辞退続出 パラリンピック学校観戦

 静岡県内で始まる東京パラリンピックの自転車競技。児童生徒が観戦する「学校連携観戦プログラム」に参加希望の県内の学校が、ゼロになったことが分かりました。新型コロナ感染急拡大を受け、辞退が続出しました。プログラム自体が実施できない公算が大きいとのことです。東京五輪での実施状況を含め、経緯を追いました。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

デルタ株急拡大受け 教育委員会「子供の安全確保の観点から」

 静岡県内で25日から始まる東京パラリンピックの自転車競技を巡り、児童や生徒に観戦機会を提供する「学校連携観戦プログラム」に参加を希望する県内の学校が、20日までにゼロになったことが分かった。新型コロナウイルス感染拡大と緊急事態宣言の発令を受け、辞退が続出した。現時点では、プログラム自体が催行できない公算が大きい。

東京パラリンピック自転車競技の会場の一つの富士スピードウェイ=2017年12月(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
東京パラリンピック自転車競技の会場の一つの富士スピードウェイ=2017年12月(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 県によると、東京五輪の閉幕直後の8月上旬、県内の3校、約340人がプログラムに参加の意向を示していた。大会組織委員会や東京都などの16日の4者協議でパラの無観客開催と併せてプログラムの実施方針が決まったことから、県は参加希望校に再確認したところ、いずれも取りやめとなった。
 県は自転車競技会場周辺の市町教委などにもプログラムの参加意向を尋ねた。関係者によると、インド由来のデルタ株を中心とした感染急拡大の状況を受け、教委からは子どもの安全確保の観点から難しいとする意見が寄せられたという。
 一方で、パラ競技の観戦は共生社会の大切さを伝える教育的な意義も大きいため、県は今後、学校側から改めて参加の希望があった場合、組織委に実施を働き掛ける方針。
 新型コロナが流行する前の2020年度、県内の93校がプログラムに賛同し、約1万600人の児童生徒が東京五輪・パラリンピックの各競技を観戦する計画だった。1年延期を経てコロナ禍で行われた東京五輪では、県内の33校、約1200人がプログラムを活用して観戦した。
〈2021.08.21 あなたの静岡新聞〉

8月中旬時点で参加希望は数校まで減っていた

 静岡市で開かれる静岡県の東京パラリンピック聖火リレーの集火式を前に16日、式典会場から距離がある県東部、西部を中心に12市町で事前の採火イベントが開かれた。地域に長年ともされた火や、障害者らが参加して集火、採火したともしびを各市町のランタンに納めた。

松木正一郎市長(左)から、「日米友好の灯」(奥)から採火した火を受ける伊豆の国特別支援学校伊豆下田分校の児童生徒=16日午前、下田市三丁目のペリー上陸記念公園
松木正一郎市長(左)から、「日米友好の灯」(奥)から採火した火を受ける伊豆の国特別支援学校伊豆下田分校の児童生徒=16日午前、下田市三丁目のペリー上陸記念公園
 下田市は、2003年に姉妹都市の米国ニューポート市から届き、ペリー上陸記念公園にともされている「日米友好の灯」から採火した。松木正一郎市長が友好の灯から点火棒で移した火を、伊豆の国特別支援学校伊豆下田分校の中学部1年鈴木彪牙さん(12)=南伊豆町=と小学部5年馬場萌那未さん(11)=松崎町=に分けた。2人は再度、点火棒でトーチに火をともした後、市職員がトーチからランタンに火を移した。
 これまでサッカーやサーフィンに挑戦したという鈴木さんは「ボクシングが好き。パラリンピックが楽しみ」と笑顔。馬場さんは「採火は楽しかった。車いすバスケットが見たい」と大役を終え、ホッとした表情を見せた。
 雨天のため、16日に採火イベントを予定していた河津、南伊豆の両町は中止した。職員が採火し、集火式に運ぶ。他の市町の多くは集火式当日の17日に採火し、静岡市まで運ぶ。

 ■無観客開催「残念」 川勝知事コメント
 東京パラリンピックが静岡県の自転車競技を含む全競技会場で無観客での開催に決まったのを受け、川勝平太知事は16日、「観覧を楽しみにしていたチケットホルダーには大変残念な結果となった」とコメントを発表した。
 静岡県のパラ自転車競技は25~28日に伊豆ベロドローム(伊豆市)でトラック、31日~9月3日に富士スピードウェイ(小山町)でロードを計画している。
 県によると、競技会場の最寄り駅で観客を案内する「県都市ボランティア」は無観客開催により活動の機会がなくなるため、代替措置を検討する。子どもに観戦の機会を与える「学校連携観戦プログラム」については、4者協議の方針に基づき実施する方向。当初、90校を数えた参加希望校は感染拡大の影響で辞退が相次ぎ、現在、数校にとどまる。
 17日の県内聖火リレーは御前崎・菊川両市の公道区間で計画通り行う。浜松市中区の四ツ池公園陸上競技場内では、熱海、静岡の各市を予定していた走者と、浜松市の走者が聖火をつなぐ。県オリンピック・パラリンピック推進課は沿道での観覧自粛を呼び掛け、インターネットのライブ視聴を推奨している。
〈2021.08.17 あなたの静岡新聞〉

