苦渋の攻め放棄「吉」に サッカーW杯、ポーランド戦

(2018/6/29 17:00)

 【ボルゴグラード(ロシア)=静岡新聞社特派員・岡田拓也】同時刻開催の他会場でセネガルと対戦していたコロンビアが先制したのは後半29分。このまま終われば、日本はポーランドとの最終戦に負けても1次リーグ突破が決まる。日本代表の西野朗監督は、何度も何度も頭をかきむしった。自力で決勝トーナメント進出を勝ち取るために攻めるか、他力を信じてこのまま試合を終わらせるべきか。葛藤の末、導き出したのは「このままでいこう」。強気な姿勢を貫いてきた指揮官が初めて下した消極的な選択。この決断が吉と出た。
 0―1と負けている状況を維持すること。普段ならあり得ない戦い方で、指揮官も「本意ではない」。もちろん、セネガルがコロンビアに追い付けば、そこで敗退する。それでも勝負に打って出た。
 このまま両会場のスコアが動かなければ、セネガルとの警告数の差で決勝トーナメント進出が決まる。コロンビア先制の一報を聞いてから10分足らずの後半37分。長谷部誠選手(アイントラハト・フランクフルト、藤枝東高出)をピッチに送った。「安全に」「不用意な反則を避けろ」「このままの状況で良い」。やるべきことを伝えた。
 長谷部選手も指示を受ける前に自ら動きだしていた。後半33分のポーランドのCK。ピッチサイドに駆け寄り、長友佑都選手(ガラタサライ)にコロンビア戦の状況を伝えた。「とにかく失点するな。イエローカードに気を付けろ」
 攻撃的な選手ではなく、経験豊富な主将の投入。ピッチ上の選手は全てを理解した。「あの状況は曖昧にするのが一番良くなかった」と長谷部主将。後半14分の失点後にばたついたチームは、明確な指示で落ち着きを取り戻した。試合終了まで約10分。攻める姿勢を半ば放棄し、観客から大ブーイングを浴びた日本は、それでも安全にボールを回し続けた。
 目の前の勝負を捨て、目標達成のために徹した。賛否両論は承知している。長谷部主将は「この世界は全て結果論。さまざまな議論はあるが、これは自分たちが勝ち取った結果として受け止めたい」と言う。この選択がどう評価されるか。史上初の8強入りに挑む次のベルギー戦で明らかになる。

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