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テーマ : 浜松市

元「山の神」の神野 浜松の陸上界けん引を【風紋】

 まだ薄暗い早朝の浜名湖畔。かつて「山の神」と称され名をはせたランナーの姿があった。2時間ほどの練習を終えると、「都心と違い信号も少なくスピードを出せる。市民にも声をかけてもらえ、やりがいを感じています」。表情に充実感がにじんだ。
 ランナーは神野大地さん(28)。2015年の箱根駅伝往路5区で圧倒的な走りを見せ、青山学院大に初優勝をもたらした。山登り区間での快走から、今井正人さん(元順大)、柏原竜二さん(元東洋大)に続き、「3代目山の神」の異名をとり、現在はプロランナーとしてマラソンで五輪を目指している。
 神野さんが浜松市に拠点を移したのはこの4月。以前から指導を受けていたロンドン五輪代表でスズキアスリートクラブ(AC)の藤原新・男子マラソンヘッドコーチの近くでの鍛錬を望んだことに加え、浜松の練習環境が決め手になった。
 地元浜松の陸上関係者からも歓迎の声が上がる。「有力選手を身近に感じられれば、子供にとって大きな励みになるだろう」とは、市陸上競技協会の鳥井啓市会長。さらに「彼が目に触れることで、市民が陸上に関心を持つきっかけにもなってほしい」とも。神野さん自身も「何か浜松のために刺激を与えたい」と話している。“神野効果”に期待が膨らむ。
 神野さんは12月、浜松市北部代表として、県市町対抗駅伝競走大会に出場する。ともに走る児童生徒にとって、貴重な経験になることは間違いない。「プロの参加はいかがか」という声も上がるが、“県内デビュー”の姿を見守りたい。「自分が市町駅伝に出ることで、子供たちに夢を与えたい」との言葉に、彼の思いが詰まっている。
 市町駅伝後も神野さんと児童生徒が関わることがあれば、陸上競技の裾野拡大にもつながるはずだ。交流機会の創出をぜひ求めたい。スズキACの川元奨さん(男子800メートル)や新井涼平さん(男子やり投げ)らとともに、「県勢」の一人として浜松の陸上界をけん引してほしい。

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