居酒屋店主が「カヌレ」専門店 地元沼津の食材で仏の伝統菓子

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う苦境を乗り越えようと、沼津市の居酒屋店主花井美里さん(35)が、静岡県内では珍しいフランスの伝統菓子「カヌレ」専門店のオープンに向けた準備を進めている。花井さんは「地元食材を使ったカヌレで、食べた人の心を癒やし、地域の盛り上げにもつなげたい」と意欲を示す。

カヌレ専門店「ななカヌレ」をオープンする花井美里さん=1日、清水町柿田
カヌレ専門店「ななカヌレ」をオープンする花井美里さん=1日、清水町柿田


 花井さんが経営する沼津市大手町の居酒屋の売り上げは、コロナ禍で昨年2月以降で前年に比べて3分の1ほどに減少。テークアウトにも取り組んだが、売り上げ増につながらなかった。
 生き残りをかけた手段として着目したのが、元々好きだったカヌレ。客数減で生まれた時間を好機と捉え「店が暇でストレスがたまっていた。時間が生まれた今だからこそ、新しい試みに挑戦できると考えた」と振り返る。
 食材は地元産にこだわった。清水町柿田の豆乳や、沼津市の白隠正宗の甘酒、寿太郎ミカン、裾野産の茶葉などを取り入れ、全20種を用意した。販売するのは毎日7種類ほど。カヌレが富士山の形に似ていることから、新たな静岡の名物を目指し、さらに富士山に似せた形状の「富士山カヌレ」も考案した。
 レシピを手掛けたのは同市大手町のフランス料理屋「ビストロ ククゥー」のシェフ鈴木匠さん(28)。花井さんから昨年7月に依頼を受け、試行錯誤を重ねた。一般的なカヌレに使用する蜜蠟(みつろう)は使わず、しっとりとした独自の食感を追求した。鈴木さんは「ひと味違う仕上がりになっている。カヌレが苦手な人もぜひ一度食べてほしい」とアピールする。
 店舗名は「ななカヌレ」。5日に清水町柿田にオープンする。カヌレは予約注文も受け付ける。問い合わせは同店<電055(918)8670>へ。

 <メモ>カヌレ フランス・ボルドー地方の伝統菓子。小麦粉、卵、砂糖、バターなどを溝が入った専用の型で焼き上げる。カヌレは「溝」を意味する。ボルドーではワインの澱(おり)の除去で卵白を使うため、余った卵黄の利用法として考案されたという説がある。

いい茶0
メールマガジンを受信する >