東京五輪では児童生徒が観戦 学校単位もあれば家庭ごとの参加も

 東京五輪・パラリンピックで子どもに観戦の機会を提供する学校連携観戦プログラムが25日(※7月)、県内でも小山町の富士スピードウェイ(SW)がゴールの自転車競技女子ロードレースで始まった。会場に集まった児童生徒は感染対策に気を配りながら、トップ選手の白熱した戦いを観戦し、間近に“世界”を体感した。

学校観戦プログラムで自転車女子ロードレースを観戦に訪れ、選手に拍手でエールを送る子どもたち=小山町の富士スピードウェイ
学校観戦プログラムで自転車女子ロードレースを観戦に訪れ、選手に拍手でエールを送る子どもたち=小山町の富士スピードウェイ
 同プログラムは31日まで、自転車と陸上の2競技で県内約50校4千人ほどの小中高生が観戦予定。初日は小山町や御殿場市などの26校約840人が訪れた。当初の予定通り学校単位で訪れた学校もあれば、開催が見通せない中、教育委員会が窓口となり家庭ごとの参加もあった。
 参加者は、集合場所からバスで分散して会場入りし間隔を空けて学校ごとに着席した。手指を消毒したり、小まめに水分補給を行ったりと感染、熱中症対策に注意した。
 選手がスタンド前を通過すると大きな拍手でたたえた。御殿場小3年の久保田嵐士君(9)と門馬央祐君(8)は、「目の前をすごい速さで選手が通ってびっくりした。いろいろな国の選手を応援した」と声を弾ませた。同校の佐々木直行校長は「子どもの輝く目を見て無事できて良かった」と安堵(あんど)した。静岡高の新聞部と写真部の生徒も観戦し、「この時代の学生だったから体験できた。恵まれたことに感謝し校内新聞で伝えていきたい」と喜んだ。
 同プログラムは、新型コロナウイルスの感染収束の見通しが立たず、当初の約半数まで学校の辞退が相次いだ。県オリパラ推進課の担当者は「感染対策を徹底し子どもの心に残る大会にしたい」と話した。
〈2021.07.26 あなたの静岡新聞〉

オリンピックも学校の辞退相次ぐ 観客有無の方針決定遅れが影響か

 東京五輪は新型コロナウイルス感染流行による1年延期を経て23日(※7月)開幕し、24日からは自転車競技が静岡県東部で順次開催される。感染対策のため大半の競技で無観客開催が決まった一方、県の自転車競技は一般客を入れた対応を取る。コロナ禍の厳しい状況下で、受け入れ準備が粛々と進められている。

東京五輪の自転車競技に向けて調整する選手にエールを送る沿道の人たち=22日午後、小山町の富士スピードウェイ前
東京五輪の自転車競技に向けて調整する選手にエールを送る沿道の人たち=22日午後、小山町の富士スピードウェイ前
 県内会場の富士スピードウェイ(小山町)と日本サイクルスポーツセンター(伊豆市)の周辺駅では、来訪客のおもてなし役として県が養成した「県都市ボランティア」が本番に臨む。JR御殿場、伊東、沼津、三島と伊豆箱根鉄道修善寺の計5駅でパラリンピック閉幕までの間、計700人が交通、観光案内を担う。県は3密回避やマスク着用などを啓発し、暑さ対策として冷却グッズ配布や救護所設置を予定する。
 当初予定していたJR熱海駅での県都市ボランティアの活動は、土石流災害を受けて取りやめとなった。大会の祝祭ムードを演出する都市装飾も同駅周辺では実施しない。
 競技会場以外で臨場感を味わえる「公式ライブサイト」は御殿場市が県民を対象に、裾野市が市民を対象に、いずれも規模を縮小して開催する。新型コロナ感染予防のため会場内での飲食は原則、禁止とする。設営予定だった伊東、伊豆の国、静岡、浜松の4市は感染状況を踏まえて中止した。県はウェブやテレビを用いた自宅観戦を推奨している。
 子どもに観戦の機会を提供する「学校連携観戦プログラム」については、感染流行前は県内の小中学校など93校が参加の意向を示していた。感染収束の見通しが立たず、会場に観客を入れるかどうかの方針決定も遅れたことから辞退が相次ぎ、参加予定校は現時点で40校程度にとどまる。
〈2021.07.23 あなたの静岡新聞〉