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3時のアフタヌーンクリップ

 午後3時を回りました。きょう9月20日は「敬老の日」のほかに「バスの日」でもあります。1903年、日本初の事業バスが京都市内を走行しました。私事ですが…、小学生の頃、路線バスの運転手さんにあこがれていました。
 さて、この時間の〈知っとこ〉は定番の「アフタヌーンクリップ」です。コーヒーや緑茶を片手に気軽にお読みいただける話題を4つ集めました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

91歳大村光代さん デイサービス仲間に絵画指導 静岡

 静岡市葵区のデイサービス「亀寿庵」で、利用者の大村光代さん(91)が絵画教室の先生となり、デイ仲間に指導を行っている。同サービスの亀井正代表は「人と交わることが苦手な利用者が創作活動を通じて楽しく会話するようになった。笑顔も増え、施設全体が明るくなった」と目を細める。

生徒の隣に寄り添いながら、色の塗り方を伝える大村さん(左)=静岡市葵区のデイサービス「亀寿庵」
生徒の隣に寄り添いながら、色の塗り方を伝える大村さん(左)=静岡市葵区のデイサービス「亀寿庵」
 もともと絵を描くことが好きだった大村さん。童画や美人画などで知られる画家中島潔さんの作品に一目ぼれし、本格的に絵画活動を開始。60歳から25年間、自宅に絵画教室を構えた。教室では、中島さんの画集やポストカードを中心に、構図や色彩をまねて技術指導を行っていた。
 大村さんは心臓の持病などを理由に3年前から同サービスを利用し始めた。当初は他人と関わらず、黙々と絵を描いていたという。名画そっくりに描かれる作品に驚いた亀井代表が「みんなに教えてみては」と提案。大村さんは約5年ぶりの絵画教室の先生となった。
 8月下旬、同サービスには、はつらつと絵を描く利用者らの姿があった。大村さんが用意した手本や下絵を見ながら、70~90代の5人が色鉛筆で色塗りを楽しんだ。紅葉など季節感あふれる風景には1色では再現できない奥深い色味も。大村さんは“生徒”の隣に寄り添い、色の作り方や塗り方を伝えた。
 同サービスで相談員を務める天野智代さんは「絵の指導を再開したことで楽しみが増えたのでは。生徒になる利用者さんも新たな趣味を見つけ、生きがいにつながっている」と優しく見守る。亀井代表は「認知症の予防や改善、脳梗塞の後遺症のリハビリにも効果がありそう」と期待した。

小便小僧…コロナを鎮めて ベルギー人美術家、沼津など巡回

 ベルギーを救った英雄に新型コロナウイルス禍も鎮めてほしい―。巨大な小便小僧のオブジェを積んだ軽トラックが沼津市内にやってきた。ベルギー出身の前衛美術家パトリック・ジェロラさん(東京都)が都内からスタートした移動美術展は、「コロナ退散」の願いを載せて話題を広げている。

小便小僧のオブジェを軽トラックに載せて沼津市内を訪れたパトリック・ジェロラさん(左)と飛田智美さん
小便小僧のオブジェを軽トラックに載せて沼津市内を訪れたパトリック・ジェロラさん(左)と飛田智美さん
 実物の4倍近い2・2メートルの巨体に、一度見たら忘れられない鮮やかな色彩。ジェロラさんの代表作となる小便小僧の彫像は11体ある。都内では友好150年を祝う式典でベルギー国王を出迎え、母国のブリュッセル国際空港では国のシンボルをアピールした。
 ジェロラさんは国内外で作品を発表してきたが、コロナ禍を受けてロシアや中国、スイスなどで展示が中止に。「芸術は不要不急とされてしまった。でも、アートはコミュニケーションと幸福を生むことを感じてほしい」。軽トラックの荷台に作品を載せ、以前から関心のあった「モバイルアート展覧ツアー」に乗り出した。
 5月にベルギー大使館を出発し、新宿や銀座など人目につくコースをドライブ。「皆がうれしそうにカメラを向けてくれた」。横浜や軽井沢など縁のある土地を選ぶ中で、妻の飛田智美さんの出身地沼津も1日限りの展覧会場になった。
 小便小僧は、爆弾の導火線の火を小便で消し止め街を救ったとされる英雄。智美さんの実家にあるアトリエで誕生した彫像は“故郷”を元気づける役目も遂行した。今後のコースは未定だが、街にアートがある喜びを多くの人に知ってもらうつもりだ。
 

エビイモ初出荷へ選別作業 生産量全国トップの磐田・JA遠州中央

 JA遠州中央(本店磐田市)は19日、生産量全国トップとされる「海老芋(エビイモ)」の初出荷を前に、同市加茂の同JA園芸流通センターで選別作業をスタートした。おせち料理の具材や料亭の高級食材向けに需要が高まる年末に向け、今後出荷が本格化する。

初出荷に向けたエビイモの選別作業=磐田市加茂のJA遠州中央園芸流通センター
初出荷に向けたエビイモの選別作業=磐田市加茂のJA遠州中央園芸流通センター
 エビイモは同市豊岡、竜洋、豊田地区を中心に102人が計19・7ヘクタールで生産する。初日は子イモと孫イモ計650キロ分が持ち込まれ、職員約20人が等級別に振り分けて箱詰めした。主に東京、関西市場に向け、来年2月下旬ごろまで出荷が続く。担当者は「日照時間が豊富で適度な降雨もあり、順調に育った」と話した。
 サトイモの一種で、きめ細やかな肉質と軟らかな食感が特徴。業務需要が中心のため、コロナ禍に伴う営業自粛などで20年度は相場が伸び悩んだ。21年度の出荷は前年度比微減の320トンを計画している。

都内で「静岡産直マルシェ」を企画する 矢後真由美さん 地域結び活性化に貢献【とうきょうウオッチ/インタビュー】

 JR大井町駅前の定期イベント。今秋は19、20日に開き、11月6、7日にも予定する。本業では会場近くにレンタル・シェアオフィス「MICAN」を運営し、県内企業の首都圏進出を支援する。小山町出身、39歳。

矢後真由美さん
矢後真由美さん
 ―マルシェを手掛けるようになった経緯は。
 「オフィスを利用する県内企業の皆さんに、首都圏でトライアル的に商品を販売できる場を提供できないかと考えたのがきっかけ。最初は大井町の『どんたく夏まつり』の一角にブースを作らせてもらう形だったが、一昨年度から秋のイベントとして本格的にスタートし、本年度は春と秋の年2回に増やした」
 ―成果や手応えをどのように感じているか。
 「出店する企業や生産者が喜んでくれると同時に、大井町の皆さんにも静岡の魅力を知ってもらえているのではないか。開催を重ねることで新たな人と人のつながり、出会いが生まれ、出店者の業種や顔触れが幅広くなったり、都内にいる県内出身者がボランティアで手伝ってくれたりするようにもなった」
 ―今後の目標を。
 「足元ではコロナ禍により静岡からの企業の参加が難しくなっているものの、感染防止に配慮し、皆で盛り上げながら継続してやっていきたい。中長期的には品川・大井町と静岡を結ぶ懸け橋としてマルシェを育て、両地域が共に活性化するように貢献できればと思っている」