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テーマ : 清水エスパルス

スタジアムに通い続ける妻「私を通して感じて」 3年前他界、久米元J1清水GMの遺志継ぐ

 最終盤を迎えた今季のサッカーJ1リーグ。4チーム降格という過去にない厳しい残留争いに臨む清水エスパルスを、特別な思いで見つめる人がいる。3年前、副社長兼ゼネラルマネジャー(GM)として在任中に他界した久米一正氏=享年(63)=の妻、愛さん(51)。夫の遺志を継ぎ、「エスパルスがタイトルを取るまで」とスタジアムに通い続ける。

3年前に他界した 久米一正氏
3年前に他界した 久米一正氏

 浜松市出身の久米氏は浜名高、中央大を経て日立製作所サッカー部で30歳までプレー。1996年から柏レイソルの強化本部長、2003年からエスパルスの強化育成本部長、08年から名古屋グランパスのGM、社長を歴任した。18年1月に再びエスパルスに戻ったが、同年11月23日、大腸がんで死去した。
 愛さんは、夫がエスパルスに注ぐ思いに何度も触れてきた。久米氏は1992年にJリーグ事務局長を務め、93年の開幕時の参加10チーム「オリジナル10」が誕生する過程を見ていた。唯一、企業の母体を持たず、サッカーどころから産声を上げた市民クラブに、「地域の人たちの情熱が忘れられない。思いに応えたい」と口にしていたという。
 17年にエスパルスからフロント入りを打診され、「夫は、やり残したことがやれる、とうれしそうだった」。やり残したこととは、柏と名古屋ではもたらすことができたタイトル獲得。翌年、病にむしばまれ、主治医に「優勝を見届けるまでは死ねないんですよ」と語っていたことをはっきりと記憶している。
 愛さんはこの3年、「夫がやっていたであろうことを全部やろう」と、ホーム試合には欠かさず足を運ぶ。座る席は、夫が試合を見守っていたメインスタンド。「スタジアムが沸く瞬間を見るのを喜んでいた。その光景を私を通して感じてくれればいい」。思いを重ね合わせ、チームの奮起を願う。

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