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島田市のLINE活用 多面的な効果を生かせ【黒潮】

 島田市がコロナ禍の経済対策として開始した無料通信アプリ「LINE(ライン)」の公式アカウントを使ったクーポン配信事業が好評で、11月末まで第3弾が行われている。同アカウントの友達登録数は市外在住者を含めて8万4975人(21日現在)。県内の大半の自治体が公式アカウントを開設する中で人口規模(10月末現在で9万7106人)を考えると突出して多く、行政の情報発信ツールとしての効果も高まっている。
 LINEクーポンは紙の商品券を使わず、大型店に利用が偏ることを防ぎ、過去2回の事業では個店の売り上げアップやPR、地元経済の循環につながった。多くの人に使ってもらうことを優先し当初は必須としなかった居住地(町名)情報や年齢、配信希望のジャンルについても現在は設定を求め、「友達」の約半数の4万2千人超が設定済みだ。
 これにより、居住地域やニーズに合った情報の提供が可能になった。災害情報など緊急性の高い案件は危機管理課が権限を持つなど工夫しながら運用しているが、ある地域で発生した水道の濁りに関する情報をエリア限定で配信したところ、想定した市民の問い合わせや苦情がなかった-などの事例もあった。配信を担当する広報課は「イベントや講座の告知効果も絶大。クーポンという手段も浸透し、全庁的に民間と連携する意識が高まった」と話す。
 クーポンをきっかけに登録者が急増した公式アカウントだが、現在の機能はクーポン・各種情報の配信に加えて道路破損の通報などにとどまる。市DX推進課の担当者は「今後は施設の利用申し込みへのリンクなども増やしたい」と話す。電子決済や個人認証が必要な機能は情報管理の課題も多く未着手だが、マイナンバーの活用も見据えて「いずれは行政上の手続きがスマートフォン一つで完結する仕組みが理想」という。幅広い世代がデジタル技術の恩恵を受ける機会が増えたことを存分に生かし、市民と行政の距離を縮め、双方向で相乗効果を生んでいく施策に期待したい。

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