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高校野球秋季大会3回戦 熱戦振り返る

 秋季高校野球静岡県大会はベスト8が出そろいました。強豪校に加え、初出場のチームも勝ち進み、球児たちが来春の選抜大会に向けて奮闘しています。3回戦の結果をまとめました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・吉田直人〉

初出場の科学技術8強 静岡は加藤学園に逆転勝ち 聖隷、完封勝利

清水東―科学技術 最終回のピンチを併殺で切り抜け、タッチして喜ぶ科学技術バッテリー=あしたか球場
清水東―科学技術 最終回のピンチを併殺で切り抜け、タッチして喜ぶ科学技術バッテリー=あしたか球場
 来春の選抜大会につながる第74回秋季高校野球静岡県大会第3日は23日、草薙など4球場で3回戦を行った。初出場の科学技術は打線がつながり、清水東を下して8強入りを果たした。今夏優勝の静岡は右腕吉田優飛が、加藤学園を6安打1失点に抑えて完投した。聖隷クリストファーの主戦弓達寛之は、浜松工打線を4安打完封。掛川西は浜松商との延長戦を制した。このほか日大三島、静岡市立、沼津東、浜松西も8強入りした。大会第4日は25日、草薙、清水庵原球場で準々決勝を行う。

 ■23日の試合結果
 ▽あしたか球場
 日大三島11-0三島北(6回コールド)
 科学技術9-4清水東
 ▽清水庵原球場
 沼津東2-1常葉大橘
 聖隷クリストファー2-0浜松工
 ▽草薙球場
 静岡4-1加藤学園
 静岡市立2-1浜松市立(延長10回)
 ▽浜松球場
 掛川西6-5浜松商(延長10回)
 浜松西2-1静岡商

 ■25日の試合(準々決勝) 
 ▽清水庵原球場
 静岡 10:00 科学技術
 沼津東 12:30 浜松西
 ▽草薙球場
 日大三島 10:00 掛川西
 静岡市立 12:30 聖隷クリストファー

科学技術 堅実守備でリード守る

清水東―科学技術 9回4失点と粘投した科学技術の主戦兵庫=あしたか球場
清水東―科学技術 9回4失点と粘投した科学技術の主戦兵庫=あしたか球場
▽3回戦(あしたか第2試合)
科学技術
000333000―9
000102100―4
清水東
 ▽二塁打 榛葉(科)清野、加藤、矢部田(清)▽ボーク 加藤(清)
 ▽試合時間 2時間8分

 【評】科学技術が着実にリードを広げて逃げ切った。四回に主戦兵庫が自ら適時打を放つなど3点を先制し、五、六回も池ケ谷、浅井、吉村の適時打などで3点ずつ加えた。兵庫は4失点したが要所を締めて完投した。
 清水東は失策や四死球が絡んで大量失点。矢部田の2本の適時打などで追い上げたが攻めきれなかった。

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清水東―科学技術4回表 科学技術1死満塁、兵庫が2点適時打を放つ あしたか球場
 
    ■堅実守備 難敵に雪辱
 初出場の科学技術が我慢強い試合運びで8強入りした。清水東に11安打されたが、堅実な守備で大量失点は許さない。「がむしゃらにやっていただけのチームが、試合の流れを読めるようになった」と森田監督。昨秋の静岡市内大会で大敗した難敵に雪辱した。
 3点を先行した直後の守りで大きなプレーが出た。四回無死一塁からの左越え二塁打を、「普段から中継プレーを大切にしてきた」と遊撃手の主将杉本、三塁手池ケ谷がつなぎ本塁タッチアウト。結果的に1点は返されたが流れを渡さず、五回に池ケ谷、浅井の連続適時打で突き放した。
 主戦兵庫の直球は120キロ前後。強打の清水東に「打たれるのは仕方ない」と割り切った。連打されても淡々と低めにボールを集めた。守備陣も大量リードを生かし、ピンチで焦って傷口を広げることなく着実にアウトを積み重ねた。
 準々決勝の相手は静岡。兵庫は小学校時代、静岡の4番袴田に誘われ野球を始めた。高校での初対決に「抑えたい」と闘志を燃やす。「地区1回戦で当たることはあっても、県で勝ち上がって戦えることはなかなかない。大きな経験になる」と指揮官。伸び盛りのチームが夏王者に挑む。

