伊藤(磐田市出身)女王奪還逃す 決勝で逆転負け 全日本卓球
(2021/1/18 09:05)
卓球の全日本選手権最終日は17日、大阪市の丸善インテックアリーナ大阪で行われ、東京五輪代表同士の決勝となった女子シングルスは石川佳純(全農)が伊藤美誠(スターツ、磐田市出身)に4-3で逆転勝ちし、5大会ぶり5度目の日本一に輝いた。
■「現実なのか…」好発進に落とし穴
2年ぶりの女王の座奪還はならなかった。伊藤は石川との東京五輪代表対決にゲームカウント3-1から逆転負け。最終セット終盤は4連続得点で9-9まで追い上げたが、勝利には届かなかった。
敗戦後、ベンチの伊藤は顔をタオルで覆ったままうつむき、立ち上がることができなかった。「現実なのか受け止めるのが難しくて。何をやってるんだろうと」。ふがいなさが込み上げてきた。
第1ゲームはサーブから優位な展開に持ち込み11-4であっさり奪取。ところがそこに落とし穴があった。好発進に気を良くした伊藤の警戒心が薄れた。相手の出方に応じて、戦略を変えていくのが伊藤の持ち味だが、決勝ではその柔軟性を欠いた。
次第に伊藤のリズムに慣れてきた石川に形勢を逆転された。ラリーは堅守で粘られ、体の正面への返球にフットワークを封じられた。早い決着を焦ってミスも出た。「同じ展開になってしまった。自分でやれることを固めてしまった。もっとフリーにしてあげれば良かった」と伊藤。
緊急事態宣言が発出された中で開催された大会。例年とは違う環境下でのプレーだったが、伊藤は「その日にできることを全て出し切ろうと思ってそれができた」。追われる立場にも決してひるまず決勝進出を果たした。「もっと実力を付けて、何があっても、誰にでも勝てる選手になっていきたい」。準優勝の悔しさは、成長への力に変えていく。