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特集 : 函南町

湧水枯渇66カ所 丹那トンネル工事被害の文献調査【大井川とリニア】

 静岡県は26日、1918~34年の東海道線丹那トンネル工事に伴う渇水被害について文献を調査した結果を発表した。地下にトンネルが掘削された丹那盆地(函南町)付近では湧水の枯渇が66カ所に上っていた。リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の水問題で参考になる教訓として調べた。
 丹那トンネルは熱海-函南駅間に位置し、延長7・8キロ。湧水による水没などで作業員67人が犠牲になった難工事として知られる。工事では、地下にたまった高水圧の水を掘削時に出し切る工法「水抜き」が開発された。
 県は旧鉄道省が36年に発行した冊子「丹那隧道工事誌渇水編」を中心に調べた。調査結果によると、丹那盆地での渇水被害は24年秋に住民が気付いて被害は拡大。旧鉄道省が被害状況を調べ始めたのは27年だった。
 掘削工事に伴い地表の湧水が枯渇した66カ所は、断層に沿ってトンネルから離れた場所でも確認された。地表の湧水に影響する地下水位は、掘削が進むに連れてトンネル位置付近まで130メートル低下。掘削期間中にトンネル両端から流出した水量は芦ノ湖3杯分の計6億トンとされる。
 「水抜き」の工法はリニアのトンネル工事でも採用される。調査を担当した県くらし・環境部の渡辺光喜参事は「失われた水は戻らない。JR東海は着工後に影響を調べるモニタリング(観測)をすると説明しているが、影響を回避・低減する対策を着工前に考えることが先のはずだ」と強調した。
 県は希望する団体や学校を対象に大井川の水問題をテーマにした出前講座や講演会を各地で開いていて、丹那トンネル工事の渇水状況を題材として活用していく。

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