「静岡での開催 結果を出し、お礼としたい」 自転車四肢障害/世界選手権17、18年V 杉浦佳子 走り続ける49歳

(2020/1/5 15:00)
静岡で金メダルを獲得し、地元を盛り上げることに意欲を示す杉浦佳子選手=2019年6月、小山町の富士スピードウェイ

 パラリンピックの自転車競技に打ち込んでいるのは、自身のためだけではない。2017、18年世界選手権で優勝した四肢障害(C3クラス)の杉浦佳子選手(49)は、日本チームのためにも戦っている。「日本は出場2枠を獲得しているが、自分が(ランキングの)ポイントを稼げるだけ稼いで出場枠をもう一つ増やし、みんなと一緒に戦いたい」と得意のロードに加え、トラックの試合にも出場を続ける。
 競技は障害の程度でクラス分けし、実走タイムにクラスごとの係数を掛けて順位を決める。杉浦選手は世界選手権の時に比べて係数の低いクラスに変更となり、東京大会のメダル獲得は簡単なものではなくなった。「中国やオーストラリアなどから強い選手がどんどん出ている。(本番まで)苦しい日々があと8カ月も続く」。ライバルも増えた。だから、走り続ける。
 薬剤師として働きながらトライアスロンを趣味にしていた。16年4月、自転車のレース中に転倒し、意識不明の重体。記憶が途切れる高次脳機能障害、右半身まひが残ったが、リハビリ中に知人の紹介でパラ自転車の道へ。そして第一人者となった。
 「事故前後の記憶がなかったり、漢字が読めなかったり。大変なリハビリだったが、大勢の人の力を借りた」と母良子さん。36歳で登録販売者の資格を取得し、掛川市内で薬局を開業した良子さんは、73歳の現在も店先に立つ。杉浦選手は「母みたいになりたいとずっと思っていたし、薬剤師を目指したのも母の影響」と話す。
 掛川西高時代、20人以上を誘ってバスケットボール部を創部した。出産もあって大学を退学したが、薬剤師になるという夢を捨てきれず北里大に再び進学。育児と学業を両立させた母譲りの努力家は今、アスリートとしての才能を開花させようとしている。
 所属先の支援で薬剤師を続けながら、競技生活を送っている。それでも「薬剤師として育ててくれた前の会社に、自転車のけがで迷惑をかけて、退社して…」と乗り続けていることへの葛藤もある。
 だが、18年に国際自転車連合(UCI)の年間表彰「パラサイクリング賞」を受賞した女王としての責任も感じている。「静岡で開催される大会で結果を出し、今までお世話になった人たちへのお礼としたい」とペダルをこぎ続ける。

 すぎうら・けいこ 1970年12月26日、掛川市生まれ。掛川西高、北里大卒。2017年、国際自転車連合(UCI)パラサイクリング・ロード世界選手権タイムトライアル優勝。18年は同大会女子C2クラスのロードレース優勝。楽天ソシオビジネス所属。

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