水害…行動いつ、何を 静岡県「マイ・タイムライン」普及を促進

(2020/4/12 19:08)
マイ・タイムラインのイメージ

 大雨で発生する河川氾濫による洪水などから身を守る効果的な避難方法について、時系列で個人や家庭ごとにまとめた事前行動計画表「マイ・タイムライン」。静岡県はモデル地区での成果などを踏まえて本年度、各地への普及に向けた取り組みを加速する。市町職員らを対象にした住民向けワークショップの手引書も新たに用意し、マイ・タイムラインの作成を進めて水害時の「逃げ遅れゼロ」を図りたい考えだ。
 県は昨年度、モデル地区になった藤枝市の瀬戸川流域をはじめ、袋井市の太田川近郊で近隣住民らを交えた活動を開催。地理的な環境が比較的似ている近隣住民が集い、意見交換しながら自分に合った避難のタイミングや方法を検討するマイ・タイムラインワークショップの有効性を確認した。
 ワークショップの手引書では、住民が(1)防災知識を有する講師役から地域の水害リスクを学ぶ(2)洪水時に得られる情報の入手手段や避難判断の方法を知る(3)実際にマイ・タイムラインを作成する―の3段階で理解を深める構成を掲げている。県は今後、活動主体となる市町の防災担当職員や地域の防災リーダーらに向けて手引書を使った講習も予定する。
 県危機対策課の酒井浩行課長は、ワークショップ形式の普及活動について「手間は掛かるが、地域ごとに異なるリスクを知って各自の避難行動の目安を考える有効な手段」と説明。市町職員らを対象にマイ・タイムライン研修会を開いた県河川企画課の望月嘉徳課長は「地域でのコミュニケーションをきっかけに水害を『わがこと』として捉えられる」と利点を強調する。
 普及に向けた取り組みを既に始めた自治体もある。静岡市は昨年12月、オリジナルのマイ・タイムライン資料を公表。市内3カ所の河川流域地区で開いた住民説明会では、想定される最大雨量(千年に1度レベル)に合わせて改定した洪水・土砂災害ハザードマップやマイ・タイムラインの活用法を解説した。
 同市危機管理課の杉村晃一係長は、比較的簡単に作成できるシンプルな行動計画表を目指したとした上で「避難時の注意点や防災情報の意味など、マイ・タイムラインの作成によってハザードマップの裏面に示す内容も知ってほしい」と期待を込めた。

 ■自治体普及 全国で2.9%
 2015年の関東・東北豪雨で甚大な洪水被害を受けた茨城県常総市など、鬼怒川流域で活動が始まったマイ・タイムライン。国土交通省によると、2019年3月末時点で洪水ハザードマップを作る必要がある全国1323自治体(鬼怒川等流域を除く)のうち、マイ・タイムラインに関連する取り組みを行うのは38自治体(2・9%)にとどまるなど、広がりは緒に就いたばかりだ。
 ただ、マイ・タイムラインの普及を図るシンクタンク「河川情報センター」(東京都)の鮎川一史参事は、全国各地で水災害が近年頻発していることから「自治会など地域からの問い合わせは増えている」と現状を話す。同センターのホームページ(HP)でもマイ・タイムラインの入門ツール「逃げキッド」を紹介するほか、原案を手がけた国交省下館河川事務所(茨城県)のHPでは参考動画も公表している。

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