「何が起こるか分からない。可能性はある」 陸上男子短距離/リオ400リレー銀 飯塚翔太 熾烈な代表争い、走り出す28歳

(2020/1/1 18:58)
東京五輪切符を懸けた戦いに挑む飯塚翔太選手=2019年11月、東京都八王子市の中央大陸上競技場

 東京五輪・パラリンピックイヤーが幕を開けた。陸上や卓球など各競技で代表切符を目指す静岡県の第一人者は、最高峰の舞台で集大成を示そうと新年の誓いを立てる。56年ぶりに東京で開催される五輪・パラに懸ける思いと挑戦する姿を追った。

 日本列島を沸かせた4年前とは立ち位置が違う。陸上男子短距離界の中心にいた飯塚翔太選手(28)は今、次々と現れる新鋭に押され、再び輝ける場所を目指してもがいている。「まだまだ何が起こるか分からない。可能性はある」。東京五輪切符を懸けた戦いへ、自らを奮い立たせる。
 2016年リオデジャネイロ五輪400メートルリレーで銀メダルを獲得するなど近年の短距離界をけん引してきた。だが、代表争いは熾烈(しれつ)を極めている。飯塚選手が主戦場とする200メートルの東京五輪出場は3枠。争うのは100メートルで9秒台を持つ20歳のサニブラウン・ハキーム選手(米フロリダ大)や24歳の桐生祥秀選手(日本生命)、小池祐貴選手(住友電工)ら。400メートルリレーのメンバーに割って入るのも容易ではない。それでも、「レベルの高い中で走るのは価値がある。全員がベストな状態で走って、勝てたら最高」と激戦を歓迎する。
 昨季はけがや体調不良に泣かされた。4月のアジア選手権は急性虫垂炎で欠場し、6月の日本選手権も200メートル予選で負傷し途中棄権した。弟の拓巳さん(21)=中央大3年、藤枝明誠高出=は、普段通りの笑顔の裏に隠された兄の悔しさを敏感に感じ取っていた。同じ200メートルが主戦場の短距離選手で、兄弟で練習することも多い。日本選手権前も共に時間を過ごし、「(兄が)優勝するんじゃないかと思うくらい速かった」と振り返る。飯塚選手自身も手応えを感じていただけに、レース後は兄弟で「もったいないね」と連絡を取り合った。
 東京五輪の代表争いの重要な時期に重なった離脱。だが、飯塚選手は9月に山梨県で行われた記録会で自己記録(20秒11)に迫る20秒29を出して健在ぶりを示した。そんな兄の姿に拓巳さんは「弱さを表に出さず、前向きに考える強い人。無駄な時間を過ごさず、それ以上に大事なことをしている」と改めて尊敬の念を抱く。
 五輪開催地が東京に決定した13年9月7日。当時大学4年だった飯塚選手は、日本学生対校選手権で国立競技場のトラックに立っていた。「あの頃からずっと東京五輪を意識していた。勝負したい」。生まれ変わった国立で走る姿を思い描く。

 いいづか・しょうた 1991年6月25日、御前崎市生まれ。藤枝明誠高、中央大卒。2010年世界ジュニア陸上選手権男子200メートルで日本人初の優勝。16年リオデジャネイロ五輪では男子400メートルリレーでアジア新記録を樹立し、銀メダルに輝いた。ミズノ所属。

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