住民「自分事に」「対策を」富士山溶岩流、火砕流想定到達域拡大

(2020/3/31 09:30)
溶岩流の到達時間が早まるとのシミュレーションが示された国道139号線沿い=30日午後、富士宮市内

 富士山麓の生活圏にリスクが及ぶ可能性が浮き彫りとなった30日の富士山ハザードマップ中間報告。溶岩流や火砕流の想定到達域が拡大する中、富士山麓の自治体や住民は想定を冷静に受け止める一方、避難計画見直しの必要性に言及する声も上がった。
 溶岩流の想定到達時間が早まった新興住宅街富士宮市万野2区。長谷川裕彦区長(61)は「いつ噴火してもおかしくない。地域みんなが自分事に考える契機に」と期待する。火砕流到達範囲が迫った同市山宮2区の山本修久区長(72)は「わずかな時間でも避難猶予が取れるような対策がほしい」と訴える。
 ただ、富士山火山防災対策協議会がシミュレーション結果を避難マップ作成の基礎資料と位置付けていることから、富士宮市は慎重な姿勢を示す。直ちに避難計画や都市計画とリンクするのは難しいとの考えで、市幹部は「全容が確認できた段階で国や県と整合を図り対応を考えていく」と説明する。
 溶岩流の3時間以内の到達範囲が現行よりも住宅地や公共施設などの生活圏に広がった裾野市の担当者は「噴火リスクに対する向き合い方を変えないといけない」と避難計画見直しの必要性を語る。溶岩流の24時間以内の到達範囲が拡大する見込みとなった御殿場市の担当者も、計画見直しに向けて情報収集を進める。ハザードマップが完成した場合、21年度の火山防災訓練に反映させる考えも示した。

 ■住民に直接リスク
 富士山ハザードマップによる本県側の影響範囲は、主に登山者や観光客のリスクとなる「火砕流」が山麓のアクセス道路や登山道に届き、比較的ゆっくり流れ下る「溶岩流」はより平野部に近い生活圏内に及ぶ可能性が指摘された。
 富士山火山防災対策協議会によると、富士山では過去5600年間で約180回の噴火が発生。うち溶岩流が発生した噴火は全体の約6割で、火砕流は1割以下だという。
 溶岩流は走って避難することも可能とされる。ただ、噴出時は数百度から1200度と高温で、建物や森林の焼失被害をもたらす。
 一方、雲仙・普賢岳(長崎県)で多数の死者を出した火砕流。今回の中間報告までにシミュレーション作業が完了し、本県側は富士宮市の富士山スカイライン周辺で到達範囲が広がったが、市街地までは達しない想定となった。
 県は2016年に既存登山道を中心に、噴火時避難ルートマップを作成した。今後、新たな知見を踏まえた対策を精査することになる。

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