津波対策、訓練重ね意識向上 内閣府モデル地区の沼津・戸田

(2020/4/26 13:00)
ビーコンを身に付け地域防災訓練に臨んだ住民ら=2019年12月、沼津市戸田

 沼津市の戸田地区が、2019年度のモデル地区として同市では初めて内閣府から支援を受け、地区防災計画の策定作業を進めている。県第4次地震被害想定では津波到達時間4分、津波高5メートルと予想され、災害時に大きな被害が懸念される地域。住民が地域の災害リスクを把握して対策を考えることで、防災意識のさらなる向上につなげる。
 戸田地区は1854年の安政東海地震で津波によって多くの犠牲者が出た。現在でも沿岸部に高い建物が少なく、指定避難所に向かう道路も限られるなど課題が山積する。戸田地区連合自治会の山口展徳さん(64)は「高齢化率が高いこの地域の住民の命を守るためには、事前に各地区の実情に応じた防災対策を想定する必要がある」とモデル地区指定は現在の対策を見直す契機と捉える。
 地区計画は自治会や学区などコミュニティー単位で、自宅周辺の災害リスクや安全な場所を示し、住民が被災時に逃げ遅れないようにするのが狙い。災害時の危険箇所や避難経路などの地域特性を踏まえ、住民自身が何をしていくのかなどを盛り込んでいく。
 第1回ワークショップは2019年10月に始まった。東京大生産技術研究所の加藤孝明教授が講話し、地区計画の概要や事例を紹介した。住民が街の災害リスクに目を向け、地区計画策定の重要性の認識を共有した。同年11月下旬には、市立戸田小中の児童生徒が避難所運営ゲーム(HUG)を実施。12月の地域防災訓練では、住民がビーコン(電波受発信器)を身に付けて避難タワーへ逃げる訓練を行い、津波避難者の避難経路や所要時間を調べた。
 一連の体験を通じ今年2月、戸田地区のうち奥南と小中島の2自治会が本格的に素案の作成に着手した。ワークショップを開始してから4カ月。参加者には変化が見られ、奥南自治会では住民が「防災道具や備蓄が備わった安全安心な避難場所がない」「要支援者をケアできる人が少なく迅速な避難が難しい」などと具体的な課題を指摘するようになった。地区計画には「家族の命を守る」「避難場所をより安全に」を目標に掲げた。中長期的な実施事項に、備蓄倉庫の設置場所と内容の検討▽まち歩きを行い避難ルート上の危険箇所を確認-などを盛り込んだ。
 山口さんは「話し合いの機会を重ねるごと自助や共助の意識が高まっている。この機運を継続させたい」と意気込む。市危機管理課の担当者は「地区独自の自発的な防災対策の取り組みが市内全域にも広がってほしい」と話した。

 <メモ>地区防災計画 国の防災基本計画や自治体の地域防災計画とは別に、市町村内の地区の住民や事業者が自発的に作成できる防災活動に関する計画。東日本大震災の教訓から自助や共助に対する重要性が強く認識されたことから、2013年に災害対策基本法を改正し、翌年に地区防災計画制度が創設された。地域防災計画に反映されている地区防災計画は2019年12月現在、全国57市町村827地区、県内では5市町19地区。内閣府は制度の普及のため、モデル地区を選定し作成支援に取り組んでいる。

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