静岡の吉田優、初先発で完投勝利

静岡―加藤学園 公式戦に初先発し、完投した静岡の吉田優=草薙球場
静岡―加藤学園 公式戦に初先発し、完投した静岡の吉田優=草薙球場
▽3回戦(草薙第1試合)
静岡
020000200―4
100000000―1
加藤学園
 ▽二塁打 知念、山岸、松永(静)▽暴投 吉川(加)▽捕逸 池田(加)
 ▽試合時間 2時間13分

 【評】静岡は先発右腕吉田優が6安打1失点で完投し、加藤学園に逆転勝ちした。
 静岡は1点を追う二回、四球と犠打で2死二塁とし知念の適時二塁打で同点。猪股の適時打で勝ち越した。吉田優は変化球でカウントを取り、力のある直球で打ち取った。
 加藤学園は初回に太田侑の中前打を足掛かりに敵失に乗じて先制したが、その後は打線がつながらなかった。


 ■静岡の大型右腕 吉田優 冷静なマウンドさばき光る
 身長186センチ、最速147キロの静岡の大型右腕吉田優が、加藤学園との3回戦で公式戦初先発し、6安打1失点(自責点0)、115球で完投を果たした。「心は熱く頭は冷静に」。一喜一憂することなく、冷静なマウンドさばきを見せた。
 コロナ禍で練習試合ができない今は、公式戦の中で成長するしかない。池田監督は地力のある相手に、背番号9ながら球威で押せる吉田優を先発に抜てきした。「行けるところまで」と送り出したが、最後までマウンドを守り抜いた右腕の出来を「期待以上。頼もしかった」と評した。
 以前はスライダーでかわす弱気の投球が課題だったが、この日は最速143キロの直球で攻めた。終盤に球威は落ちたが「腕を振ることだけはしっかりやろう」と真っ向勝負を貫いた。背番号1の鈴木脩は今夏の甲子園を経験した。「自分は夏は力不足だった。大会で成長して春の甲子園のマウンドに立てるようにしたい」と誓った。

沼津東、捕手木村が攻守で活躍 2点守り切る

沼津東-常葉大橘 沼津東1回裏2死二、三塁、2点適時打を放つ木村=清水庵原球場
沼津東-常葉大橘 沼津東1回裏2死二、三塁、2点適時打を放つ木村=清水庵原球場
▽3回戦(清水庵原第1試合)
常葉大橘
000010000―1
20000000×―2
沼津東
 ▽二塁打 坂田(沼)▽暴投 長谷川(常)瀬戸(沼)
 ▽試合時間 1時間58分

 【評】沼津東が序盤の好機を着実にものにし、常葉大橘を振り切った。
 沼津東は初回2死二、三塁から木村が左前に運び、2点を先制した。投げては大沼、瀬戸の継投で相手打線を7安打、1失点に抑えた。
 常葉大橘は五回に赤堀の適時打で1点を返したが、終盤の好機を生かせなかった。


 ■好機で木村 初球狙い打ち
 初回、先制の好機で打席が回った沼津東の5番木村は初球を狙っていた。直前で4番森部が凡打に倒れたが、慌てない。「後ろの打者が好調だったのでつなぐ意識だった」。甘く入った変化球を左前にはじき返し、幸先よく2点をもぎ取った。
 捕手としても2投手を粘り強くリード。自らたたき出した先制点を守り切った。相手は甲子園出場経験がある常葉大橘。勝又監督は「公立が強豪私立に勝つのは意味がある」と立役者をほめた。
 文武両道を目指す進学校の捕手らしく、短時間集中の練習で多くの学びを得ようと必死だ。目指すは東海大会出場。「次も必ず勝ちたい」。2年ぶりの8強入りを果たし、目標達成まであと2勝に迫った。