親子連れらアユの産卵場作り 富士宮・芝川漁協「河川環境考えて」
サクラエビの不漁をきっかけに、河川環境復元が期待される富士川で24日、親子連れがアユの産卵床を作ったり底生生物(水生昆虫類)を観察したりするイベントが開かれた。富士宮市沼久保の会場には約30人が集まり、表面がぬめった川底の石をひっくり返したり、網でトビケラの仲間を捕獲したりした。
「河川環境について考えてもらおう」と地元の芝川漁協(長谷川三男組合長)が河口から約10キロ上流の本流で初開催した。アユが毎年秋に川で産卵し、ふ化仔魚(しぎょ)は川を下って湾奥で成長、翌年1月ごろに再び川を遡上(そじょう)する生活史などを関係者が説明した。
アユの卵は石に産み付けられる。表面が泥でぬめっていると付着せず子孫を作れないため、重機や人の手で石を裏返したりした。10日程度で産卵が見られる可能性があるといい、今後も観察を続ける。鈴木杜和(とわ)さん(8)は「石が滑って歩きにくかった。アユが早く戻ってくるといい」と話した。
長谷川組合長によると、上流の支流で10年間続いた採石業者による高分子凝集剤入り汚泥の不法投棄が2年ほど前に止まってからは比較的透明度が上がっている。ただ、底生生物は少なめだった。
(「サクラエビ異変」取材班)