赤白格子=「津波、逃げて」 気象庁、海水浴場のフラッグサイン統一方針 下田、南伊豆などで実績

(2020/6/10 21:00)
気象庁が今夏からの定着を図る赤白格子模様の「津波フラッグ」=5日午後、同庁

 静岡県など全国の海水浴場で津波警報や注意報が発表された際に聴覚障害者らを迅速に避難誘導するための「視覚による情報伝達」について、気象庁が旗の使用を統一的な手段とする方針を決めた。「津波フラッグ」と名付け、デザインは下田市や伊豆市、南伊豆町などで実績のある赤白の格子模様を採用。新型コロナウイルス感染症に伴い今夏の海水浴場の開設は各地で有無が分かれる見通しのため、同庁は「可能な自治体から導入を促したい」としている。
 同庁によると、昨年8~9月に海岸を持つ全国約700自治体に実施した調査(回答566自治体)で、視覚による情報伝達を「導入済み」としたのは82自治体(県内11)にとどまった。具体的な手段もオレンジ旗27自治体(同1)、赤旗21自治体(同3)、赤白の格子模様の旗6自治体(同3)などさまざまで、旗以外では赤色回転灯を用いる自治体もあった。
 対応が異なる背景には、視覚による伝達手段が法令で規定されていないことがある。同庁の担当者は「自治体にとって実施の根拠がなく、個別の判断に委ねられている状態だった」と説明する。
 一方、東日本大震災以降の津波避難への意識の高まりもあり、調査では回答自治体の9割が国主導での手段の統一化に賛成した。これを受け、同庁は有識者やライフセーバー、聴覚障害者団体の代表者による検討会を設置し、提言を踏まえて準備を進めてきた。6月中に気象業務法施行規則の省令改正など関連手続きを予定する。
 検討会の委員を務めた下田市の梶間英次郎防災監は「海水浴場ごとに情報伝達手段が変われば、利用者は戸惑う。危機に対する共通認識を持ってもらうためにも、統一化は理想的」と評価。ただ、未導入の自治体は経費負担が伴うほか、長年オレンジ旗を普及させてきた神奈川県など「地域によっては大きく転換しなければならず、浸透に時間がかかる」と課題も指摘する。

 ■視認性、メッセージ性評価 聴覚障害者や有識者検討会
 海水浴場での旗を使った情報伝達の統一化で気象庁が定めた赤白の格子模様のデザインは、見やすさや分かりやすさから採用された。旗の縦横の長さ、比率に決まりは設けないが、短辺100センチ以上を推奨している。
 採用に先立ち、検討会が10種類のデザインを比較検証した。神奈川県内の海水浴場で有効性を確認する実験も行い、聴覚障害者らが沖へ出て浜辺からの距離を変えながら、デザインや大きさの違う旗の見え方を比べた。
 赤白の格子模様は赤色が見えにくい人も含めて視認性が高く、緊急事態のメッセージ性も強いとされた。水域からの緊急避難を呼び掛ける船舶間の信号旗(U旗)として国際的にも認知されているため、外国人に理解しやすい利点も挙げた。
 気象庁担当者は「導入は義務ではないが、今後視覚による情報伝達を行う場合は赤白の津波フラッグを使うよう自治体に要請していく」と説明。ライフセーバーが振ったり、高い建物から垂らしたりといった実際の運用方法も「各海水浴場の特性に応じて検討してもらう」という。

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