東京五輪 「熱狂」へ整う舞台

(2020/1/6 09:48)
生まれ変わった国立競技場(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 東京五輪開幕が200日後に迫った。日本中が歓喜に沸いた2013年9月の開催決定から6年。国内で56年ぶりとなるスポーツの祭典へ向け、競技会場も次々と新たに完成したり、改修を終えたりしている。主要施設を中心に世界トップクラスのアスリートが集う夢の舞台を紹介する。

 ■コンパクトな立地 体感
 国内外から選手や関係者、観戦客を迎え入れる東京都内。施設の整備状況や変わるまちの姿を19年12月上旬、ヘリに乗って探った。
 東京ヘリポート(江東区)から1964年東京五輪の施設を活用する都心部の「ヘリテッジ(遺産)ゾーン」に向けて飛び立って間もなく、建て替えられた国立競技場が視界に飛び込んできた。19年11月末に完成したばかり。高度約300メートルまで下がるとぽっかりと空いた屋根の中央から鮮やかな緑のピッチの芝や客席が確認できた。上空には同じように真新しい施設をカメラに収めようとするヘリが何機もあった。
 隣接地には東京体育館がたたずむ。64年大会は体操競技が行われたが、今回は卓球で使われる。伊藤美誠選手(19)=スターツ、磐田市出身=ら県勢のメダル獲得が期待され、県民の注目を集める施設となりそう。自然と胸が躍った。
 都庁など新宿を眼下に、東京スカイツリーや富士山を遠目に眺めながら旋回し、臨海部の「東京ベイゾーン」へ。水泳会場となる新設の東京アクアティクスセンターは東京辰巳国際水泳場と並び、先進性と歴史ある新旧施設の対比が興味深い。
 有明体操競技場、バレーボールと車いすバスケットボール会場の有明アリーナ、二つの施設のそばでは、有明アーバンスポーツパークの整備が急ピッチで進行中。本県を中心に行われる自転車競技のうち、唯一の都内開催となるBMXの舞台。急カーブや波を打ったようなコースが出来上がりつつあった。海辺では選手村の高層建物群も目を引いた。
 空から見ると各会場間の距離は近く、コンパクトにまとまっていた。周辺には高層マンションが立ち並ぶエリアもある。東京五輪・パラリンピックは特別な場所ではなく、市民の日常生活のすぐそばで開催される大会になるとの印象を抱いた。

 ■国立競技場 あふれる木のぬくもり
 3年の工期を経て11月末、木と緑のぬくもりあふれる「杜(もり)のスタジアム」に生まれ変わった。メインスタジアムとして五輪とパラリンピックの開・閉会式と陸上競技のほか、五輪のサッカー女子が行われる。
 外観や内装に計約2千立方メートルの木材を使い、約200種類の草木を植えて日本らしい温かな競技場になった。特徴的な「軒ひさし」には47都道府県の木材を順番に並べている。本県のスギ材は東側に配置された。
 スタンドは3層構造で、約6万席を設置した。外側に行くにつれて20、29、34度と傾斜をつけることで、どの席からでもフィールドが近く、臨場感を味わえるようにしている。
 車椅子席は約500席。旧国立競技場の40席から大幅に増えた。パラリンピック開催時はさらに250席が増設される。車椅子用トイレも多く、LGBTや障害者の付き添いなどに配慮した男女共用トイレも備えられるなど、誰もが利用しやすい競技場を目指した。

