4区/富士川の汚濁問題 行政対応鈍く【衆院選|静岡の課題】

サクラエビの産卵場となっている駿河湾奥に依然注ぐ濁水=8月下旬、富士川河口(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
サクラエビの産卵場となっている駿河湾奥に依然注ぐ濁水=8月下旬、富士川河口(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
静岡4区
静岡4区
サクラエビの産卵場となっている駿河湾奥に依然注ぐ濁水=8月下旬、富士川河口(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
静岡4区

 「尺アユの川」と呼ばれ、井伏鱒二にも愛された富士川の河川環境が注目を浴びる。
 支流で日本軽金属出資の採石業者が2009年から凝集剤入り汚泥の不法投棄を始めたのと軌を一にするように、アユの個体数やサクラエビの資源量は激減。富士川は「死の川」と呼ばれる。ただ、因果関係についてはどの行政機関も踏み込んで調べようとせず、問題は放置されたままだ。
 「われわれもやれることはやろうと思って」。16年から富士川で透視度調査などを続けてきた芝川漁協(富士宮市)の長谷川三男組合長(70)は、衆院選期間中唯一の日曜日となる24日、富士川本流でアユの産卵床を作るイベントを計画中だ。
 アユの産卵シーズンを前に、重機や人の手で、小石の上や小石同士の隙間に堆積した粘着質の泥を洗い流す。底生生物(水生昆虫類)の生息調査もする。
 水質の問題だけではなく、日軽金の自家水力発電用巨大水利権や水害をたびたび引き起こす同社雨畑ダムの堆砂など、水系は“問題山積”だ。地元市議会は7月、河川環境改善を求める地元住民からの請願を採択した。
 静岡・山梨両県や国土交通省は今夏、富士川水系で凝集剤由来の劇物アクリルアミドモノマーの拡散状況を調べた。15年ほど前の環境省の調査によれば、微量の検出が見られたのは港湾や河口がほとんどだったが、今回は富士川中流の早川との合流地点で同量程度が検出された。ただ、両県は人や生物への影響については否定した。
 一方、劇物検出を受け、流域には驚きが広がった。本紙の報道で、2年以上前に不法投棄が行われなくなっているにもかかわらず、依然として凝集剤由来成分が検出された衝撃は大きかった。より魚毒性が高い凝集剤成分も18トンが流出したことも判明したが、拡散実態の調査は手つかずだ。
 河口を産卵場とするサクラエビが水揚げ金額の9割を占める由比港漁協(静岡市清水区)の宮原淳一組合長(80)は「行政は逃げ回っているようにしか見えない。国や日軽金は海での調査もしてほしい」と憤る。
 
 Q 流域住民が近年問題視する富士川水系の河川環境をどのようによみがえらせますか。

 深沢陽一氏(自民前) 
 不法投棄については言語道断、今後も厳しく取り締まる必要がある。水量による改善については関係する企業との対応が必要と考える。その他、適切な情報提供で住民への理解増進を図ることが必要だ。

 田中健氏(国民新) 
 川の問題は、森、水、人の問題。富士川水系の汚染源を徹底的に除去するとともに、間伐や広葉樹林化等による森林再生、コンクリート護岸撤去等による水辺環境の回復等を進め、サクラエビや豊かな駿河湾の復活につなげたい。

 中村憲一氏(維新新)
 河川環境の悪化が懸念されている富士川の水質と汚泥の科学的分析を実施するとともに、河川環境を維持できる流水を確保していくために、既得権と化している富士川の水利権を見直し、地域に水を取り戻す。

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