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病気をばね、一打に思い 1型糖尿病の袋井高・稲垣選手

(2019/7/8 09:22)
開会式前に写真撮影に臨む袋井高の稲垣喜紀選手(中央)=7日午前、静岡市駿河区の草薙総合運動場
開会式前に写真撮影に臨む袋井高の稲垣喜紀選手(中央)=7日午前、静岡市駿河区の草薙総合運動場

 7日、静岡市駿河区の草薙球場で開幕した全国高校野球選手権静岡大会。袋井高野球部3年の稲垣喜紀選手は、中学3年の時、1型糖尿病と診断された。自らの活躍で、同じ病気の子供を励まそうと張り切っている。
 当時、食べても食べても体重が減っていくことに不安を感じて診察を受けた稲垣選手は、初めて聞く病名に戸惑った。「野球、続けられるのかな」
 約1カ月間の入院生活を乗り切る力を与えてくれたのが、同じ1型糖尿病でプロ野球の阪神で活躍する岩田稔投手の著書だった。「病気をマイナスじゃなく、自分の個性と捉える言葉に勇気づけられた」
 自宅から近い、強豪の袋井高で甲子園を目指そうと決めた。毎食後と就寝前、1日4回のインスリン注射は欠かせない。練習の合間に血糖値を測定し、低ければクッキーやゼリー飲料などの補食で調整する。低血糖の時は声を出すのもつらい。1年の頃は、うまく血糖値をコントロールできずに悩んだ。
 それでも持ち前の打撃センスで1年秋から公式戦に出場。「ここ一番の集中力があり、苦しい場面で一本打ってくれる」と杉山玄主将。鈴木彰洋監督(42)は「人の何倍も自己管理が必要で、大変だったかもしれないが、彼の成長を止めないよう、高い要求もしてきた」と他の選手と区別なく指導した。
 稲垣選手は最近、浜松医大で開かれた1型糖尿病の子供のための催しに参加した。自身よりずっと小さな子どもと接し「病気とうまくつきあえば、スポーツもできるよと伝えたくなった」。母映美さん(43)は「小さい子の面倒を見る側になり、病気への理解を広めたいと思うようになったようです」と話す。
 袋井高は14日、浜松湖南高と初戦を戦う。稲垣選手は「わくわくしている」と笑顔で開会式に臨んだ。

 <メモ>1型糖尿病 膵臓(すいぞう)の細胞が壊れ、血糖値を下げる「インスリン」が分泌できなくなる病気。生活習慣などが原因の2型糖尿病と違い、原因不明の自己免疫疾患で、根治の治療法がないとされている。

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