〈 旬です!美味です! 遠州灘の天然ハモ 〉

 湯引きを梅肉でさっぱり。じめじめしたこの季節にぴったりの鱧(ハモ)。遠州灘の天然物が旬を迎えています。関西方面への出荷が主流でしたが、近年は「地元でもっと消費しよう!」という動きが盛んになっています。今宵はその辺りをまとめてみました。
 ※おすすめ記事まとめ「知っとこ」は毎日4回更新。次回は明日午前9時半ごろを予定しています。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

かば焼き丼や天ぷらでおいしく 浜松市内の飲食店やホテルで提供

 遠州灘の天然ハモが旬を迎え、浜松市内の飲食店やホテルで料理の提供が始まった。湯引きや天ぷら、吸い物など多彩な調理方法で楽しめ、新しいご当地グルメ「ハモかば丼」も堪能できる。

旬を迎えた遠州灘の天然ハモを堪能できる「ハモかば丼」=浜松市中区のホテルコンコルド浜松
旬を迎えた遠州灘の天然ハモを堪能できる「ハモかば丼」=浜松市中区のホテルコンコルド浜松
 ホテルコンコルド浜松(中区)は秋までの季節限定メニューとして、ウナギのかば焼きのようなたれで味付けしたハモかば丼を提供する。大野公司総料理長(52)は「梅雨期を迎え、ハモの身が大きくなってきた。ウナギのひつまぶしのように『そのまま』『だしと薬味を入れて』『温泉卵と一緒に』と3種類の食べ方で味わってほしい」とPRする。
 ハモは夏場に向けて脂が乗り、身が柔らかくなる。遠州灘の天然ハモは主に関西方面に出荷していたが、地元に加工場が整備され、舘山寺温泉観光協会(西区)などが2018年から地産地消運動を始めた。
 〈2021.6.11 あなたの静岡新聞〉⇒元記事

コロナ禍の昨年「おうちでハモかば丼」も誕生

 水産加工の海老仙(浜松市西区)は14日(※2020年5月14日)、遠州灘で水揚げされた天然ハモをウナギ用のタレでかば焼きにした「ハモカバ丼の具」を発売する。ご当地グルメとして浜名湖周辺の飲食店が提供するハモカバ丼だが、新型コロナウイルスの影響で販売減が懸念されるため、家庭向けに100食限定で売り出す。

海老仙が発売した「ハモカバ丼の具」の調理例
海老仙が発売した「ハモカバ丼の具」の調理例
 カットしたハモのかば焼きと地元産野菜が入った冷凍商品。1人前120グラムで税込み864円。解凍して湯せんし、ご飯の上に乗せ、付属のタレときざみのりをかければ、簡単に調理できる。加茂仙一郎社長は「水産物の需要が落ち込む中、ハモの消費拡大につなげたい」と話す。
 遠州灘のハモ漁は全国で最も早く4月中旬に始まるが、主に関西方面に出荷していた。ハモカバ丼は地元で消費し、地域活性化につなげようと、舘山寺温泉観光協会(同区)などが2018年に商品開発した。海老仙は加工を担当している。
 〈2020.5.14 静岡新聞朝刊「おうちでハモカバ丼 浜松の水産加工会社 具を発売」〉

地消の動き活性化 加工場が整備された2018年頃から

 遠州灘で漁獲されるハモをかば焼きにした「はもカバ丼」が5月(※2018年5月)、浜松市西区舘山寺町の料理店など14店舗で売り出される。ハモの骨切りや冷凍保存を行う加工場が地元に整備され、地域で食材の安定供給に向けた動きが進む。地元関係者は冬の「かきカバ丼」と並ぶ夏の“ご当地丼”として定着を図り、いずれはハモを多彩な料理に広めていく考えだ。

ハモの骨を切る機械を導入した加工場=26日、浜松市西区舘山寺町
ハモの骨を切る機械を導入した加工場=26日、浜松市西区舘山寺町
 遠州灘のハモは漁の開始が全国で最も早い「走りハモ」と呼ばれ、大きな身と脂ののった味わいが特徴。舞阪漁港(同市西区)では4~9月に10~20トンが水揚げされ、主に関西地方の市場などへ出荷されている。京料理の食材として有名なハモも、浜名湖周辺ではなじみが薄い。関係者は減少するウナギに代わる新たな地場食材として、ハモの活用を模索していた。
 はもカバ丼は湯引きしたハモをかば焼きのタレにからめて炒め、地元の旬野菜とともにご飯にのせて提供する。5年ほど前に地元料理店が売り出して好評を集めたが、定着には至らなかった。ハモの魚価は春に安く、需要が多い夏に向けて高騰する傾向があり、各料理店が夏場を通じて安定的に食材を仕入れることが困難だったためだ。
 今春、同市西区の水産卸販売業「海老仙」が同町のふぐ組合から加工場を借り受け、自社の加工場とともにハモの骨切り機を導入した。できるだけ春や夏前の値が安い時期に仕入れて冷凍保存することで、ハモを安定的に供給することが可能になるという。職人の数が減る中、手間を抑えればより手軽に使える食材として普及する可能性もある。
 同社は今後、天ぷらなど多様な料理の食材としても提案していく。加茂仙一郎社長は「浜松でハモが水揚げされているのを知らない人も多い。これだけおいしい食材があるのだから、いずれは和洋中の料理にも使ってもらいたい」と語る。
 〈2018.4.28 静岡新聞朝刊「遠州灘のハモ かば焼き丼に 加工場整備、ご当地食目指す」〉

鱧(ハモ)を巡るエトセトラ ハードルを上げていた「骨切り」

 「ハモ料理」と聞くと、夏の京都をイメージする方が多いと思うが、県西部舘山寺温泉のホテルや飲食店では舞阪漁港で水揚げされたハモを使った料理を地元の新しい名物にしようという取り組みを行っている。4~6月ごろを中心に、舞阪漁港には延縄[はえなわ]や底曳網[そこびきあみ]漁業によって遠州灘で漁獲されたハモが年間約10トン水揚げされる。サイズは60センチくらいのものが多いが中には1メートルを超える大物も漁獲されることがある。

ハモはこんな顔
ハモはこんな顔
 ハモは小骨が多くあるため、調理する際には皮を残して小骨を細かく切る「骨切り」という料理人でも熟練を要する技が必要である。このことがハモを調理する上でのハードルをあげていると思われる。しかし、最近地元の加工業者がハモの「骨切り機」を導入して安定供給する体制が整えられ、料理店でも食材として利用しやすくなった。
 浜名湖周辺はウナギ養殖業が盛んで、鰻丼、鰻重を提供する専門店が多くあり、近年では、鰻丼から派生して、浜名湖の冬の味覚である牡蠣[かき]と蒲焼きのタレを使った「牡蠣カバ丼」が人気を博している。これに続けと、夏に向けた料理として天然のハモを使った「鱧[はも]カバ丼」が登場することとなった。ハモはさっと湯引きしたものに梅肉をつけて食するのが定番であるが、蒲焼きにしても大変おいしい。鰻よりあっさりとしているがご飯との相性が良く、暑い時期の食事にはぴったりである。
 皆さんもぜひ、浜名湖エリアに旬の一品を味わいに来ていただきたい。(静岡県水産技術研究所)
 〈2018.6.3 静岡新聞朝刊「旬の魚こぼれ話・ハモ」〉