入院食にも季節感 おせちやアユの塩焼き…病室に憩い 藤枝市立総合病院

 新型コロナウイルスの感染対策から、県内の病院でも病棟での面会が制限されている入院生活。自然や街の空気を感じにくい中で、季節の行事に合わせた食事が憩いのひとときを与えている。料理を通じた交流は、患者のコミュニケーション継続にも一役買っている。

季節の行事に合わせた食事を準備する藤枝市立総合病院の調理員。七夕にはちらしずしなどを提供した=藤枝市駿河台
季節の行事に合わせた食事を準備する藤枝市立総合病院の調理員。七夕にはちらしずしなどを提供した=藤枝市駿河台
献立カードに記された患者からのメッセージは職員の励みになっている
献立カードに記された患者からのメッセージは職員の励みになっている
季節の行事に合わせた食事を準備する藤枝市立総合病院の調理員。七夕にはちらしずしなどを提供した=藤枝市駿河台
献立カードに記された患者からのメッセージは職員の励みになっている


 おせち料理、八十八夜の茶飯、アユの塩焼き、ハロウィーンのカボチャプリン―。院内の厨房[ちゅうぼう]で約350食を作る藤枝市立総合病院(同市駿河台)では、月2~4回ほどイベント食を提供する。
 病院食は厚労省が定める摂取基準に沿って塩分やカロリーを抑えた献立が中心。青味野菜やだしで味覚を満たし、同時に経費も意識するなど調理員が腕を振るう。
 内臓疾患などによる食事制限がある患者には治療食を用意し、年齢や体格などによる必要エネルギーも考慮する。一口サイズに切ったり、すくいやすい食器にしたり、調理後も一人一人に合わせてカスタマイズ。臨床栄養科の鈴木利弘さんは「コロナ下では食器を使い捨てにするなど感染対策も講じている。入院生活の不安を取り除くことも大事」と説明する。
 県栄養士会によると、病院食は栄養バランスや健康管理を考える教育的な側面も重視。坪井厚会長は「症状や制約の下でおいしく味わってもらうために、味の工夫や保温・保冷などさまざまな対応が進んでいる」と話す。
 イベント食を先駆的に取り入れた同院は、患者の意見を聞きながらメニュー計画を作成。今夏は七夕にちらしずしやそうめんで心地よい夕べを演出し、土用の丑[うし]はふっくらしたうなぎが登場した。
 患者の前向きな意識が回復を支える半面、体調によっては味や工夫を楽しめないことも少なくない。同科の篠原由美子さんは「食欲がない、イベントという気分でもない、と思う人への配慮を忘れてはいけない」と心する。
 食事に添える献立カードには、患者からのメッセージが記されることも。「元気にアユ釣りをしていた頃を懐かしく思い出しました」「入院してからすべて完食です」。食事への関心が読み取れる言葉は職員の励みになっている。

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