苦闘2020 J1清水エスパルス(上)理想に現実追いつかず

(2020/12/26 22:51)
練習で厳しい視線を送る清水のクラモフスキー前監督=9月、三保グラウンド

 「攻守において迷いがある。もっとやるサッカーを明確にしたい」。リーグ戦20試合を終えてわずか3勝にとどまっていた10月上旬。今季、3人制を取った主将の一人、金子は苦悩の面持ちでチームの思いを代弁した。当時指揮を執っていたクラモフスキー監督は開幕から一貫してきた布陣を変更。鮮明に打ち出してきた攻撃的なスタイルが曖昧になり、羅針盤を失ったチームは崩れかけていた。
 今季、クラブは昨季リーグ王者の横浜Mでヘッドコーチを務めていたクラモフスキー氏にかじ取りを託した。相手に応じた受け身のサッカーから脱却し、攻守に積極的な戦い方を清水の色として確立しようとした。
 しかし、「攻撃は最大の防御」を信条とする指揮官の理想にチームはなかなか近づかなかった。球を保持して主導権を握ってもゴール前での精度が足りず、自陣からの細かなパスワークは相手に狙われてミスが失点に直結した。技術力や攻守の切り替えに求められる運動量を既存の選手が短期間で飛躍的に高めることは難しかった。
 指揮官は9月、4-3-3の基本布陣から守備時には最終ラインが5人になる3バックに変更。連敗を7で止める勝利は手にしたものの、守備戦術の落とし込みが乏しく失点は減らなかった。「準備期間が少なく、デメリットの方が大きい」(主力選手)とチームは混乱。攻撃的な色合いも薄まり、リーグ戦25試合を消化した10月末、クラモフスキー体制は終わりを迎えた。フロントは現実に即した戦いができなかった「修正能力」を解任理由の一つに挙げた。
 後任の平岡監督の下で守備を改善して息を吹き返したチームだったが、ボールを丁寧につないで攻略を図る前体制の志向は受け継がれた。選手からも「積み上げてきたものは無駄ではない」と前向きな声が上がる。ただ、来季の監督就任が決定的なロティーナ氏の守備に重きを置く戦術とは一線を画す。理想を貫くのか、現実を見て離れるのか-。クラブの展望が問われることになる。
     ◇
 コロナ禍による異例のシーズンの中、県内の4クラブは思い通りの結果を手にできなかった。苦闘した1年を振り返る。

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