特集 : 島田市

鉄道ファンづくりが使命 あの人に聞きたい/大井川鉄道の名物広報 山本豊福さん(静岡市葵区)【NEXT特捜隊】

 蒸気機関車(SL)、「きかんしゃトーマス号」、アプト式鉄道など、全国からファンが集まる大井川鉄道(大鉄)。長年にわたり魅力発信の旗振り役を担ってきたのが名物広報の山本豊福さん(56)だ。「就職のきっかけ、広報から見た大鉄の現状を聞いてみたい」。浜松市中区の配送業の男性(35)から依頼を受け、山本さんを訪ねた。 

山本豊福さん
山本豊福さん
SLと同じ塗料で塗られたポスト。横の看板によると、ここに郵便物を投函すると、SLや富士山がデザインされた風景印が押される
SLと同じ塗料で塗られたポスト。横の看板によると、ここに郵便物を投函すると、SLや富士山がデザインされた風景印が押される
きかんしゃトーマス号。運休日も変わらず笑顔 Ⓒ2021 Gullane(Thomas)Limited.
きかんしゃトーマス号。運休日も変わらず笑顔 Ⓒ2021 Gullane(Thomas)Limited.
山本豊福さん
SLと同じ塗料で塗られたポスト。横の看板によると、ここに郵便物を投函すると、SLや富士山がデザインされた風景印が押される
きかんしゃトーマス号。運休日も変わらず笑顔 Ⓒ2021 Gullane(Thomas)Limited.

 
 ■原体験はSLの汽笛
 よく聞かれますが、子どもの頃は鉄道少年ではありませんでした。金谷高時代、ほぼ毎日お昼にSLの汽笛が聞こえてきたので、汽笛を聞くとおなかがすきました。少年時代の鉄道との関わりはそのぐらい。でもそれが、大鉄広報マンの原体験となっているのかもしれません。
 恩師の母校だったという理由で、大学と学部を選びました。中国文学専攻だったので、周りは書道家や教員志望の友人ばかり。自分はどうしようと考えた就活の時、満員電車は嫌だという理由で静岡での就職を考えました。漠然と「地域を発展させる会社に入りたい」と思って大鉄に電話したことをきっかけに、入社試験を受験。「SLに世界から人を呼び込みたい」と面接で言った気がします。
 
 ■アプトPR役に起用
 入社後すぐ、大役が舞い込みました。井川線のアプト式鉄道の開発プロジェクトチームで、広報を任されたことです。アプト式は、車両に付いた歯車と、線路の歯形をかみ合わせて急坂を上り下りする仕組み。全国唯一のアプト式鉄道となって取材が殺到しました。ところが、チームは工事で多忙な技術職の人ばかり。入社わずか2年目の僕に、報道対応の仕事が回って来ました。質問に答えようと、必死に勉強しました。そのかいもあり、広報が集客につながると実感しました。
 SLを使った「きかんしゃトーマス号」の運行は予想をはるかに上回る大反響でした。2014年の運行開始当時の蜂の巣をつついたような大騒ぎは忘れられない思い出です。
 
 ■広報はファンづくり
 部署間異動しても広報の仕事が付いて来るようになりました。ファンが増えた時にやりがいを感じます。大好きなスガシカオさんが公演したステージに、自分も後日に別の鉄道イベントで登壇したり。鉄道好きの漫才コンビ「中川家」の礼二さんにものまねされたり。すてきな経験ができました。
 昨年以降はコロナ禍や車両の不具合などの事情が重なり、運休が続いた時期がありました。広報としてさみしい思いです。全国から譲渡された車両の活用法も検討中です。大鉄は2025年に100周年を迎えます。速さや静かさが求められる時代ですが、煙の匂いがしてガタンゴトンと音がするSLの継承も大切な仕事だと思います。大鉄の今後の展開をお楽しみに。
 
 <profile> やまもと・とよふく 1965年、島田市初倉地区生まれ。金谷高から大東文化大文学部に進み、88年に大鉄に新卒で入社。昭和、平成、令和を大鉄一筋で過ごす。営業や労務を経て、2000年代から事実上の広報担当を務めている。大鉄沿線で特に好きな風景は、抜里駅付近の茶畑と、井川線から見える渓谷美。ペットはコザクラインコ「てんちゃん」。
 
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