狩野川花火 大輪「復活」 昨年中止、今夏見送りも代替イベント
新型コロナ禍で開催を見送っていた沼津市最大の観光イベント「狩野川花火大会」の代替イベントが20日開かれ、約4千発の花火が市内複数箇所から一斉に打ち上げられた。70年以上の歴史上初めて昨年は中止、今夏も見送られて、2年ぶりの“復活”。夜空を見上げた市民から大歓声が沸き上がった。
花火は午後6時半から約10分間で、打ち上げ数は従来の花火大会の半分ほど。それでも、毎年の花火大会会場の狩野川沿い(御成橋付近)では多くの市民が訪れ、次々と打ち上がる光景を見つめ拍手を送った。密集防止のため場所は非公開としていたが、市内5カ所ほどから上がった。
「来年こそは」-。多くの市民は久しぶりに地元の夜空を彩った花火を満喫するとともに、新型コロナウイルスが収束し来夏は本来の姿で楽しみたいと願った。狩野川近くに住む今井信之さん(78)=同市市場町=は家族と御成橋付近で見守り「毎年楽しみにしているイベントが昨年は中止、今年もどうなるか心配だったが、やってくれてうれしかった。最高だった。来年はぜひ元の姿で」と笑った。
狩野川のあゆみ橋と御成橋近くでは、夕方から待つ親子連れやカップル、中高生ら幅広い世代の人が見られた。また、複数箇所から上がる様子を見ようと、市街地が一望できる標高約180メートルの香貫山には、カメラを手に20人ほどが詰めかけた。函南町の男性会社員(37)は「久しぶりで感動した。コロナが収束して今後も続けてほしい」と話した。開催に踏み切った頼重秀一市長は御成橋下で観賞した。「たった10分間だったが、こんなに市民が喜んでくれるとは。やって良かった」と振り返った。
〈メモ〉沼津夏まつり・狩野川花火大会 1948(昭和23)年、戦争で荒廃した地元と商店街の復興事業として開始。例年、7月の最終土、日曜に開いてきた。73回目だった昨年は新型コロナ禍で初の花火打ち上げ中止に追い込まれた。毎年、2日間で県内外から30万人前後が訪れる。JR沼津駅南口の商店街や打ち上げ会場の狩野川沿いでは、多くの出店や関連イベントが実施されてにぎわう。