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 おはようございます。5月1日(土)です。立春から数えて88日目に当たる「八十八夜」です。香りさわやかな新茶を飲んでホッとしたいですね。
 さて、記事まとめ「知っとこ」のコーナーはきょうも4回更新を予定しています。この時間は昨夜から今朝にかけて公開した記事の中から、私のおすすめ記事をご紹介します。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・松本直之〉

静岡県民宿泊割引、新規予約を停止 新型コロナ、変異株拡大懸念

 静岡県の川勝平太知事は30日、臨時記者会見を県庁で開き、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、5日までの大型連休に合わせて開始した県民対象の県内観光促進事業を中断すると正式発表した。1日から、宿泊割引の新規予約受け付けを停止する。4月30日までに予約済みの宿泊割引は利用可能とする。

静岡県民対象の県内観光促進事業の停止状況
静岡県民対象の県内観光促進事業の停止状況
 県によると、大型連休後の5月6~31日に予定していた宿泊費・日帰り旅行代の割引予約も1日以降、停止する。同期間に予定していた地域クーポンは発行しない。既に県内の旅行代理店で受け付けた6日以降の宿泊予約は割引対象とし、利用者の無料キャンセルに応じた事業者には、1人につき割引相当額(最大5千円)を上限に補償する。
 事業の再開については、県内の感染状況を大型連休明けから1週間ほど見極めた上で、14日ごろに可否を判断する方針。
 川勝知事は会見で、事業中止の基準としていたステージ3(感染急増)相当に達していないものの、「新規感染者数が増加傾向にあり、医療提供体制を確保しなければならない事情を踏まえた。変異株の急速な広がりも懸念される」と早期中止の背景を語った。
 また、川勝知事は今後の感染拡大に備え、一定の準備期間を経て感染者を受け入れ可能な「準備病床」として県内17病院に80床を確保したと発表した。即座に対応できる「即応病床」への転換を各病院に依頼中で、転換すれば即応病床は522床になる見通し。感染急増時の緊急病床を加えて計788床の病床確保を目指すとしている。

 ■中止「懸念摘む英断」 毛利博・静岡県病院協会長
 静岡県が30日、県民の県内観光促進事業を中断したことを受け、県病院協会の毛利博会長は次のようにコメントした。
       ◇
 地域経済を回したいという思いがある中、県はよく決断したと思う。
 県内は感染流行第4波の入り口に立ったという観点から、26日の記者会見で県民に「連休中はステイホームを」と呼び掛けた。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が県内観光促進事業の実施を「見合わせるべき」としたメッセージと同じ見解に基づく発言だった。
 報道によると、緊急事態宣言が発令された東京都内で人出が抑えられていない。新幹線や飛行機の利用率が1年前の第1波の時に比べて明らかに高い。無症状者が一定程度いるコロナは、人流が増えれば感染が広がってしまう。
 これでは過去と同様に、県内は東部地域から徐々に感染状況が悪化していく恐れがある。感染爆発の懸念を一つでも摘むという意味で、県は英断を下したと評価したい。

新型コロナワクチン 全高齢者へ2回分、6月末までに配分見通し 静岡県内

 新型コロナウイルスの高齢者接種ワクチンについて、静岡県内には5月24日の週から6月末にかけ161万5770回分が搬入され、おおむね人口に応じて35市町に配分されることが30日、明らかになった。計画通り進めば、6月末までに、県内の65歳以上の全高齢者約110万人が2回の接種を受けられるワクチンが届く。政府は7月末までに高齢者接種を終わらせるよう求めており、県内の一部市町は計画の変更を迫られそうだ。

静岡県内高齢者のワクチン接種計画
静岡県内高齢者のワクチン接種計画
 ワクチンは5月24日以降、6月7日以降、同21日以降の3回に分けて届く。合計量は人口の多い静岡市が33万3450回分、浜松市が29万7180回分など。規模が小さいのは河津町と川根本町の各3510回分、南伊豆町、松崎町、西伊豆町の各4680回分。
 県によると、5月24日の週までに県内には約57万8千回分のワクチンが配分されることが決定済みで、市町単位で接種が始まっている。30日に判明した配分と合わせると、高齢者人口の2回分を網羅する約220万回分近くになる。
 県内では8月の接種を計画する市町があり、政府が全高齢者の2回目の接種完了を7月末としたことに県幹部は「大幅な見直しを迫られるケースも出てくるのでは。県としてサポートしたい」と話した。

八十八夜 薫る新茶 静岡県内産地、摘採ピーク

 1日は立春から数えて88日目に当たる「八十八夜」。この頃に摘んだお茶は、香り高く味わい深いとされている。ことしは平年より速いペースで生育が進み、県内の中山間地などで刈り取り作業のピークを迎えている。

 静岡市葵区の安倍川・藁科川流域で生産される本山(ほんやま)茶を栽培する茶工場ネクトの作業員は30日、同区相俣に広がる標高360メートルの茶園で、刈り取り作業に汗を流した。
 「豊かな土壌と寒暖差のある気候に支えられ、深いうま味があるお茶に育った」と石原弘敏社長(60)。大型連休を自宅で過ごす人も多いだけに「家でおいしい新茶を楽しんで」と話す。

若者奮闘「ヌマヅイーツ」 ローカル配達サービス、地元の味と客つなぐ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、飲食店のメニューを宅配するサービスが全国的に広がる中、沼津市で地元関係者が始めたローカルの配達サービス「ヌマヅイーツ」が奮闘している。5月2日でスタートから1年。売り上げがほぼゼロの時期もあったが、「地元の人間として飲食店の思いやこだわりを届けたい」と加盟店を地道に増やし、事業は軌道に乗り始めている。

「ヌマヅイーツ」を展開する松村拓郎さん(左)。「飲食店の思いを届けたい」と自らも配達に回る=4月中旬、沼津市内
「ヌマヅイーツ」を展開する松村拓郎さん(左)。「飲食店の思いを届けたい」と自らも配達に回る=4月中旬、沼津市内
 展開するのは沼津市で飲食店の人材確保支援に取り組む松村拓郎さん(24)。父が人気ラーメン店「松福」を市内などで営み、松村さんも従業員として働いた経験を持つ。昨春の休業要請などで売り上げ激減に苦しむ店舗を目の当たりにし「歯を食いしばって頑張っている店を応援したい」とヌマヅイーツを思い立った。
 無料通信アプリ「LINE」を使った注文システムの準備や配達委託員の確保を1人で進め、2020年5月に加盟店5店舗からスタート。同年中は認知度不足に苦しみ、売り上げが伸び悩んだ。自らも配達に回りながら、加盟店確保への営業活動に奔走。ヌマヅイーツのバッグを背負い、ミニバイクで市内を走り回ってPRしたこともあった。
 松村さんの熱意が届き、今年に入って加盟店が増え始め、今では32店舗まで拡大。注文は週末に30件を超えるようになった。4月からは従業員1人を雇用し、法人化も視野に入れる。松村さんは「まだ地元に定着したとは言えない。次の目標は加盟店50店舗」と意欲を示す。
 ヌマヅイーツだけでは売り上げ減を補えないが、加盟店からは「店と客の絆をつなぎ留めてくれている」と感謝の声が上がる。沼津港のハワイアンレストラン「トニーズホノルル」の青嶋志穂美店長(43)は「苦しい時に真っ先に手を差し伸べてくれた。地元の人なので安心して任せられる」と話している。