需要回復願い、深海魚漁始まる 「聖地」の沼津・戸田

 “深海魚の聖地”とされる沼津市戸田で10日、今季のトロール(底引き網)漁が始まった。昨季は新型コロナウイルス感染拡大を受けた飲食店などの休業により魚の消費が低迷し、出漁を抑えた月もあった。漁師らは豊漁と需要回復への願いを込めてスタートを切った。漁期は来年5月中旬まで。

タカアシガニを水揚げした漁師=沼津市戸田
タカアシガニを水揚げした漁師=沼津市戸田

 解禁初日の同日午前3時ごろ、戸田漁港から7隻が出発。午後3時半すぎに続々と帰港した。漁船「日の出丸」は、戸田特産のタカアシガニや本エビ、ミズダコなどを水揚げした。同船の大村真史さん(43)によると、この日は水温が高かったため「取れ高は例年と同じか、ちょっと悪いくらい」という。ただ「無事に帰ってこられて一安心」と笑顔を見せた。
 トロール漁は、三角形の袋網を狙った水深に沈め、船を引いて海底の魚介類を捕獲する漁法。水深2500メートルの駿河湾が眼前に広がる戸田では昔から盛んに行われている。水揚げされた深海魚は地元の飲食店などに卸すほか、沼津魚市場に出荷する。
 昨季は新型コロナの影響で、4月から5月にかけて魚の需要が減った。価格がつかなくなり、収入減に苦しむ漁師もいたという。そのため、地元で活動する地域おこし協力隊の青山沙織さんが、新鮮な深海魚を全国に直送する通信販売「深海魚便」に取り組んだ。通信販売は今季も行う予定だ。
 戸田漁協の塩崎敏巳組合長(72)は「漁師は頑張っているので、買い手が復活してくれるとうれしい。深海魚のおいしさを多くの人に知ってほしい」と話した。

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