波自在に サーフィン施設オープン
牧之原市静波に日本初のサーフィン競技用人工造波施設「静波サーフスタジアム」がオープンしました。サーファーのレベルに合わせた波を起こし、初心者から上級者まで波乗りを楽しめます。東京五輪に出場し、金メダルを獲得したアメリカ代表選手らも事前合宿を行った施設の魅力に迫ります。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉
最新装置が繰り出す波 水遊びゾーンも人気
牧之原市に整備された日本初のサーフィン競技用人工造波施設「静波サーフスタジアム」が16日、グランドオープンした。初日は子どもから大人までサーファー約100人が訪れ、最新の造波装置で繰り出される波を楽しんだ。
インストラクターの指導が付く初心者向けの「チャレンジコース」は、サーフボードとウエットスーツの貸し出しも含め1時間3300円。水遊びゾーンやプールサイドへの入場料は1千円(子どもは500円)。飲食店への入店は無料。
8月中の予約は全て埋まっているという。9月の予約は今週中に始まる予定。予約は公式ウェブサイトから。
〈2021.08.17 あなたの静岡新聞〉
当初の開業目標は2020年秋 コロナ禍で遅れ
牧之原市静波に建設が進む日本初のサーフィン競技用人工波施設「静波サーフスタジアム」の本体工事が、1月上旬までにほぼ完了した。事業者のサーフスタジアムジャパンはまもなくプールへの注水を開始し、2月中に波を起こす試験を実施する方針。コロナ禍の影響で遅れている開業時期は「今春の早い時期」(安達俊彦社長)を目指している。東京五輪出場選手の大会前の練習場としても活用が見込まれる。
「年間5万人の来場を見込んでいる」。12月中旬、工事現場で開催した見学会で安達社長が施設概要を説明し、参加した自治会役員や地元選出議員らが期待を膨らませた。幅150メートル、奥行き60メートルのプール本体はほとんどが完成。屋外の照明など細部の施工を残すのみとなっている。
隣接するクラブハウスの建設も着々と進んでいる。2階には展望デッキを設け、富士山の眺望やサーファーが競技する様子を楽しめるようにする。クラブハウスへの入場は無料とする方針で、幅広い層に施設に親しんでもらうことで競技者の裾野拡大を目指す。
東京五輪・パラリンピックでは、牧之原市は米国サーフィンチームのホストタウンに登録されている。米国は五輪前の事前合宿で、同スタジアムを利用してトレーニングを行う意向を示している。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により造波装置の米国からの納入が遅れ、当初20年秋を目指していた開業は後ろ倒しになった。装置のセッティングを行う米国人技術者の来日は12月中旬にようやくかない、試験的に波を起こす準備が整いつつある。
同感染症が拡大しているため、同社は開業時期の検討を重ねている。安達社長は「サーファーや地元関係者を中心に期待が高い。コロナの状況を見つつ、できるだけ早い時期に開業したい」と話す。
〈2021.01.13 静岡新聞夕刊、表記などはすべて当時〉
事前合宿のアメリカ選手は金メダルを獲得 「おもてなしに感謝」
東京五輪に出場するサーフィン米国代表は20日(※7月20日)、ホストタウンの牧之原市での事前キャンプを終え、試合会場の千葉県一宮町に向かった。選手団は出発前に市役所榛原庁舎に立ち寄り、市職員から熱いエールを受けた。
米代表は16日に市内入りし、静波海岸と人工造波施設「静波サーフスタジアム」でトレーニングを積んだ。五輪のサーフィン競技は25日に始まる予定。
〈2021.07.21 あなたの静岡新聞〉
「最新技術で最高の波」 サーフスタジアムジャパン・安達俊彦社長
アジア初の本格的なサーフィン競技用人工造波施設「サーフスタジアム」の開業に向けた準備を牧之原市で進める。スポーツとしてのサーフィンの普及や、施設を核とした沿岸部の活性化などを目指す。
-サーフスタジアムの概要は。
「最新のテクノロジーで、最高の波を連続して確実に作ることができるのが大きな特長。波高は最大2・1メートルで、初心者からトップアスリートまでが満足して練習できる。サーフィンの聖地として知られる牧之原市の静波海水浴場から徒歩圏内の土地に建設中。開業はことしの秋口を見込んでいる。敷地面積は約5千坪で、サッカー場や野球場と同じような規模。国際大会も開催できる。こうした本格施設はアジア初となる」
-牧之原で開業することになった経緯は。
「地元のサーファーからの要望があり、4年前から構想はあった。当時の計画では今回の2倍近くの敷地を必要とし、地権者らの同意が得られなかったことやコストがかかりすぎることから白紙に。その後は沈静化していたが、造波装置の技術が進歩し、狭い面積でも十分な波を起こせるようになった。総事業費が下がって採算が見込めるようになり、再びプロジェクトが動きだした」
-競技者の裾野拡大に向けた仕掛けは。
「家族連れでも楽しめるよう、子ども向けの水遊び場を設ける。サーファーを見ながら水に親しみ、興味を持ってもらいたい。近隣住民やサーフィンに興味ない人も集まれるような飲食施設も整備する。スタジアムを見渡せる設計で、競技の魅力を感じられるようにする。老若男女、多くの人にスタジアムに親しんでもらい、サーフィンに挑戦する人を増やしたい」
-東京五輪で正式種目になったことの意義は。
「五輪競技に値するスポーツとして認められたのはすごいこと。メディアでの露出が増えることで、より多くの人に興味を持ってもらえるはず。来夏に延期されたため、スタジアムが五輪前に開業できるようになった。メダル獲得が期待される各国の選手が大会前の練習で使ってくれる可能性がある。上を目指す日本人サーファーは海外に移住している場合が多いが、牧之原で練習を積んでもらい、将来の五輪出場選手を養成できれば素晴らしいことだ」
あだち・としひこ 東京都出身。全日空に入社後、多くの新規事業開発に携わった。2019年4月から現職。65歳。
〈2020.04.12 静岡新聞朝刊、表記などはすべて当時〉