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湧水止める工法に限界 静岡県有識者会議指摘【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題について議論した27日の静岡県有識者会議「県中央新幹線環境保全連絡会議」で、トンネル本線と交差する大井川支流の西俣川直下を掘削する際、坑内で発生する大量の湧水を止められない可能性があると委員が問題提起した。湧水を止められなければ、同トンネルの工期や工区割りに影響を与え、大井川中下流域の水量減少につながる恐れがある。

大井川上流部で水量に大きな影響を与える可能性のある箇所
大井川上流部で水量に大きな影響を与える可能性のある箇所

 問題視したのは塩坂邦雄委員(サイエンス技師長)。JR東海は10月の国土交通省専門家会議に提出した資料で、西俣川直下をボーリングした地質試料の写真を示した。塩坂氏はこの写真から幅10メートルを超える大規模な破砕帯が読み取れるとし、大量湧水が発生した場合、薬液注入と呼ばれる止水工法では掘り進められないと指摘。「何の評価もしないのはおかしい」とJRや国交省に対応を求めた。
 トンネル工学が専門の安井成豊委員(施工技術総合研究所部長)は「指摘はもっともだ」と述べ、対策を検討する必要があるとした。会議後の取材で、国交省専門家会議の委員を兼務する森下祐一委員(静岡大客員教授)も塩坂氏の指摘に同調。「トンネルを掘れば水が出るのは変えられない」と語り、薬液注入には限界があるとの認識を示した。
 JRは西俣川直下での湧水の対応方法を示しておらず、どのような止水方法があるのか具体的に説明していない。工期が延びたり、工区割りを変えたりすれば、県外に流出するトンネル湧水量が増大する可能性もある。

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