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富士宮市議会 信頼回復の道見えず【解説・主張しずおか】

 2019年10月の議長選を巡る贈賄申し込み容疑で、現職の議長だった遠藤英明容疑者(79)が逮捕され、議員辞職した富士宮市議会。5月に当時の現職市議が県迷惑防止条例違反容疑で逮捕されたばかりで、相次ぐ不祥事に市民の不信感は高まっている。市議会は新たな正副議長を決めたが、信頼回復への具体的な対応策はまだ見えず、“いばらの道”が続く。

混乱の中開会した富士宮市議会9月定例会=9月上旬、富士宮市役所
混乱の中開会した富士宮市議会9月定例会=9月上旬、富士宮市役所

 遠藤容疑者が逮捕された翌日の8日、議会事務局に捜査員約10人が家宅捜索に入った。9月定例会が開会した10日以降も委員会室には「終日入室不可」と張り出され、ほかの市議への任意聴取も行われるなど、異常事態が続く。「今の議会は頼りにならない」「全てを見直してほしい」-。市民からは怒りの声が上がっている。
 遠藤容疑者は19年10月11日の議長選に絡み、その前日、同僚市議に自身への投票を依頼する趣旨で現金100万円の供与を申し込んだ疑いが持たれている。議長選には2人が立候補し、劣勢だった遠藤容疑者が買収工作を画策したとされる。この議長選では遠藤容疑者は13票対8票で敗れた。議長選に絡む不祥事は市議会の在り方を問う事態となった。
 今年5月の議長選には、遠藤容疑者がただ1人立候補し、21票のうち14票を集めて議長に就任した。県警は5月の議長選でも投票を巡って、現金などの授受があった可能性もあるとみて調べている。
 10月24日には遠藤容疑者の辞職などに伴う市議補選(欠員4)が行われる。捜査が続く中、さらに別の市議が事件に関与した疑いが浮上した場合、市議会の「立て直し」は一層おぼつかない状況になる。欠員がこれ以上増えるようなことになれば、特例法に定められた市議会の自主解散も選択肢として浮かぶ。
 21日の正副議長選で選任された小松快造新議長は、倫理特別委員会を設置する方針を明らかにし「現状と反省点を洗い出すことから始めたい」と述べた。小松氏が就任前に語った「(市民に)納得いただける形」をどう示せるか、注視したい。
 須藤秀忠市長は相次ぐ不祥事を受け「片側のタイヤがパンクしている」と異例の強い表現で苦言を呈した。当局と議会は市政の両輪とされるが、市議会がその役割を十分に果たせない不健全な状態を脱することができるかは市民の利益を第一に考えた改革を進められるかにかかっている。
 

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