山町の冨士浅間神社前。地元で活動する和太鼓集団「駿河乃國鼓太郎」のメンバーによる太鼓の演奏が始まった。
 同団体の里川佳幸代表(65)は「自分たちの演奏で選手たちにエールを送りたい」と意気込み十分。午後2時50分ごろ先頭集団が姿を現すと、太鼓のリズムに合わせるように自転車が観客の眼前を駆け抜けていった。「選手たちの顔も判別できないほど一瞬で通り過ぎてしまった」と驚くのは沿道沿いに住む高杉茂さん(69)。沿道で繰り広げられる光景に「迫力満点だった。本大会でも必ず見に行きたい」と早くも1年後に期待を膨らませた。

 ■観戦エリア 「真夏のレース」対策万全に
 小山町は今回、町内3カ所に観戦エリアを開設した。このうち、冨士霊園入り口には“暑さ対策”のためのテント、仮設トイレ、自転車用ラックなどを用意し、正午ごろから100人超の観客が集まり始めた。横浜市の男性(58)は「町のホームページを見て観戦エリアの存在を知った。ここは選手たちが3回通過するので、最高の観戦場所」と笑顔で話した。
 曇り空の下で行われたこの日のテスト大会は、気温も平年並みで比較的観戦しやすく、テント内で暑さをしのぐ観客はほとんどなかった。
 ただ、大会本番の気象条件がどうなるかは分からない。テスト大会ではコースサポーターたちがそれぞれの配置に就く前、沿道の観客の整理を行うだけでなく、周囲に体調不良を訴える人がいないかどうか注意を払うよう申し合わせた。観戦エリアで飲料などを販売する店を出した男性(48)も「真夏のレースなので、観客やボランティアが体調を崩さないか不安。1年後の本番も猛暑にならなければいいけど…」と気をもんだ。

 ■交通規制 「コースサポーター」が観客の安全確保
 小山町の須走商店街では、選手通過約2時間前の午後0時50分に沿道で活動するボランティア「コースサポーター」が集合した。そろいの青のTシャツを着た約190人が約1キロの道路沿いにコーンやバーを並べると、選手たちが近づきつつある雰囲気が一気に高まった。通行止めの柵の設置や横断歩道での誘導など交通規制の補助作業も担った。
 選手の通過時は沿道に立ち、観客の安全確保に努めた。バーが足りずにコーンだけの設置となった区間では、サポーターの小林徹さん(73)=同町=が自主的に手を広げて対応した。「地元のためにできることを、と参加した。元自衛官なので長い時間立ち続けても問題ない」と頼もしげに話した。

 ■バス発着の御殿場 登山シーズンと重複懸念
 県は今回のテスト大会で、ゴール地点の富士スピードウェイ(SW)での観戦モニターとして2020人を公募した。富士SWへのシャトルバスの発着場所になるJR御殿場駅には午前9時過ぎからモニターが訪れ始め、バス乗り場に長い列をなした。
 駅周辺には県内の観光地を紹介する都市ボランティア約40人の姿も。静岡市清水区の会社員内田圭さん(33)は「本番が近づいてきたと実感が湧いてきた。静岡にまた来たいと思ってもらえるようなおもてなしをしたい」と声を弾ませた。
 ただ、レース本番は富士山などへの登山シーズンとも重なり、地元などからは懸念の声も漏れる。観光ボランティアを務めた御殿場市の会社員大村志帆さん(36)は「駅のロッカーや案内看板もこのままでは足りない気がする」と指摘。県の担当者も「思った以上に観光客が多い。組織委や地元と連携して対応を考慮しなくては」と話した。

太鼓の演奏で盛り上げる地元団体=21日、小山町の冨士浅間神社前
太鼓の演奏で盛り上げる地元団体=21日、小山町の冨士浅間神社前
カードを掲げて歩行者を誘導するコースサポーター=21日、小山町の須走商店街
カードを掲げて歩行者を誘導するコースサポーター=21日、小山町の須走商店街

動画

テスト大会 ダイジェスト映像



オリンピックフォト 写真で振り返る五輪

静岡新聞記事や掲載写真を中心に、1964年東京大会から2016年リオデジャネイロ大会までの五輪を回顧する特集です。

静岡新聞に掲載されなかった未公開写真や、当時の紙面も収録。

東京五輪の記事一覧

スポーツアクセスランキング

  • 読み込み中です・・・
試合がありません
こどもみらいプロジェクト「おやこアットエス」
静岡新聞SBSスクープ投稿
静岡新聞モバイルサイト