わたしの街から 市民の憩いの場・佐鳴湖
浜松市の佐鳴湖(中区、西区)は、川で浜名湖とつながる汽水湖。周囲約6キロの湖を囲む佐鳴湖公園は、休日を中心に散策やジョギング、音楽演奏、野鳥観察を楽しむ市民でにぎわい、幅広い世代に親しまれる憩いの場になっています。地域づくりや自然環境を守る取り組みを紹介します。
〈静岡新聞社浜松総局・土屋咲花、足立健太郎〉
自然の中で創作、交流 あおぞら協働センター
佐鳴湖公園の北岸芝生広場では2020年度から、地域社会育成を目指した試みが始まった。富塚協働センターが定期開催する「あおぞら協働センター」は、パラソルの下、多彩な工作体験を行う。人の往来が多い立地を生かし、老若男女がふらりと立ち寄れる空間をつくり出した。
8月下旬。日が陰り始めた夕刻、子どもや近隣住民が三々五々集まってきた。この日の工作は市内の講師による針金の装飾作り。参加者は談笑しながら針金を曲げたり丸めたり。好みの形に仕上げ、互いにほめ合った。
開放的な屋外で交流を促す発想は、沖縄県の先進事例に学んだ。気軽さを重視し、出入り自由。ランニングの途中に寄る人もいる。
コロナ禍にもかかわらず、20年度は15回、本年度は8月末までに9回実施した。毎回50人ほど、多い時には80人以上が訪れる。何度か参加している富塚小4年の松山悠莉さん(10)は「いろいろな人と会えて、みんな優しいので楽しい」。近くに住む金子聖子さん(68)は「普段はしないことができて童心に帰ったよう」と笑う。
地域交流が希薄になる中で始まった試みは、常連の参加者が別の催事を手伝うなど輪が広がり始めた。主導する市職員野嶋京登さん(36)は「困ったときに助け合える環境づくりを目指している。参加者と顔見知りになり、日常的に声をかけてもらう機会も増えた」と手応えを語る。
開放的な屋外で交流を促す発想は、沖縄県の先進事例に学んだ。気軽さを重視し、出入り自由。ランニングの途中に寄る人もいる。
コロナ禍にもかかわらず、20年度は15回、本年度は8月末までに9回実施した。毎回50人ほど、多い時には80人以上が訪れる。何度か参加している富塚小4年の松山悠莉さん(10)は「いろいろな人と会えて、みんな優しいので楽しい」。近くに住む金子聖子さん(68)は「普段はしないことができて童心に帰ったよう」と笑う。
地域交流が希薄になる中で始まった試みは、常連の参加者が別の催事を手伝うなど輪が広がり始めた。主導する市職員野嶋京登さん(36)は「困ったときに助け合える環境づくりを目指している。参加者と顔見知りになり、日常的に声をかけてもらう機会も増えた」と手応えを語る。
豊かな自然 野鳥の住処に
佐鳴湖で撮影したアオサギ
佐鳴湖で撮影したカワセミ
環境守り後世に 市民有志が生物保護
浜松市の中心部から西へ5キロ。自然に恵まれた佐鳴湖は戦後の高度経済成長を機に水質悪化に悩まされ、市民の憩いの場を取り戻そうと官民一体の活動が続いた。有志の「浜松水辺を愛する会」は約30年間、佐鳴湖と流域河川の生物保護に取り組んでいる。
佐鳴湖周辺の新川で生態調査を行う浜松水辺を愛する会のメンバー=浜松市中区
1955年ごろまでは泳ぐこともできたというが、周辺開発が進むにつれ水質が悪化した。化学的酸素要求量(COD)で測る湖沼の水質調査では2001年度から6年連続で全国ワーストを記録。汚名返上に向けて多様な浄化策が重ねられ、昨年度は1974年の正式な測定開始以降、最も汚れが少なかった。
佐鳴湖CODの変化
同会は92年から、魚類の生態調査に加え、生息魚類を展示するミニ水族館、小中学校での自然学習教室を開いている。生物を通じて、環境保全の大切さを市民に伝えてきた。
佐鳴湖は淡水と、浜名湖を経た海水が混じり合う汽水湖。同会などの調査では、流域河川を含め約90種の魚類が確認されている。だが、河川改修などの影響もあり近年は分布に変化が見られ、個体数も減少傾向という。
中村芳正会長(83)は「ごみを捨てないことはもちろん、自分たちの生活が命を育む自然にどのような影響を与えているかを考えることも重要」と話す。
佐鳴湖で部活動に取り組むボート部の高校生