日本剃刀で顔そり 初の女性講師2人、理容業界PRへ熱意

(2018/6/28 11:00)
「日本剃刀」で女性の顔そりを行う村岡真里枝さん=5日、袋井市内

 静岡県内の女性理容師2人が2018年度、県理容生活衛生同業組合(島津義直理事長)で技術指導する「講師」に認定された。1957年の組合創立以来、女性講師は初という。特に期待されるのは女性の間で人気を盛り返しつつある「顔そり」技術。2人は全国的に希少な伝統の「日本剃刀(かみそり)」を使い、「後継者不足の業界を盛り上げたい」と声をそろえる。
 講師になったのは、袋井市の村岡真里枝さん(46)と浜松市東区の栩木(とちき)奈美江さん(45)。村岡さんは亡き祖父が開業した店の3代目オーナー。中学生の時、後継者になるはずだった兄を亡くし、高校生の時に「跡取りになると言わなければ(持ち上がっている)姉の結婚は認めない」と父に諭された。曲折の末、仕事に真正面から向き合い始めたのは10年前。理容店で顔そりを経験したことがない女性たちの存在に驚き、魅力を伝えたいと考えた。
 栩木さんは父の店を継ぐ二代目。子育てが一段落し始めた30代後半、「仕事スイッチが入った」。結婚式を控えて顔そりに来店した女性が、心地よさから気を許して寝入ったり、台から起き上がった瞬間に「おー」と声を上げて喜んだりする姿を見て、「理容師は天職」と感じている。
 2人が日本剃刀に出合ったのは昨年初めの都内セミナー。「肌のきめを残し、産毛をそる。女性の顔そりに最適」。すぐに村岡さんの父のつてで入手し、今年、全国理容生活衛生同業組合連合会の日本剃刀技能伝承制度で允許(いんきょ)状を受けた。
 女性理容師は跡取り娘や結婚を機に免許取得した妻が多く、今まで前面に出ていなかった。同組合には県内1832店が加盟し、2人は男性講師11人とともに各支部講習会などに出向く。「SNSの普及で女性向け顔そりに力を注いでいることを情報発信できるようになった」と村岡さん。栩木さんも「私たちが誇りを持って顔そりをすれば、『床屋さん』を目指す人は増えるはず」と期待する。

 ■後継者不足と高齢化課題
 「顔そり」は理容師法に基づき理容師に認められた業務で、「美容師には解禁されていない」(県衛生課)。ただ、美容師も化粧に付随した軽い程度の顔そりは差し支えない。
 県理容組合や全理連によると、理容店で顔そりを受ける女性客は昭和の頃まで一般的だった。カミソリや家電品の普及、男性客が多い理容店への行きにくさ、業界のPR不足が相まって、現在、家庭で自らそる女性が多いが、約10年前から肌への美容効果もあるとして人気を盛り返しつつある。
 島津理事長は、日本剃刀の特色について刃角度が鈍いため肌への当たりが柔らかいことを挙げる。60代後半以降の理容師にはなじみ深いが、研ぐ必要があることなどから使い捨ての「替え刃」使用が一般化している。
 従業理容師は減り続け、2014年度は、その10年前より約2万1000人減の全国約23万人、新規免許登録者は約1700人。一方、従業美容師は約9万2000人増の全国約50万人、新規免許登録者は約2万人。00年頃の「カリスマ」ブームやテレビドラマの影響で美容師志望が増え、理容師は後継者不足と高齢化に悩んでいる。

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