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球数制限 どうなる高校野球(中)感動呼ぶ熱投に警鐘

(2019/12/30 14:15)
延長14回、211球を投げきり、チームを準決勝に導いた島田商の小林(右)=2018年7月24日、草薙球場
延長14回、211球を投げきり、チームを準決勝に導いた島田商の小林(右)=2018年7月24日、草薙球場
2018年夏 島田商・小林史弥投手 (シード)6試合 計49回 1/3 602球
2018年夏 島田商・小林史弥投手 (シード)6試合 計49回 1/3 602球

 大エースが“弱小”公立校を甲子園に導く-。漫画のような物語が消えるかもしれない。ロッテ入りする右腕佐々木朗希の好投で2019年夏、大船渡が岩手大会決勝進出を果たした。静岡県では2018年夏、2年生エース小林史弥が古豪・島田商を77年ぶりの決勝に導いた。

 ■投手起用 戸惑う現場 
 小林は昨夏、終盤の5試合で計716球を投じた。球数制限があれば、準決勝を前に残り52球。九回2死まで5-5ともつれた常葉大菊川との決勝の名勝負も生まれなかったかもしれない。島田商の池田新之介監督は「2、3枚目の投手をつくらなければならないのは今までも同じ。ただ、それができないチームは最終的に力のある子に頼らざるを得ない」と戸惑う。
 当時2年だった小林は「自分の1球で先輩の大会が終わってしまう」と奮い立った。もともと球数の多い力投型だが「暑さも疲労も感じなかった。魂を込めて投げる姿をチームに見せるのがエースの役目と思っていた」
 秋は不調に陥り翌春には右肘を故障。3年の夏は4強入りしたものの本調子ではなかった。卒業後に野球を続ける考えはなく、「あの経験が甘かった自分を強くした。監督は最後まで自分を信頼して投げさせてくれた」と充実感を口にする。
 大エースの熱投は公立校に夢を、観客に感動を与えてきた。16年夏、初の決勝に進出した袋井も稲垣淳之介(大東大)の好投が快進撃を呼んだ。終盤1週間の5試合で球数は556球。「彼らにとって一生に一度の奇跡のような体験」と振り返る袋井の鈴木彰洋監督は、「私学と違って公立は高校で野球を終える子が多い」と事情を強調する。
 個人差もあり、選手の意思を尊重すべきとの声は多い。指導者の多くが「高校を最後にやり切りたいという選手の気持ちにも応えてやりたい」(科学技術の森田重成監督)との意見に賛同する。今回は3年間という試行期間が設けられ、罰則はない。いわば“警鐘”として、議論を深める契機にしたい。鈴木監督は「夏の連戦は確かに疲労度が違う。時代の流れがそうなら、やってみるしかない」と受け止める。

 <メモ>2019年夏の全国選手権岩手大会で、主戦佐々木を擁する大船渡が決勝に進んだ。決勝は佐々木の登板を回避して敗れ、全国から賛否の声が巻き起こった。静岡県高野連によると近年の静岡大会で週500球を超えたのは袋井・稲垣、島田商・小林のほか14年4強の常葉橘・木村聡司(元広島)、15年8強の知徳・村中克晃(道都大)。

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