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テーマ : 熱海市

応急住宅への転居いつ… 熱海土石流2カ月、ホテル避難154人

 熱海市伊豆山の大規模土石流の発生から3日で2カ月。避難所のホテルにはいまだ154人(2日正午現在)が身を寄せている。このうち半数以上は、静岡県が用意した公営住宅や民間賃貸住宅への入居が決まっているものの、家財道具がそろわないなどの理由で引っ越せずにいる。市は8月末までとしていたホテルの期限を約2週間延長したが、物件探しに時間を要した避難者は「準備が間に合わない」と不安を漏らす。

転居先の民間賃貸住宅を確認する関沢浩さん。家財道具がそろうのはまだ先という=2日、熱海市内
転居先の民間賃貸住宅を確認する関沢浩さん。家財道具がそろうのはまだ先という=2日、熱海市内

 「まだ空っぽだけど、決まっただけでも一安心」。自宅が半壊し、市内の民間住宅への入居が決まった自営業関沢浩さん(54)は2日前に新居の鍵を受け取った。これから市や家電量販店などから支給される生活必需品が届くという。「命が助かっただけでも感謝。これからは避難所と違い、行政からの情報が届きにくくなる。自分で注意しないと」と表情を引き締めた。
 市によると、転居先が正式決定していないのは8月末時点で34世帯60人。民間住宅の家賃は公費で支払われるが、世帯人数ごとに上限があり、上回った分を避難者が負担して住むことは認められない。耐震性の条件もあり、住まい探しに苦戦する人は少なくない。
 娘(44)を亡くした小磯栄一さん(73)は8月下旬、神奈川県湯河原町の民間賃貸住宅を転居先に決めた。母を失い心に傷を負った孫の面倒を見るため、娘の夫世帯と同じ建物に暮らすことを最優先にしたという。
 条件に合う物件は市内で見つからず、やむなく隣町に住むことを決断したが、「県から契約成立の連絡がまだ来ない。鍵を受け取れず、新しい生活の準備ができない。ホテルの期限まで間に合わないかも」と気をもむ。
 長引く避難生活で心身ともに疲労はピークに達している。「先のことを考え込むと、どうにかなってしまいそう。『何とかなるだろう』と思うようにしているのだが」と力なくつぶやいた。
 (熱海支局・豊竹喬)

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