争点をあるく② 保育現場の苦悩【漫画×みんなの選挙しずおか】

 新型コロナウイルス流行の「第5波」では感染が子どもに拡大し、保育施設でのクラスター報告が相次いだ。保護者の就労を支える観点から通常運営を求められる中、各施設は密が避けられない環境での感染対策に苦心した。
 人との距離を取る感染対策は、子どもの健やかな成長を促す保育本来の姿と矛盾することも多く、保育士の苦悩は深い。今も模索が続く現場を静岡市在住の漫画家駒井千紘さんと訪ねた。
 保育の現場は一日中、「密」そのもの。言葉だけでは十分意思疎通できない乳幼児に対し、体の触れ合いは欠かせない。子ども同士を遠ざけるのも現実的でない場面が多く、新型コロナウイルスの感染対策は矛盾をはらむ。



記者から


 保育施設には満たすべき一定の基準があるが、定員や実際の施設面積の差から、施設によって保育環境は異なる。広ければ活動の分散など感染対策は比較的取りやすい。しかし、待機児童対策で定員増を求められるなどして多くは余裕がない。
 さらに悩ましいのは“感染対策の正解”が示されていないこと。保育施設向けには国のコロナ対策の指針がなく、各施設は断片的な情報を頼りに対策を模索する。国は来年度の運用開始に向け指針を整備する方針だが、対応の遅れは否めない。
 感染やその疑いが出た場合の休園や登園停止基準は不明確。例えば「園児は濃厚接触者ではないが、家族が濃厚接触者になった」などのケースで判断に迷い、混乱が生じていると聞く。
 感染対策で保育士がますます多忙になる中、待遇面の配慮は一層重要。国や自治体から施設への手当の充実などで改善は進むが、加算の仕組みが複雑で、分配に不公平感が指摘される。公立私立の給与格差も課題だ。給与算定の基になる公定価格の見直しに期待する声は大きい。
 感染対策が子どもの発達に与える影響を懸念する声も高まる。現場の疲弊を防ぎ、子どもの健全な成長を担保するため、国には現場の実情に則した早急な支援を求めたい。(社会部・西條朋子)



漫画家から


 私自身も幼児の母なので、子どもを預けて働く親御さんが、保育施設の突然の休園措置に戸惑う気持ちがとてもよく分かります。もちろん子どもと家族の健康が一番ではありますが…。乳幼児向けのコロナ対策という難題に日々対応してくださっている現場の保育士の方々には、頭の下がる思いです。

 駒井千紘(こまい・ちひろ) 静岡市在住。会社員を経てイラストレーターに。2児の母。漫画アプリで連載した「妊活夫婦」は、実体験を交えたリアルな描写で人気を博した。


 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