 ■新たな聖地「壮大」飯塚選手
 東京五輪・パラリンピックのメイン会場になる国立競技場で昨年12月、オープニングイベントが行われ、陸上男女、パラ陸上男女の選手が一つのチームを組むリレー「ワン・レース」に飯塚翔太選手(28)=ミズノ、藤枝明誠高出=が出場した。パラ陸上女子の高桑早生選手(27)=NTT東日本=から特殊な丸型のバトンを受け、200メートルを力走。約6万人の大観衆が見守る中、真新しいトラックの感触を確かめた。
 走り終えた飯塚選手は「壮大な風景だった。トラックは反発性が高くて非常に走りやすかった」と新装の“聖地”に好印象を抱いた様子。トラックとの距離が遠くならないよう、きつめの傾斜に設計された3層の客席も「陸上の雰囲気は伝わりやすい」と歓迎した。
 リレーの前後で、ウオーミングアップ場や控室などさまざまな設備も見学した。「本番も使うと思い、想像を膨らませながら予習をするつもりだった。気持ちは高まった」と語った。

 ■東京アクアティクスセンター 世界最高水準、完成近づく
 「世界最高水準の水泳場」を掲げ、東京都が辰巳の森海浜公園(江東区)に建設している。五輪の競泳、飛び込み、アーティスティックスイミングと、パラリンピックの水泳の会場となる。2月末に完成する予定。
 長さ50メートルのメインプールは、最大3メートルの水深を可動式の床で調整できるほか、壁を動かすことで25メートルプール二つに変えることもできる。ダイビングプールには1、3、5、7・5、10メートルの飛び込み台が設置される。
 整備費は567億円(19年1月時点)で、地上4階、地下1階建て。大会時の観客席は約1万5千席。
 日本の水泳競技の中心的な役割を担ってきたすぐそばの東京辰巳国際水泳場は、五輪では水球の会場になる。

 ■有明体操競技場 外装木材の半分超、天竜材
 浜松市の天竜材をふんだんに使用し、19年10月に完成した。五輪で体操、トランポリン、新体操を行い、パラリンピックではボッチャの熱戦が繰り広げられる。
 五輪の新設会場としては最も多い約2300立方メートルの木材を屋根や観客席などに取り入れ、日本らしい和の空間を演出している。
 木のはりが支える約90メートルのアーチ状の屋根は世界最大級。外装に使った木材は約800立方メートルで、この半分以上が天竜材という。建設費は205億円で、約1万2千人を収容する。大会後は展示場として活用される。
 周囲には有明アリーナなどの競技施設が並び、選手村やメインプレスセンター・国際報道センターが入る東京ビッグサイトも近い。

 ■選手村 建材提供、遺産に
 大会期間中の各国選手団の拠点となる。宿泊棟や食堂のほか、歓迎式典が行われ、雑貨店やカフェなどが入る「選手村ビレッジプラザ」も設置される。
 ビレッジプラザには静岡県、静岡市、浜松市、小山町など全国63自治体がそれぞれの地元建材を提供した。大会後は解体されて各自治体に戻り、レガシー(遺産)として公共施設などに活用される。
 宿泊棟は21棟あり、14~18階建て。大会終了は改修した上で、分譲や賃貸のマンションとなる。

 ■伊豆ベロドローム/伊豆MTBコース 欧州ファンの注目、伊豆に
 いずれも伊豆市の日本サイクルスポーツセンター内にあり、自転車競技が行われる。欧州などでは人気の高い競技で、海外からの注目を集めそうだ。
 国際自転車競技連合(UCI)規格の木製250メートル走路を持つ伊豆ベロドロームは、五輪とパラリンピックのトラックレースに向けて改修工事の真っ最中。観客席を従来の1800席から3600席に倍増させたり照明を交換したりして3月末までの完工を予定する。
 マウンテンバイク(MTB)は五輪のみの実施。伊豆MTBコースは周囲の豊かな自然環境を生かし、日本の伝統文化や伊豆の景観を設計に取り入れて改修された。19年10月のテスト大会では世界のトップ選手から「難コース」との評価が相次ぐなど、攻略には高い技術を要求する。



オリンピックフォト 写真で振り返る五輪

静岡新聞記事や掲載写真を中心に、1964年東京大会から2016年リオデジャネイロ大会までの五輪を回顧する特集です。

静岡新聞に掲載されなかった未公開写真や、当時の紙面も収録。

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