施設や里親離れた女性、“先輩”が自立支援 三島「ホーム」開所

 児童養護施設や里親家庭を離れた女性が、重い金銭的負担を背負わずに仲間と独立の準備ができる自立援助ホーム「ほっぺ」が今夏、三島市谷田に開所した。設置したのは、同様の境遇で育った人たちでつくる当事者支援団体「ひ・まわり」。当事者によるホーム設置は県内初。

入居している少女や、「ひ・まわり」の支援者らが親睦を深めた交流会=8月下旬、三島市の「ほっぺ」
入居している少女や、「ひ・まわり」の支援者らが親睦を深めた交流会=8月下旬、三島市の「ほっぺ」

 住宅街の一角にある2階建ての空き家をリフォームした。定員は6人。施設や里親家庭を離れ、就労中や求職中の15~22歳の女性が主な対象だ。
 開所が夢だったという石川玲子施設長(39)自身も高校卒業と同時に施設を退所し、就職したものの人間関係に悩んで3カ月で退職した経験がある。
 初めての1人暮らし。孤独に耐えられず夜間も外出し、生活のリズムが崩れた。仕事と家事の両立も難しかった。「誰に何を相談して良いかすら分からなかった」と不安な心境を振り返る。
 県児童養護施設協議会による2012年の報告書によると、施設退所時に就いた仕事を退職した中卒、高卒者のほぼ全員が3年未満に退職している。県こども家庭課によると、実親などのサポートがなく、再就職ができずに困窮してしまうケースもあるという。
 ほっぺでの生活費の一部は公費でまかなわれ、入居者の負担は原則として食費や日用品代の月額3万5千円のみ。
 ひ・まわりの女性メンバーらが宿直当番を担当して声掛けをしながら入居者に規則正しい生活を促す。ごみは分別する、下着は外から見えない位置に干す、冷蔵庫にある食材で料理する―など、生活の知恵も伝える。
 本来のホームの対象となる独り立ち準備の女性が入居するのは来春以降になる見込み。現在は、児童福祉法に基づく「一時保護」の少女が入居している。8月に同所で開かれた交流会にはひ・まわりの支援者らが集まり、開所を祝った。
 石川施設長は「施設や里親の支えを離れる上、環境の変化で不安定になりがちな時期。安心して“社会人の練習”ができる場としたい」と話している。

 <メモ>厚生労働省と県は本年度、児童福祉法に基づく支援が受けられなくなる20~22歳向けの施策を拡充する。生活費などの補助金の対象を、里親家庭や児童養護施設で暮らす22歳までの進学者だけでなく、就労者や進路を検討中の人にも広げる。一人一人の自立に向けた継続支援計画をつくるコーディネーターや、就労や生活全般についての相談に乗る担当職員も今後配置する予定。

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